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♡Ep.【バイトリーダーを担う女】~彼女がいらない男Ⅱ~



ハルの生活はわたしが思う"普通"とはかけ離れていて

時間も不規則だし
運転が仕事のトレーラー運転手、
基本トレーラーの中での生活。

そして全国いろんな場所を行き来する。

ハル自身は、そんな大変な仕事でも
毎日同じ時間に同じ場所に出勤するような仕事は飽きちゃうから今の仕事は自分に合っている
と話していたけど

そうゆう仕事の旦那や彼氏をもつ人は
なかなかしんどいだろう。。

だって
家には帰ってこないし
毎日違う場所にいるし
休みもなかなか読めないし
活動時間もバラバラ

実際、離婚率の高い職種だそう。


ハルのそんな生活を考えれば
彼女をつくることが億劫になる気持ちも分からなくはないし

彼女では無いにしても(不本意)
毎日ハルと連絡をとったり、休みを合わせたりしているわたしもなかなか苦労していた。


まぁでも、
多分繊細な人とかメンタル弱い人にはなかなかできない生活だと思うから
そうゆうのがへっちゃらな
野性的?たくましい?ところ(生命力強そうw)が
男らしいと思って魅力に感じていたのも事実で


運転している最中に電話をすることも多かったから
ハルの仕事ぶりも伝わってきていたし
大変な仕事を一生懸命こなすハルを
わたしは全力で応援してたしサポートしたいと思っていた。




夜中に運転している時は
ハルが眠くならないように話し相手になったり

それでも眠くなっちゃってやばい時は
心理テストとかなぞなぞを出題して
頭を使わせることで意識を保たせたり(←結構効果あった)

それでもそれでもやばい時は
一旦トレーラー止めさせて仮眠をとらせたりも。。

で、時間になったら鬼電して起こす。


運ぶ荷物や使う道路によっては
先導さん(トレーラーの前を走って道を空けてくれたり誘導してくれたり)を付けて走っていることも多くて
先導さんは無線で逐一情報を共有してくれるので
ハルがわたしと電話しながら運転していても
急に無線で会話に割って入ってくる。

無線が入る前のピピッてゆう電子音が聞こえたら
わたしは即座に黙る(スピーカーとかBluetoothで電話しているからわたしの声も先導さんに聞こえてしまうので)
先導さんからの無線が終わるとハルとの会話を再開する、と慣れたもんだった。


ハルが疲れている時なんかは
無事に目的地までたどり着けるか心配で
夜中とか朝まで電話していたことも。

ハルが目的地に到着したら
「お疲れさまーっ!!」と、全力で労って
ヘトヘトのハルと同じタイミングで一服した。



そうゆう時間が好きだった。




そして、
"そんなことをしてあげられる自分"に酔っていたのかもしれない。



「ナナさんいつもありがとう。
俺ほんとナナさんに支えられてるよ。」


ハルにそう言ってもらえることで
必要とされている(自分に価値がある)と思えて嬉しかったし

ハルを支えていることで
まるで彼女になれた(る)ような気もしていた。




でも

時折また
わたしの中のサバサバ系姉御ギャルが


なんで彼女でもないのに
そこまでしてあげるの?



そんな支えられてるって思っても
彼女にはしてくれないじゃん?



わたしが気づかないようにしていた悲しい現実を直視させる。



分かってるよ。

でも、そうゆうのって、積み重ねじゃん……?

今のこうゆう頑張りが、
いずれ認められ、評価され、

無駄じゃなかった、頑張って良かったって
思える時がくるんだよ……!!!



姉御ギャルに必死に抗いながらも

拭いきれない"いつまでも認めてもらえないもどかしさ"
に気づいた時


わたしはこの感情を
以前にも経験していたことを思い出す。






それは数年前


仕事でなかなかアルバイトから正社員にしてもらえなかった時。



わたしは今の会社にアルバイトで入社していて
そこから経験を積み、
徐々に責任ある立場を任されたりして

後輩指導もしていたし
上司から頼りにされるように努力し、
もちろん正社員希望の旨を伝え
たくさんアピールしていた。



自分より後輩が新卒として入社してきたり
同じ働き、むしろわたしの方が役職をもらって負担も大きいのに
正社員の人より少ない給料で働いている現状に嫌気がさした時もあった。



それでもめげずに努力して
(もちろん近い上司はみんな認めてくれていた)

誰も文句が言えないくらいの結果を出して
正々堂々(?)と正社員にしてもらった。


当時の人員や環境、会社の状況とかタイミングもあって
わたしは結構苦労した方だと思う。
もっと簡単に、結果も出さずに正社員になれた人だっている。


でも、わたしは努力で、自分の力で掴み取ったと思っているから
たくさん苦労もしたけど自分が誇らしい。



でも逆に



こうゆう経験をしているから
わたしは自分で見切りをつけられない。




自分なら努力でなんとかできる、と

自分を信じてしまっているから


ハルに対してのこの現状も


今の努力が報われて
いつか彼女にしてもらえる

そう、思ってしまうのかもしれない。



会社(ハル)はべつに正社員(彼女)を募集してないのに
勝手にバイト(友達)の分際で
正社員(彼女)並の仕事(支えるとか)して

いつのまにか役職(彼氏って言っていいよ)もらって
普通のバイト(友達)よりは評価(必要とされる)してもらっているけど
結局正式には正社員(彼女)にはなれてなくて
だからお給料(ハルからの誠意、愛情)も対してもらえなくて

いつになったら正社員(彼女)にしてもらえるの?
ってひとりでヤキモキしてるけど



そもそもこの会社(ハル)って正社員(彼女)募集してないんだよね。




分かってる。

会社サイドだって、
たいした保証やお給料なんてなくても
正社員並の働きをしてくれるバイトがいたら

バイトリーダーなんてちょっと役職与えて
本人のやる気向上させて
もっと頑張って働いてもらった方が都合いいよね。

正社員じゃないなら
退職金だって出さなくていいしね。


…………………

もし、この会社がもう少し"普通"だったら
もし、わたしがもっと有能だったら

もっと簡単に正社員になれていたのかな……。



わたしはまだしばらく

バイトリーダーのまま正社員を目指して
この会社で一生懸命働いていくようだ。



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