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読書感想 けんいち著「チベットへゆく」

著者のけんいちさんは、前回紹介した「エジプトの狂騒」を書いた白川雅さんことロ
ーローさんのエジプト日記をコミカライズした人という認識だった
漫画家さんということなら私とはあまり縁がないかなと思っていたけれど、どうやら
文字の著書もあるらしいと知った。
しかもいろいろな外国に滞在した経験があり、今は上海に住んでいると言う話。
いくつかあるキンドル本の中であまりなじみのないチベットの本があったのでちょっ
と面白そうかと読んでみることにした。


私にとってはチベットどころか仏教も全く縁遠い存在。
家族はカトリックで通っていた学校もカトリック。家にはアドベントカレンダーはあ
ったけれど仏壇はない。日本生まれ日本育ちの日本人の分際で就職するまでお盆と言
う概念すらなかった。
だからといって敬虔なクリスチャンかと言ったらそこら辺は典型的日本人、教会へは
クリスマスやイースターくらいしか行っていない。


仏教は日本史で触れただけ。大乗仏教と小乗仏教があるというのは何となく理解でき
たけれど、日本だけでも多くの宗派があるのはどういうことなのだろうか。
こんなにポンポン新宗派を作っていいものなのかというのが正直な感想だった。

王子様だった仏陀が修行をしてこの世の苦しみである生病老死から解脱したというのがスタートだったのではなかったか。


ダライ・ラマについての知識も今は14世で、外国に住んでいてノーベル平和賞をもら
ったというくらいの知識しかなかった。


小学生の時に見た世界地図の記憶では大きな中国の中にチベットやウイグル自治区が
入っていたけれど、これはどういう意味なのかとずっと不思議だった。共産党の中国
なのか?仏教でお馴染みのチベットなのか?

この本の中でもチベットの歴史が触れられていて、共産党中国とチベットの確執につ
いても書かれており、上記の地図の謎は解けた。そしてダライ・ラマ14世がどうして
外国にいるのか、そして国外脱出劇についても触れられていた


14世はもう自分は転生しないと言っていたそうだが、輪廻の輪はそんなに簡単に止め
られるのだろうか。14世自信が公の場でこのような宣言をしたのは次の転生者を守る
ため?これも政治的な駆け引きではないかという事だったが、そこまで政治が介入し
なければならないチベット仏教は共産党にとってそこまで脅威になりうるのか。

しかも今現在、チベットではダライ・ラマ14世が「名前を言ってはいけないあの人状
態になっているとの事。


ダライ・ラマは代々転生すると言う話はどこかで聞いたことがあったが、その辺につ
いても詳しく紹介されていた。同じ人が転生しているはずなのにその人その人で個
性があってキャラも様々。
一覧性ソーセージが同じ遺伝子なはずなのに微妙にキャラクターが違うと言うのに似
たイメージなのだろうか。


そして何よりもビビったのが高山病エピソード。
富士山より高い海抜5000メートルオーバーってどんなところなのだろうか。


ちなみに最近まで外国人はチベットに旅行ができなかったそうだ。今でもガイドさん
と決められた場所にしか行かれないとの話だったが、今回けんいちさん達が本来言っ
てはいけないような幻の寺院にひょんなことから行く事になったエピソードが興味深
かった。

そこにはあってはならないダライ・ラマ14世の写真があったり、多くの仏典があった
り。チベットにはまだまだ一般的には知られていない宝がたくさんあるようだ。


太陽に近い海抜5000メートルから眺めた景色はどんなだろう。仙人が出てくる中華フ
ァンタジーのようなのだろうか。目が見えなくても清浄な空気は感じられるかな。そ
れ以前に私も高山病になるに違いない。
友人は海抜2000メートルでも高山病になっていた。


幻の寺の僧は仏教の存在意義は死の恐怖を克服するための最終手段だと言っていたそ
うだ。
生病老死のラストが死だからそれを超えることが目標なのだろうか。

チベットに来る巡礼者のストイックな話などからも、仏教の深遠な精神世界、私は何
回転生しても理解できそうもない。
それでもこういう世界があるという事を学べただけでも有意義だったと思う事にしよ
う。



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