バランスが取れないところに立とうとする

「要はバランスだよね」とはよく言われることだし、それはもっともなことだとわたしも思う。しかしバランスを取ることが難しかったり、そもそもバランスが取れないようなものごとも、わたしはあると思っている。

歴史的なレベルで起こっている出来事がそうだ。バランスが取れているのかいないのかといったことは、後世の研究者から見てあれこれ評価できることである。歴史の渦中にある、リアルタイムに生きている人たちは、自分がどの極端を歩んでいるのか分からない。ちょうどよいバランスで生きているつもりでも、後世の人たちからは極端だったと評価されることもある。ポリティカル・コレクトネス的な価値判断によって、ほんの数十年前には常識的な範囲に収まっていた表現が差別とみなされたり、数百年前のいわゆる「偉人」が極悪人とみなされたり。

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