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看護師が撮って出しエンドロール〜私は知っている〜

電池を自宅まで取りに戻り、式の20分前に到着した私たち。20分あれば化粧してるシーンを少しくらいなら撮れるだろうと言うことで妹の前室へ。

ほぼ終わってるが良しとしよう。私は知っている。グロスを塗るシーンがステキになることを。これは絶対に撮っておきたい。動画のオープニングで妹の最初のアップのシーンに使う予定だ。慎重に撮る時間は無い。ましてや会場の美人スタッフをこっそり隠し撮りする時間など毛頭無い。取り急ぎ15秒くらいカメラを回し後で良い顔してるところを使おう。良い顔してるところが無かったら唇のアップだけ使おうと思って唇のアップも撮っておいた。神リスクヘッジ。初めての事をする時は思いつく限りのリスクヘッジをしておくべきってものだ。神リスクヘッジ。良い響きだ。

新郎も撮っておいた方が良い。私は知っている。自分ばかりが映っている動画なんて面白くないと言うことを。主役は妹だが妹の思い出になるものだからな。彼は長身で細身のイケメンだ。笑顔10秒くらい撮っておけば十分だろう。リスクの無いところで無駄なリスクヘッジはしない。それが逆に神リスクヘッジだ。いいぞ、調子が出てきた。電池忘れというおっちょこちょい極まり無いミスを挽回できそうだ。

さらにカメラに収めたのは妹の友達がネイルを塗ってあげてるところ。いいよいいよ、華やかだ。私は知っている。若い女の子とかわいい動物は画面で栄えることを。爪のアップと全体。どこが使えるかなんて分からないからな。その辺の花も撮っておこう。ちなみにこの妹の友達は私たちのことを式場のスタッフだと思っているようだ。こんな小さいハンディで撮影するスタッフがいるわけ無いだろう。まあ、仕方ない。

「あの、ネイルしに来たんですけど新婦さんどちらにいらっしゃいますか?」

こう聞かれて「あ、私兄です。」なんてちょっと恥ずかしいからな。

「あ、それでしたらあちらの前室ですよ」

とスマートに対応してやった。気分はもう業者だ。頑張れ、俺たち。


そしてウェルカムボード。プロが作ったかのようなすばらしいものだ。

これは母のお友達が作ってくれたようだ。私は知っている。母はまんじゅうのような見た目だがとんでもなく明るい性格で友達が多いことを。友達が多ければ、こんな事が出来る友達が一人くらいいるものなのだろうか。私にはいない。母はまんじゅうの割には人生を楽しんでいて本当にすばらしい。服飾関係の学校に行っていた経験を活かし息子が知らない間に自分の工房を持って何やら小さい鞄とかなんか分からんが作っている。そんな雪だるま母さんは「お兄ちゃんが作るって言ってるんだから撮って出しエンドロールはきちんとしたものが出来るんだろう」と思ってるに違いない様子で、なんだか期待しているようだ。31歳にもなって親の期待を裏切るのは避けたい。頑張ろう。

あとはとにかく目的もなくカメラを回し続けて奇跡の瞬間が映っている事を祈った。そして前日から感じていた嫌な予感が的中してしまう。

挙式中は席から移動して撮影してはいけない。

まあ、そうだろうと思った。私は知っていた。どうせそんなことだろうと思った。ほんとは撮影自体禁止なのを無理言って撮影だけは許可してくれているそうだ。ってことでリハーサルの場面を撮影させてもらうことにした。

顔が映ってないから無許可掲載。手前の花にピント合わせて少しずつ二人にピントが合っていく。そんな絵が撮れた。これはきっと使える。喜びというより興奮があった。

「この動画、もしかしてよくなるんじゃないか。」私は一人でそんなことを呟いた。

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