ホームレス大学生の悩み

時間は夜の11時
大学構内を薄暗い街頭の中、とぼとぼと歩き続ける

ぼくです

すると、ふと、立ち止まる
足が動かない

あれれ??

と思っているとその場に膝をつき、手をつき、動けなくなる

このときにようやく気づいた
自分が相当病んでることに

ホームレスになってからいろんなことが立て続けに起こり、自分でも意識していないところで、色々と神経をすり減らしていたんだろう
これはまずいと思い、そのまま研究室へ戻り今の自分の状況把握と今感じているストレスの原因追及を始めた

どこに泊まろうか問題

家がない生活をすることで、最初の方はとても楽観的に
「まあ、いけるっしょ!
こう見えてアジア各国渡り歩いてきてるんで」
と、余裕綽綽に構えていたが、実際にやってみるとしんどいことがたくさん出てきた
泊まれる場所は確かにいくらかある
研究室、友達の家、廃墟の寮、父のアパート
だが、1ヶ月2ヶ月と経つにつれ、今日はどこに泊まろうか、ということを考えるのがしんどくなってくる。いわゆる決断疲れというやつだ。あそこに泊まったら、朝早く起きないといけない。こっちはなんもないから寒いし。この友達ん家は行きすぎてちょっと行きづらいな、、。などなど
そのうち、「どこ泊まろうか問題」を日中から考えるようになってしまい、それがストレスゲージをチョビチョビ溜めていっていたようだ


ポンコツ系大学生問題

ぼくは半導体物性に関する研究をしていた
だが、ぼくは留学から帰ってきた段階で、実は退学をしようかと考えていた
そのため、
「卒業研究?
知らん知らんそんなもん!
おれは大学なんかやめて世界を旅するジャーナリストか動物写真家にでもなるんだい!」
と、当時は考えていた

しかし、そんな中、失恋やら就活を進めていくにつれ、だんだん恐るべき懸念が生まれてきた
それは

「自分は実は、ポンコツ系大学生なのではないか?」

という、疑問だ
そして、それは3つの出来事によって確信に変わった
1つは就活での失態
1つは研究室での評価
そして最後が、別れた彼女に対する鬼のような未練だ

これらの出来事によって、ぼくの心の奥底に封じ込めていた疑問はだんだん確信へと変わっていき、それはぼくが持っていたハリボテの自信をかき消し、退学云々の話も自然消滅していた

就活での失態「ボスキャリにいってきます」


留学から帰ってきた時には春の大就活祭りはすでに終わっていた。
そもそも就活に興味がなかったぼくだが、とりあえずと思って留学生なら誰もが耳にする「ボストンキャリアフォーラム」、通称「ボスキャリ」これに参加して就活というものを軽く一瞥しながら就活を終えようと考えていた

まあ自分の実力を試しがてら、いっちょこれに行ってきて、外資系の優良企業からバンバン内定勝ち取ってきたりますよ

という旨を、周囲の友人やバイト先の方々へ大口叩いて伝えていた

さあ、結果はどうであったか。。。


結局、ボスキャリ行きませんでした
あんなにいろんな人に大前切っといて、航空券を取りもせず、イベントの間、知り合いに見つからないようにひっそりと大学周辺で暮らしていました

ああ、なんというポンコツぶりでしょう
まだ、「行ってみたもの内定1つだけだった」とか「準備不足で狙ってた企業からは内定もらえなかった」だったら
まあがんばったじゃんか、次、頑張りなよ
となる

しかし、このポンコツホームレス野郎は行ってすらない
航空券を取ってすらない

なんでこんな選択をしたのかは謎に包まれるばかりである
一体、当時の彼の心理状況はどんなものだったのか
おそらく、ホームレスという圧倒的社会的弱者という立場から、「ボスキャリに参加する」という見栄を張ることで、心の均衡を保っていたものと思われる
悲しきかな、、ホームレス大学生

ちなみにその後、東京キャリアフォーラムという系列のイベントが東京で開催されていたのでそれには参加したが、何を考えていたのか
アディダスの一社単願
で挑みました

もちろん、結果はES落ちでした

これらの就活の失態から、自尊心の瓦解が始まった

研究室での評価

これはごくシンプルだ
研究室内でのぼくの評価は、おそらく全ての研究室内の学生の中で最低であった

ぼくは研究を真面目にしていなかった
どうせ辞めるし、そもそも研究内容もよくわかっていなかった

じゃあ別にしなくていーや
と思い、教授からの評価も研究室内での人間関係もオザナリにしていた

すると、評価も悪くなるし、誰とも特に仲良くなることがない
いーよいーよ別に、半導体とかよくわかんないし、ここは寝場所だと思ってるし

そこから、雲行きが怪しくなった
辞めると思っていた大学だったが、どうもそうは行かなくなってきた

小馬鹿にしていた就活では、自分のポンコツぶりが発揮され
せっかく4年の後半まで在学してきたのに、今更辞めんのもったいなくない?という謎の背徳感も出てきた

今となっては、あの時に辞めてても別によかったかな、と思うがそれは別の話

そんなこんなで結局卒論を提出するだけのあと4ヶ月、在学することになった

すると、形成は大逆転だ。もちろん悪い方向に

興味があろうとなかろうと研究は研究。何をすればいいのか、全くわからない、教授からの評価は最悪、周りに助けを求めることも出来ない状態で卒業研究を始めた

少しづつ研究のための勉強をしつつ、教授と卒研内容について話し合い、結局
「次世代半導体の赤外反射における裏面反射効率の改善」
というのがぼくの卒研内容に決まった

ここでわかる単語は
「半導体」「反射」「おける」「改善」
だけだ

どうしよう、全くわからない
この研究の方向性がわからない
次世代ってなんだ?そもそも現代の半導体も知らないのに、勝手に次を目指さないでいただきたい。まずは足元の技術から見直してみてはどうだろうか
そして、赤外反射?裏面反射?どっちなんだ。はっきりしてくれ。

こうして、圧倒的知識不足からくる卒研ストレスはぼくを研究室から遠ざけつつも、教授からの「大丈夫なのか?」オーラは高まっていった

ああ、卒研。どうしよう、、。
胃がきりきりと痛む、、。


元カノへの鬼のような未練

ホームレスになって1ヶ月後、彼女にふられた
理由は色々あるが、大きくは2つだ
1つは過去の浮気がばれたこと
そしてもう1つが将来性がないこと

ぼくとしては1つ目は大した問題ではない、と考えていた
確かに、それによって大いに彼女を傷つけてしまったが、それは終わったことでこれからどうするかが大切だ、そうだろ?男性諸君

ここで問題なのは2つ目だ
将来性がない。
うーむ、確かに。
ホームレス大学生、これが大学を辞めてしまうと、ただのホームレスになってしまう。将来性もあったもんじゃない

しかし、おれには世界を飛び回るジャーナリストになるという夢が、、
つい3ヶ月前に思いついた熱い夢があるんだ!

ここでぼくは彼女からした将来性と自身の将来の熱い夢を天秤にかけて悩みに悩んだ
すると、彼女的将来性の方に偏りはじめ、つい3ヶ月前にアジアを周ってる時に思いついた熱いパトスの方は次第に熱が冷め始めふわふわと軽くなっていった

ああ、、自分の思いなんてたかが彼女に振られたくらいで靡いてしまうような軽いものだったのか

なんか、虚しいなあ。

それとは別に、別れた彼女に対しては振られたにも関わらずご飯に誘い、飲みに誘い、未練たらたらな態度を取っていた

すると、とあるタイミングで帰り際に

「もう、こうゆうのやめて欲しい。なんか、近い、、」

と言われた

あぁ、、虚しいなあ。



家がなくなり、親密な交友関係もなくなり、将来に対する不安も大きくなり、徐々に徐々に、日常生活の中の隠れたストレスが加算されていたようだ

あれもこれもホームレスであること、そしてポンコツであることからくるストレスであった
ぼくは結局、その後も精神的に落ち続け、一定の堕落を経験した後、活力を取り戻し、なんとか卒研を乗り切り、なんとか就活を再会し、ようやく彼女との未練を断ち切ることが出来た



家がないということは自分が安心して落ち込むための場所がないということ
そうすると、落ち込む、というプロセスを踏まずに生活してしまう
そして、チリツモのストレスに気づかずいつの間にかに、道端に立ち止まり動けなくなったりする


安心して、落ち込む
おうちにはそんな機能もあったのね

しょうもない悩みを持ったホームレス大学生であったからこそ、気づいたことでした

現場からは以上です。

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