♡Ep.【嘘でもいいから好きって言って】~彼女がいらない男Ⅱ~


「わたしのどこが好き?」


日頃"めんどくさい女"にならないようにと
自分の本音を我慢してまでも繕っているわたしだが

時折こうやって、心の中のマイメロちゃんが顔を出す


「じゃあわたしの好きなところベスト3は??」



「うーん、、
すごくしっかりしてて怒ってくれるところと~
たまにおっちょこちょいとゆうかなんかかわいらしいところと~
価値観とか考え方が似てて話してて落ち着くところかなぁ、、」


こんなめんどくさい質問でも
いつもふざけてるハルが真剣に答えてくれるから
彼女になれないわたしでも
ハルの傍にいてもいいんだと、
自分の存在価値を感じることができたりもした。


「あ、あと!
思いやりがあって優しいとこかな!!」


「優しい?いつもハルに怒ってるのに?笑」


「そうだけどー笑、
いやこの前とかさ!」



「この前?」



「うん。この前会った時さ、
俺が仕事で疲れてるからって
バナナのグミ買ってきてくれたじゃん?
前に食べてみたいって言ってたの覚えてくれてたのも嬉しかったし、
疲れてるの知ってて、元気になるように!って
俺の事気遣ってくれたのがさ

まじであれはグッときたよ。」






グッときたのに…?

それって
"好き"ってことじゃないんだ?



わたしの中のマイメロちゃんは
すぐに結果を求めるの。



でも、そんな風に言ってくれて嬉しいよ。

見返りを求めていないと言ったら嘘になるけど
あの日、疲れていたハルを気遣ったのは
まぎれもなく大好きなハルへの思いやりからだった

なにげなく渡したグミが、そんな風にハルの気持ちを動かしてたんだ。。




でもさ、あの日、あの後






ハルの気持ちがわたしに無いことを
わたしは思い知らされたんだよ



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わたしが地元に帰ってから
1ヶ月ぶりに、ハルに会った日


休みなく働くハルに会いに行った

夕方まで友達と楽しくお茶をしながらも
本当にこの後ハルに会えるのか不安だった
仕事が終わらなくてドタキャンなんて、ハルに限らず何度と経験してきたからだ

ハルの場合は仕事が終わらないとゆうより
全国をトレーラーで走り回るので
こっちに帰ってこれず(物理的に)遠くにいて会えないなんて場合もある


仕事が終わって今から向かう
そんな連絡をもらっても、直接ハルに会うまではやっぱり不安は消えないくらい
忙しい人と付き合い続けていたわたしにとってはトラウマになっていた。


………………



ハルと合流して、お好み焼きを食べに行った

数日前にお好み焼き食べたいねって話をしていたから
わたし的には想定内でむしろそのつもりだったけど
「本当にお好み焼きでいいの?」ハルは何度もわたしに確認してきた。

「え?いいよ。お好み焼き食べたい!
なんでそんな聞くの?笑」


「え、いやお好み焼きなんかの安いやつでいいのかなって。」


「なにそれ、笑、全然いいに決まってるじゃん!」


………………
…………………………


この時初めて
ハルがそんな風に気を使っていてくれたことを知った。

思い起こせば
旅行した高級旅館にしても
今まで連れてってもらったお店は全部
それなりに良いところだった。。

会える回数が多かった訳じゃないけど

いつもハルがお店を決めてくれていたから
なんの気もなくそのまま連れてってもらっていたけど
ハルにとったらそれって負担だったのかな。

そうゆう負担が、ハルにとったら彼女をつくりたくない要因にもなっていたのかな。。


…………………………
…………………………………………



お好み焼きを食べたわたしたちは
「美味しかったね!」と、言い合った。

美味しいご飯を食べて
「美味しいね。」と一緒に言える。
そんな当たり前のことで幸せを感じられる
そうゆう相手だからハルを好きになったし
そんな時間が大切だった。



わたしたちはホテルに移動して
2人だけで過ごす時間。

気軽に会える訳じゃないし
こうやってお泊まりするのは久しぶりだった。
ずっと、求めていた時間。

こうして一緒に過ごせるのは
わたしが彼女だからだと思いたかったけど
こうゆう時ですら、ちゃんと現実はわきまえてる


なんの記憶にも残らないような
B級映画をテレビで流しながら

薄暗い部屋の中で、テレビの明かりに照らされるハルの顔を横目に一緒にタバコを吸っていた

白くゆらゆらと形を留めない煙のように
掴めそうで掴めないハルの気持ちを
せめて今だけは、わたしのものにしたかった


「好きだよ。」

そう言ってキスをしたわたしの顔を見つめながら


「ありがとう。」

そう言ったハル。


それが答えだと分かっていたけど



「好きだよ。」

もう一度、そう言ってキスをしたわたしは諦めが悪い。



「ありが
「好きって言って?」


また、ありがとうと言おうとしたハルの言葉を遮った


強制的でもいい
今聞きたい言葉はありがとうじゃないから




「嘘でも言いから好きって言って。」




「好きだよ。」
「大好きだよ。」



ハルは何度もそう言った。




何度もわたしに好きって嘘をついた。





この夜、わたしたちは初めて体の関係になった。


むしろ、今までよくならなかったと思う。

"付き合ってないから"そんな事実が
ハルの理性を保たせていたのだろうか


簡単に手を出されないから大切にされてるとか
今の関係で寝てしまったらセフレになってしまうとか

正直そんなのどうでもよかった



今までわたしに手を出さなかったのは

ハルが自分を守る為だと分かっていたから。



寝たぐらいで彼女ヅラするような女なら
はなからこんなに悩んでないし

寝たことで自分たちの関係を問い詰める女なら
もうとっくにやってるよ。



体の関係になっていないから
わたしはハルを責めなかった訳じゃない。


今は手を出さない
ハルはそうやって筋を通しているつもりかもしれないけど


都合良く体だけを求めてくる男より


好きって嘘をつかせるほどに
自分の気持ちを我慢させる男のほうが

よっぽどタチ悪いし罪深いけどね。



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