忘れたくないことを
忘れてしまいそうで
わたしの代わりに覚えていてくれませんか。

8月1日は、ひぃおばあちゃんの誕生日です。
大正8年生まれのひぃおばあちゃん。
ひぃおばあちゃんなんだけど、わたしは「おばあちゃん」と呼ぶ。
ママが「おばあちゃん」っていうからね。

「おばあちゃん」の家に行くと、坊主めくりをする。
「坊主めくりしよ～」って言うと笑ってくれるおばあちゃんが好き。
それからお風呂場に近い方のソファに座って、わたしは床に座る。
「せみまる～～～～」「ぼーず～～～～」
姫が何回も出てくると「ちゃんと混ぜてないだろ」と言う。

ときどき、みんなで百人一首をする。
ママたちは頑張るけど、わたしはうまくできない。
1枚も取れずに終わることが普通。
そしたら「おばあちゃん」が「坊主めくりするか」って話しかけてくれる。
わたしの居場所を作ってくれるように。
坊主めくりのヒーロー、「おばあちゃん」。

「おばあちゃん」お誕生日おめでとう。
今年は101歳だね。

いつか、この日を忘れるんだろうか。
「米寿」という言葉を知った日も、
「この写真を遺影にしてくれ」と言われた日も、
その日着ていた服も、聴いていた音楽も、髪型も。

わすれたくないです。
最後の言葉、「ばいばい」も。