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一口エッセイ:ゴブリン突撃部隊

 めちゃくちゃ攻撃的なリプライを送ってくる捨て垢が居て、アイコンを見てみたら「ゴブリン突撃部隊」で笑ったことがあります。
 ゴブリン突撃部隊は遊戯王カードの中でも面白い一枚で、攻撃力が高い代わりに、攻撃を終えた瞬間に守備表示になる上に、守備力が0ときた。つまり、その名の通り「突撃」するために生まれた、使い捨ての脳筋たちを集めた駒なんです。


 彼は、目についた呟きに暴言を吐くことでストレス発散する自分を、凶暴だが守備力のないゴブリンだと自覚している。攻撃的な人って「自分は賢いのに、バカたちの方がチヤホヤされて稼いでるのはおかしい」と認識していると思っていたから、自身をゴブリンにするほど客観視しているのは珍しい。
 だって、「攻撃的なバカ」って自覚しているのであれば、効率で言うならネットで他人を攻撃する時間を読書や動画、なんなら散歩にでも回した方が100倍有意義であることが分かっているはず。これは、「アンチは良くない」なんて道徳的な話でなくて、粘着行為に回す時間の虚無性は冷静に考えれば分かる筈です。本人も気づいているから、ゴブリンをアイコンにする自虐をしている。
 なのに、人生を有意義にすることよりも、刹那的なストレス解消を選んだ。そのアンチ行為によって、自身の魂がどんどん穢れていくと知りながら。他人を攻撃する刺激の快楽に呑まれているのだ。ある意味、真のネットの被害者であるわけですが、彼は恐らく今日もどこかで誰かと戦っているのでしょう。そうすることでしか生きられない、SNSに召喚された悲しきゴブリン突撃部隊なのだから。

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