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夏のサンダーバード

金沢の旅が楽しかったので覚えていることを書き留めておく回です。

和歌山発の感情ロックバンド『mienaimirai』のメンバーが金沢でライブをするというので、夫婦でついていくというノリと勢いしかない真似をしてきました。

いつもは和歌山というホームでツアーマンを迎える側のミエミラ。ギターボーカルのヨースケくんは、メンバーが揃わないこともままある中、いつも全力で楽しんでいる姿が眩しい男である。ライブをやるたびに私たち夫婦のことも誘ってくれるので、仕事でどうしてもいけないとき以外は顔を出している。ほぼ全通と言っても過言ではない……はず。
そんなヨースケくんの「メンバーで車借りて行くから二人も乗ってってええでぇ〜!」というこれまたノリと勢いしかない誘いに文字通り便乗したのが今回の金沢旅行。ギターのれうくん、ドラムのtakaくん、そしてサポートベースの弾き語りさとるくん。ここに私たち夫婦が乗っかるというなかなかない組み合わせ。そもそも私のnoteの登場人物がこれほど多いことはない。
とりあえず彼らの弾丸スケジュールには肉体的についていける気がしなかったので、行きだけ乗せてもらうことにして宿と帰りの電車の予約をした。弾丸ディズニーで得た学びは無駄にしない。アラフォーなので身体は大事にしたい。

8人乗りの車には機材が積んであるので、大人が6人乗ると鮨詰め状態だった。私が窓際の席を所望したがために夫は一番身体が大きいにも関わらず、2列目3人掛けの真ん中の一番狭いところに座ることになった。最初から最後まで私と夫の肩が重なっていたけど、その余裕のない空間がまた面白くて楽しかった。その狭い中でもちゃんと眠れる夫もすごい。運転手のれうくんはもちろん、助手席のヨースケくんと私は金沢に着くまで寝ずに朝焼けを見た。

高速を降りて最初に見た景色は田んぼと田舎道で、なんとなく親近感を覚えた。朝5時くらいに到着したので、とりあえず24時間営業のすき家で朝ご飯を食べて、その隣にあったマックスバリュを一回りした。イオン系列だから売ってるものはそんなに変わらないかと思ったら、お米のコーナーに石川県産のお米の種類がめちゃくちゃあって、ここで初めて遠くに来たことを実感した。
寝てないメンバーのためにリハまで休まなくてはならなかったのだけど、みんな車では眠れそうになかったので近くの快活クラブに移動することにした。結構田舎っぽいところを通ってきたのに、ちょっと道を何本か過ぎると急に都会化して京都となんばを足して割ったみたいな街が現れた。早朝ホスト帰りっぽいお姉さんが「がに〜」って言ってた。かわいい。

快活に行ってみたら、同じエリアのおじさんのいびきがかなりうるさかった。私とれうくんはそれぞれ愛用の催眠音楽を使ったので少なくとも1時間ほど眠ることに成功したが、ヨースケくんだけは一睡もできなかったらしい。なんでも前日の朝6時半から起きていたとかで、もうこの時点で彼のデスマーチは佳境を迎えていた。

仕方がないので快活を早めに出て、観光がてら金沢城へ歩いていった。さとるくんが御城印なるものを集めているらしく、門を抜けるとあっという間に姿が見えなくなった。彼は歩くのが早い。(彼はこのあとも1人で金沢駅までランニングしてご当地ちいかわをゲットしてくるという謎のタフさを見せた。歩けばおよそ往復1時間の距離である。)
城のエリアを一回りしてからタクシーで繁華街に戻り、金沢のバンドの方々がおすすめしてくれたお店で昼食をとった。

宇宙軒というお店のトンばら定食。鉄板で焼いた豚バラ肉を秘伝のタレでいただくというもの。このタレが絶妙で、みりん醤油のような甘辛さにほどよく酸味が効いているので、バラなのにさっぱり食べられてしまう。味噌汁もなんかめっちゃ美味い。価格もお手頃でこれは近所にあったら通ってしまうに違いない。バンドという繋がりがなければ知ることができなかったと思うのでとてもありがたい。

ご飯のあとはリハが終わるまで、私たちは待機。それほど時間があるわけでもなかったので、少しだけ街をふらついたくらい。

この日は金沢のバンド『ACE ON DAWN』のベースのKENTAさんという方が主催の高校生イベント。出演者の半分くらいが「初ライブです!」とか「結成して1ヶ月です!」みたいな初々しさの溢れる現場だった。若い子達の演奏は、上手な子もいれば間違えたりグダッたり多種多様なんだけど、とにかく全員が楽しそうでキラキラしていた。最高に音楽していて多感なアラフォーはあてられて少し涙ぐんでいた。
こんな中で睡眠不足の大人たちが一発かますんだけど、これもまたよかった。金沢のお客さんたちはステージと一体化していた。本来は演者がお客さんを盛り上げるものなのだろうけど、ここではお客さんがバンドをますます盛り上げてくれるので相乗効果で最高の仕上がりになっていた。久々の4人体制のミエミラをこの空間で見られたのはとてもよかった。

今回セトリ被りでないものねだりをめちゃくちゃ聞いたのだけど、ラストのバンドが「ラストにみんなで歌っちゃおうぜ」と言い出して、被ったバンドのボーカルを全員ステージに上げてお客さんも含めてみんなで大合唱していた。青春だった。

このイベント主催のKENTAさんは以前和歌山に来たときのMCで「バンドは辞めてしまう人も多いし、うまくいかないこともあるし、コロナもあって箱もどんどん減っていく。そんな中でも自分は金沢の音楽の火を絶やさないためにバンドを続けていく」みたいなことを話していたのがずっと私の心に残っている。今回も、受験があるから最後になりますという子もいたり、確かに入れ替わりは激しいのかもしれないけど、こうして気軽にステージに立てる現場があることは多くのバンドをやりたい若者にとっての希望になる。だからこそ、これからもこの場所を守っていって欲しいなぁと、若者たちの青春する姿を眺めながら1人で勝手に物思いに耽ったりしていたのだった。そんな私の隣で、ヨースケくんの目は疲労と寝不足でガンギマリになっていた。

この日の出演はしていなかったけど、AONDの他にもさむろっじのメンバーさんとも先月ぶりくらいにお会いすることができた。まさか和歌山からひっついてくるとは思っていなかったらしく、みんな私たち夫婦の姿を見て「なんでいるんですか!?キャー!」みたいな素敵なリアクションをしてくれた。金沢の人たちはみんなやさしい。

夕飯は8番ラーメンという、和歌山でいうグリーンコーナーみたいなお店でまぜそばをいただいた。

ここの餃子は生姜がめちゃくちゃ効いていて、たぶん和歌山ではあまり食べられない味だった。今度から我が家で餃子をするときは刻み生姜をたっぷり入れてみようと思う。

名残惜しみながら金沢のみなさんと解散し、私たちは宿の近くまで送ってもらい、ミエミラメンバーは一足早く金沢を出た。彼らの無事を祈りながら、私たちも宿にチェックインしてお風呂に入ってすぐ泥のように眠った。

翌日の朝食はビュッフェ。安い宿なので品質はコンビニくらいのレベルなんだけど、金沢おでんとか金沢カレーとか、それっぽいものが一通り楽しめるようになっていた。私が好きだったのは車麩のフレンチトーストで、これはまた食べたいと思ったので帰りの金沢駅で車麩を買った。お土産は他にも、AONDボーカルのHAYATEさんがおすすめしてくれた「雪吊り」と「ビーバー」と、あと駅のお姉さんに乗せられて「にゃんこのチョコモナカ」も買った。金箔コーナーは眺めるだけに留めた。

うちには猫のミルクさんがおり、あまり家を空けておくことは許されないので、お土産を買ったらすぐ帰路に着いた。サンダーバードの中ではほとんど寝てたけど、なんか超でっかい大仏だけは写真に収めた。

金沢は人がやさしくてご飯が美味しいところだった。次に行くときはもう少し時間とお金に余裕を持ってもっと色々楽しみたいね。能登牛とか。

ミエミラも無事に和歌山に辿り着いてよかった。楽しい旅をありがとう。

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