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見えなくてもフライパン

先日ヘルパーさんとフライパンを買いに行った。彼女は料理上手の頼もしいマダム。

以前友達とニトリに行ったらバラエティー豊かな調理器具がかなりお値ごろで売って
いた。だから今回もお値段以上を期待してニトリに行く事にした。

期待通り、いろいろな形状や大きさ、深さのフライパンがより取りみどり。中には二
つに区切られていて片方でウィンナー、片方で卵焼きが焼けるみたいなお弁当使用の
物なんかもあって、見えていたころから情報がほぼアップデイトされていない私には
興味深い発見がたくさんあった。

ヘルパーさんには大きくて深めのものを探してもらう。するとヘルパーさん、「一人
暮らしでそんなに大きいのが必要なの?」と聞いてきた。

そっかそっか、私は盲かなり盲人どっぷりになってしまったので普通の間隔がわから
なくなっていたようだ。

大きさが必要なのは肉を焼くときなど。
私のような貧乏人は基本豚こまみたいな安い肉しか買わない。肉野菜炒めなどを作る
とき、見えないと肉が焼けているかどうかわからない。だから、買ってきた肉を手で
フライパン全般に広げてまんべんなく焼けるようにする。肉が焼けてきて熱くなって
きたらさすがに手では触れないのでフライ返しなどで混ぜる。

深いものが必要なのははじめ野菜がかさばってフライパンの外に落ちてしまうからだ

片付けもうまくできないので、数日後にいつのだかわからない野菜の切れ端とか肉片
が発見されると絶望的な気持ちになる。
それに深ければスープやシチューみたいなのもフライパンで作れるのだ。

ヘルパーさんは大変納得してくれていくつか探してくれた。持ち手が長いのも使いづ
らいので深くて大きくて持ち手が短めで重すぎず軽すぎずのものを買った。もちろん
テフロンである。


一人暮らしを始めた頃はどうせ大したものは作らないからと100円ショップの小さい
ものを使っていた。でもあまりに底がペコペコなので友達に相談したら、下手だから
こそいいものを使った方がいいのではということになり、突然高額なティファールの
ものを買った。さすがブランドものは変なにおいはしないしすばらしい!!でもテフロ
ンは時間がたつとテフらなくなる。そっか、どうせ数年しか使えないのなら高いブラ
ンド物は必要ないのかとその時悟った。

そしてティファール様もいよいよ油を敷かないとくっつくようになったので買い替え
ようと思ったところ、何かのポイントがかなりたまっていた事に気づく。そのポイン
トで栗原はるみさんプロデュースのフライパンをGETした。

深くて大きい。餃子もたくさん焼ける。家事援助のヘルパーさんも絶賛だった。それ
でも数年するとまたテフらなくなってきた。

当時はニトリの存在も知らなかったので、ネットで大きさだけ確認して「軽い」が売
りの安い商品を買った。宣伝文句に偽りはなく、めちゃくちゃ軽い。ちょっと浅めな
のが使いづらいかなと思っていたけれど、それより軽すぎてちょっと手が引っ掛かっ
ただけであっちの方へ飛んで行ってしまう方が問題だった。
これは逆に危ないのではないだろうか。

家事援助のヘルパーさんには「今度はちゃんと自分で触って買ってくださいね」と言
われる。


そうこうしていたら姉が引っ越すことになった。引っ越し先がIHで今まで使っていた
鍋釜が一切使えなくなってしまったとの事。もったいないので私が使えそうなものは
もらうことにした。その中に外国で買ったフライパンがあった。

鉄板焼き屋さんの鉄板をフライパンにくりぬいたみたいな大きくて重いやつだ。蓋を
したら片手で持つのも大変。もちろんテフロンではない。

「ステーキがおいしく焼けそうですね。」とヘルパーさんは絶賛。だけど私はステー
キ何て買えないし、冷凍の餃子を焼いたときはひき肉となんか白いものが混ざってい
る残骸みたいになってしまった。

これは上級者用のフライパンなのではないだろうか。要するに1km2kmくらいしか走れ
ない私がナイキの3万円くらいするランニングシューズを履くようなものなのではな
いだろうか。
高くて高級でも分をわきまえていないとリアル「猫に小判」になってしまう。


そして今のフライパンに行きついた。


だからと言って私が料理ができるとか料理好きという事は全くない。アレルギーがあ
るから仕方なく作っているとか買う方がストレスだとかそんな後ろ向きな理由で簡単
なものだけを作っている。


最近はありがたいことに、いろいろできる電子レンジやら見えなくても安全で簡単に
使える器具が増えてきた。
冷凍食品も昔に比べて断然おいしくなっている。

昔はよかったなんていう人もいるけれど、目が見えようが見えまいがほぼ大半の事に
関して今の方がずっと暮らしやすいと思っているのは私のような障碍者だけではない
んじゃないかな。

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