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♡Ep.【報われない物語】~彼女がいらない男Ⅱ~



ずっと更新ができていなかったnoteを
またこうして書いている理由は

この季節になると彼を思い出すからで

未だに未練があるとか
そんな単純なことじゃなくて

彼との時間はわたしの人生のエピソードに
深く刻まれすぎてしまっているからだ


✼••┈┈••✼••┈┈••✼••┈┈••✼••┈┈••✼




時計屋さんの店員さんが言った言葉を
勝手に言い訳にして


ハルと終われるわけない。


自分の揺らいでいた意志を
逆の方向で固めてしまったわたしは

ハルの腕を組み、全力で彼女ヅラして歩いた。


同じように腕を組んで歩いている男女と何度もすれ違う


きっとみんな、クリスマスも幸せに過ごして、
数日後の年末年始も一緒に過ごすんだろうな。




わたしたちも彼らと同じように見えるだろうか?


幸せそうに見えるだろうか?


わたしはハルの彼女に、見えるだろうか?




⋱⋰ ⋱⋰ ⋱⋰ ⋱⋰ ⋱⋰ ⋱⋰ ⋱⋰ ⋱⋰ ⋱⋰ ⋱⋰



「そろそろ行こうか?」

「あ、じゃあさっきのとこに喫煙所あったからタバコ吸ってから行こ!」


「あ、さすがナナさん!そうしよー!」



もうすぐ、ハルとのデートが終わる

1分でも、1秒でも長く一緒にいたいのは
わたしだけなのかもしれないけど


あと少しだけ……
せめて、このタバコの火が消えるまでは

ハルの彼女でいさせてほしかったから


…………………………



帰りの車の中

「〇〇駅でいいんだっけ?」

ハルからのその問いかけにがっかりする。


そっか、今日はこのままバイバイか。

もしかしたらお泊まりできるかも!なんて勝手に期待しちゃっていた。


「…うん、あ、でも帰るのめんどくさくなってきちゃった。」

なにこれ。
バカみたい。
こんなお決まりのセリフみたいなの言っちゃって。
自分で自分を虚しくするなよ……


「?、でもナナさん明日仕事でしょ?」


「うん。仕事。でもまぁ遅番だから最悪明日の朝帰れば間に合う…」



「えっ、そっかぁ、、いや、ナナさん明日仕事って言ってたから
夜帰ると思って俺地元の忘年会行くって言っちゃったんだよね、、」


ほら、虚しくなった…

「あ、そうなんだ。今から行くの?時間大丈夫?」

こうやって自分の願望を押し殺して
平気なフリする自分がほんと嫌い。


「いや、時間は大丈夫。遅くなるって言ってあるから!」


「そっか、気をつけてね。」


……………………


結局ハルは最初に言っていた駅よりも
だいぶ先の駅まで送ってくれた


地元に帰るまでの電車は本数も少なくて
次の電車が来るまでの時間
さっきバイバイしたばかりのハルと電話をする


「あー、なんか忘年会行くのめんどくさくなってきちゃったなーーー」


「ごめんね、遠くまで送ってもらっちゃったから
。」



「いやそれは全然大丈夫なんだけどさ!
どうせ年越しも一緒にいるやつらだしさ、今日行かなくてもいいかなー?」



「え?いや行くって言ってあるなら行きなよ?」



「そうなんだけどさー!めんどくさいよー!
ナナさんと一緒にいればよかったよー!笑」



そうやってたわいもなく
わたしを傷つけるよね。




わたしがどんな気持ちで
ハルとバイバイしたと思ってる?


わたしがどんな気持ちで
平気なフリして、大人なフリして、
送り出したと思ってる?



行かないで!もっと一緒にいたい!
そんなワガママ言うのが怖いと思わせるのは

全部、この曖昧な関係のせいで





でも、この関係を終わらせられなかったのは
わたしの弱さ……





この夜、わたしから別れを告げられていれば


曖昧な関係を終わらせていれば




わたしは何年も

この季節が来る度に思い出さずにすんだの?





だって分かってたじゃん




駅前に停車した車の中で
別れ際にわたしがキスして欲しいのを分かってるくせに
一瞬ためらったハルに



この先この関係が報われないことなんて。




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