外国人助っ人制度、やめませんか?

1、外国人助っ人

ここ最近ずっとNPBにやってきた外国人助っ人のMLB時代を調べている。
ほとんどがMLBで成績を残せていないか、もはや晩年という選手が多いので多くがマイナー時代の成績を見ることが多い。少なくともMLBに上がるか否か、みたいな力を持っている選手が多いのでほとんどがAAAで止まったという選手が多いが、これも時代によってかなり変化があって面白い。

基本的にAAAにずっといるMLBに上がり目のない選手がきがち、という印象が外国人助っ人に多い印象があるが、特に90年代以降はAAAと同じくらいMLBで控えだったという選手が多い。スタメンまでいかなくともメジャーリーガーと言って差し支えないような選手が日本に来て成績を残していることが多い。
例えばバースなどはマイナーリーガーという印象があるが、MLBにいた時期は通算して6シーズン。スタメンを張ったことこそないものの控えとしてミネソタ、カンザスシティ、モントリオールと渡り歩いている。光るものがあるが、めぐり合わせの兼ね合いでジャーニーマンをしている選手が日本に来て開花、というような選手が多い。同じような選手だとトーマス・オマリーなどもそうか。彼はサンフランシスコでスタメンを張っていたりする。

必ずしも上がり目のないAAAプレイヤーでもないというのがわかる。
もちろんフェリックス・ポンセのようながちがちのマイナーリーガーもいるのだが、こればかりは球団編成の兼ね合いというほかない。傾向とすれば巨人や阪神など資金に余裕あるチームがそういったメジャーリーガーにあたり、大洋やヤクルトなど資金面に避ける余裕が多くないチームがマイナーリーガーに向かっている印象だ。そんな大洋でもミヤーンなどのメジャーリーガーを当てていることは多いが。

ちょっとしたマイナーリーガーで必ずしも活躍できる土壌ではない、というのは別に近年というわけでもないのがNPBという立場なのだ。
アメリカでNPBを語られる際、4Aと言われる傾向があるがまさにそうで、MLBよりは軟化してはいるがMLBで活躍している選手が必ずしも活躍できるとは言い難いリーグであるのは別段21世紀に入ってからのものではないのだ。

2、変わり行く助っ人事情

しかし近年この傾向はより顕著になっている。
今日ある意見を聞いた。
「今は選手の年俸高騰でアメリカからろくな選手を呼べない」
というものであった。

これは正直それだけではないといいたい。
というのも2010年代以降、MLB経験者が必ずしも活躍できるほどの土壌ではなくなりつつあるからだ。
以前の助っ人外国人というとマイナーリーガーか全盛期を過ぎたメジャーリーガーか、というような感じで二十台くらいの選手なら期待値ほどではなくとも活躍で来ていたりすることが多かった選手も多かったが、阪神ルー・フォードが来日した辺りからあからさまに様子がおかしい。正直MLBで一年程度活躍した選手がそのまま来年活躍できるようになくなってきている。
どうしても巨人や阪神はメディア露出が多いからことさら活躍できなかった元メジャーリーガーの助っ人外国人を「はずれ」と言いがちであるが、どちらかというと他球団の芝生が青く見えているだけでアジャストができた選手以外や弱点を補えるチームだからこそ活躍できている選手などが多いだけで一概に言い切っていい状況でもない。

全体の傾向として「元メジャーリーガー」が活躍しにくい時代が来ている。
現在メジャーでやり切った選手より、メジャーに行けるか否かといった選手のAAA以外の選択肢としてNPBを選ぶ選手も少なくなく、AAAにいるよりNPBで活躍してMLBを目指す選手が出てくるほどにレベルが上がってきている。
当然淘汰するスピードが上がってきており、あの当時のバースやオマリーといった選手が今のNPBにやってきても活躍できるかわからないくらいの熟成をしている。
あくまでMLBに負けているだけで、世界中のリーグでは屈指の存在になりつつある。もはや過去の錦だけでか打つ役出来るほどNPBは甘い世界ではなくなりつつある。
現在も巨人を中心に一シーズンどころか数シーズン活躍した、二十台後半くらいのメジャーリーガーが外れ外国人の烙印を押されてアメリカに帰っていたりする。それくらい過酷なリーグになっているのだ。世界から注目される選手ならとかく、スタメンと控えを行ったり来たりしている選手ですら活躍できるか謎という時代がついに来たと言ってもいい。

3、WBCが外国人事情を変えた

これが顕著になったのはWBCが始まって以降であるように感じられる。
オランダを中心にNPBで活躍している選手がスタメンやエースを張ることが少なくなくなっているのだ。バレンティンが四番、バンテンハークがエースだったことを覚えている野球ファンも少なくないだろう。
下手なマイナーリーガーよりNPBの選手のほうがエースとなりうる時代になっているのだ。

もはや時代はWBCを一つの契機に日本とアメリカと一部諸外国のものではなくなりつつあるのだ。

そして現在ソフトバンクなどを中心にドミニカの若者を育成契約するなど外国人を取り巻く環境も変化している。
過去のように「日本」と「大きなアメリカ」という時代が終焉を迎えているのだ。もはやプロリーグですらランク付けをしていくことが可能なほど海外リーグのありようが見て取れる時代になった。

だからこそ思うのである。
そろそろ外国人枠の見直しが必要なのではないのか、と。

4、提案

なにも外国人枠を捨てろとは思っていない。日本人がプレーする枠を守る事は重要であるし、結局資金力のあるチームが有望外国人まみれにできる特性もあるからすべて取っ払えという気はない。
しかし、現在プロリーグが多く見受けられる時代に突入し、ドミニカのアカデミーから選手を契約できるようなプロとアマチュアの境界がはっきりしてきた今の時代に外国出身だから、と一つの枠にまとめてしまうのはいささか時代に合っていないように思えるのだ。
ドミニカのアカデミー上がりやイタリアのセリエCなどの選手とAAAの選手が肌の色や言語の違いだけで一緒くたに「助っ人外国人」と扱われていいのか、という疑問があるのだ。

現行外国人でもアマチュア、プロ相当、プロという三つの状況が見え始め、必ずしもメジャーだけがプロ野球と呼ばれなくなりつつある昨今、現状のまま外国人を扱っていいのか、という問いがあるのだ。

例えばMLBやAAAに出場記録のある選手は今まで通りの外国人枠として扱い、プロ未経験のアカデミー出身のような選手は非外国人として登録してもよいように思うのだ。
つまり選手のキャリアを重視し、日本以外からの選手の在り方を一部緩和するべきと考えるのだ。

例えばMLB,AAA相当のリーグ所属経験のある選手をA
AA以下のリーグ所属経験しかない選手をB
アカデミーなど金銭授受の契約を交わしていない選手をCとして考える

Aは外国人枠としてそのまま扱い、枠もそのままとする
Bは一軍登録されてから半年は特別枠とし、外国人枠として起用しない。ただし契約を翌年まで交わす場合は外国人枠に登録
Cは一軍登録されてから三年を特別枠とし、外国人枠として起用しない。ただし育成契約のみでしか契約できないものとする
※ 特別枠は外国人枠として機能しないが一軍には二名、チームで四名以内とする

というようなワイドさを持ってもよい時代になってきた。外国人を育成して自チームに繋げていく時代に突入したともいえるし、一方で即戦力性が未だに求められる事も否定しない。
ここのバランスを取る時代がきたと感じられるのだ。

もはやNPBは世界でもトップクラスの野球リーグであることは明白になった。だからこそNPBを諸外国とどう兼ね合っていくか、を求める時代がきたように思うのだ。

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