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「批判」という言葉をめぐる誤解 ―映画『怪物』鼎談記事を読んで思ったこと

映画『怪物』をめぐって、監督である是枝裕和さんと、『怪物』批評を書いた映画文筆家の児玉美月さんとライターの坪井里緒さんによる、三人の鼎談が朝日新聞デジタルで公表されていた。分野は違えど評論業を生業としている身からすると、いろいろと考えることの多い記事で、今日はこの記事について思ったことを書いてみたい。


まずは内容もさることながら、私はまずこのような場が成立したこと自体「すごいな、信じられないな」と感じた。

SNSでのこの記事への反応を見ると「こんなふうに批判に応答する是枝監督すごい」という評判が多いように思う。私自身その意見には同意なのだが、それ以上に「いやこの場に立った坪井さんと児玉さんももっと評価されるべきではないか」と心底感じている。

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