断片小説 悲惨な餅つき大会

蒸したもち米をうすに投入する係はつまづき、親指の骨にひびが入ったが、正月だし観客が大勢いるので笑顔でうすにもち米を入れ、さらしをすっと取り、後ろに下がった。

気合いの入ったかけ声をかけながらきね役がきねを振り下ろし、もちこね役が一秒に三回もちをこねた。きね役は一秒に五回きねをふるうというギネスブックに乗っている男なので、もちこね役は一秒に二回きねで手を打たれた。
つきあがったもちは、司会者に紹介された老人が、みたらし味のたれをかけ、もちを両手でつかみ、口に流し入れた。

もち飲み老人はふっと、せんべろ女を録画したか不安になり、もちを喉に詰まらせた。
もち米投入係ともちこね役ともち飲み老人はまもなく救急車で運ばれたが、命に別状は無かった。

観客には何事もなかったかのように新春シャンソンショーを見せられたが、司会者が新春シャンソンショーを五回もかんだので皆帰ってしまったという。

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