助っ人外国人あれこれ ~野球人生万華鏡~

現在助っ人外国人のMLB時代における通算成績を調べている。
いい時代になったものだ。昔は中身の入っていないおもちゃ箱といわれたインターネット。何かを調べるには何の役にも立たないといわれたものがその膨大なデータを駆使して一定の価値まで押し上げたのだから。
信頼性はいまだに編集の目を通す書籍に軍配が上がるが、それでも書籍が何よりも強いという時代から変化しつつある。改めて情報と人の付き合い方が変わってきたと思わずにはいられない。

なので私も現在はBASEBALL REFERENCEを中心に選手の成績を読みふけっている。
面白いものでMLBで活躍した選手が必ず活躍できるわけではなく、一方でAAAですら活躍できなかった選手が日本に来て活躍するパターンがあったりして面白いものである。

その中でも印象的な選手を何人か挙げてみたい。

1,ロドニー・ペドラザ(ダイエー)

ホークスの歴史を語る際、ダイエーの外国人で彼の名を上げないファンはきっと近年ファンになった人であろう。当時勝利の方程式という単語とともにブルペンの存在が見直されてき始めた時期に台頭してきた、まさにダイエーの抑えの切り札であった。
いまだにダイエーの抑え、と言われたらペドラザを上げる人は少なくないのではないだろうか。

そんな彼だが、実はMLBに上がったことない。
それどころかMiLB時代にリリーフとして通年通して活躍した時代がない。

リリーフとして専任したのはまさにダイエーに入って以降。
NPBに来る機会がなければどこにでもいたマイナーリーガーで終わっていたことが容易に想像できる。選手としての名前を売ることもなければ最終的な年俸もだいぶ変わっていただろう。

このようなちょっとしたきっかけが選手の人生を大きく変えるタイミングがあることが散見されるのだ。

2,ウォーレン・クロマティ(巨人)

一方でよくあるイメージが「メジャーの大型選手が日本に来たらあまり活躍しない」というものだが、これも実際問題微妙に違う。
年齢次第でとてつもない成績を残すことがある。
例えばウォーレン・クロマティなんかはその最もわかりやすい例であろう。
日本では巨人の助っ人にして面白外国人扱いではあったのだが、彼をメジャーリーガーとしてみた場合、むしろその味方のほうがよっぽど失礼なレベルであることがわかる。

モントリオール・エクスポズ(現ワシントン・ナショナルズ)で‘1977年からスタメンに入って以降は100安打切りがなく、.280~.300を平均して打っている本物のメジャーリーガー
一時NPBでシーズン四割の可能性があった彼だがもともとアベレージヒッターとして1000本安打超えのバリバリであったことを考えるとさもありなん。メジャーリーガーのすごさを思い知らされる結果になった。

3,ブラッド・エルドレッド(広島)

しかしいつでも生き生きとしたメジャーリーガーを連れてこれるわけではない。必ず何かしらの問題を持っていたり年齢的にもメジャーは無理といった選手が多く入ってくるのがNPBである。
だからこそMLB以下というイメージを持たれているが、全てにおいて否定されるものでもないのだ。

それこそ強かったころの広島カープを象徴するブラッド・エルドレッドなどはその例として扱ってもいいであろう。

彼のキャリアもほとんどがマイナーである。
しかしマイナーではシャーロットの35本(09年)を中心に20本塁打以上を安定して打っている。
普段からその力があったことを証明している。

彼がNPBにやってきたのが31歳。
彼自身もメジャーをあきらめたというのもあるであろう。しかしその決断が広島の神助っ人への手掛かりになったといってもいい。
持ち前の打力を広島で爆発させたのは記憶に新しい。2014年には本塁打王のタイトル、広島の優勝に貢献している。

AAAでくすぶってキャリアを終わらせるか、NPBでひと花咲かせるかの賭けに出て彼は勝ったのだ。いまだに広島では愛される助っ人外国人として名前を残している。

4,選手の成績は人間万華鏡

活躍した選手だけでもこのようにいる。
半面、期待されながらもMLBどころかNPBでも活躍できなかった選手。メジャーリーガーを鼻にかけてしまった結果NPBでは燦燦たる結果に終わった選手。そもそもマイナーリーガーの実力しか持たなかった選手などいろいろな選手が眠っている。
多くの躯によってプロリーグが成り立っているのは決して日本人だけではなく、助っ人と呼ばれた彼らも等しくその一人になるのだ。

ただこういうものを見ていて改めて思うことがある。
選手を雇う際に重要な要素として年齢があるということだ。
特に大物メジャーリーガーとして名選手を過去雇ってきたチームは数多くあるが、ほとんどの場合失敗する。
それは選手として消費しきってしまったからである。
どれだけ名選手でも年齢やケガからくる衰えからは逃げられない。そこに名選手だからと安物買いをしてしまって大失敗なんてことも多々ある。

逆に言えばAAAの選手でも起用する場所をきちんと与えてあげれば機能するし、それがメジャーという舞台からみたら落ちこぼれのような存在でも立派にNPBのレジェンドとなりうる可能性を秘めている。
それはめぐり合わせというほかないし、そのめぐり合わせを生むためにいかにチームが意識をして組織づくりをするかというところにもかかっている。
実績こそが必ず正解ではない。
実績のない選手から何を見るか。何を魅力にしたか。その魅力をチームにどう活かそうとするか。
ここが重要なのであることを学ばせるのだ。

今では多くの情報がそろう時代になったからこそ選手をどうとるかが非常に意味を持つ時代になった。
それに対して我々はどう海外の選手を見るべきであろうか。
活躍できなかった選手を「ダメ外国人」とみるのか。それとも「チームとの歯車が合わなかった選手」とみるのか。
一人一人の目が試されるのだ。

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