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マタタビ日記 Jan.-3

14日。サカナクション山口一郎のツアー「懐かしい月は新しい月“蜃気楼”」東京ガーデンシアター公演に行ってきた。この日は長らく病気療養していた一郎くんの復帰公演。友人とサカナクションのライブを見に行こう!って話してから、気付いたら3年以上経ってしまった。この日ようやくソロという形ではあるけど、一緒に行くことができて嬉しい。

ステージ上にPA卓があるというあまり見ないセット。これはやったないことをやって違う景色を見てみたいということで発案されたとのこと。それ以外はシンプルな照明に、マイクスタンドが一本。劇のブザーにような音が鳴り、ライブがスタート。一郎くんがひとりで出てきて深々とお辞儀をする。そのままスタンドマイクに向かって息を吸い、「僕は〜」と歌い出し、ピアノの伴奏が乗る。1曲目は、「サンプル」。アレンジは先日出た「懐かしい月は新しい月 Vol.2」と同じバージョン。ありのままの山口一郎。16年前のこの曲に、全て集約されてるんじゃないかと思わされた。

僕はそれとなく頷いて笑った
青く光る魂は 疲れた肌を隠した
見てたんだ 徒然の折り重なる知識の山
一人でずっと立ち止まり見えるものは愛らしさ

サンプル / サカナクション

シンプルだと思っていたステージには仕掛けがあった。移動型の液晶パネルで、ある時は部屋のように、ある時は街中のように、曲によってその景色を変える。パネルの向きで立体的に見せたり、創意工夫もすごい。

本編の最後は、「目が明く藍色」。直視できないくらいの輝度を放つ光の中、スモークにまるで蜃気楼のような歪んだ景色が現れて、曲が終わった後、そこに一郎くんが身を投じる。もしかしたらちょっと思い違いかもしれない。幻ではないんだけど、幻を見てるように錯覚するくらいの体験だった。直接的に受け止めすぎて、あまりよく覚えていないというのが正直なところだ。

あまり大きな声では言えないけど、あたしはその昔、そこまでサカナクションを熱心に聞いてこなかった。印象が変わったのが、この「目が明く藍色」の後の楽曲にあたる「ルーキー」を聞いた頃。初めて聞いた時の事、今でもよく覚えている。バンドのギアが明らかに変わって、一郎くんの顔つきも変わったように思えた。その時期突発性難聴を患ったこともあるだろうけど、心血注いだことは明らかだったし、兎にも角にも「目が明く藍色」という楽曲が、分岐点なのだと思う。無知なあたしを補うためにも、記事を置いておこう。

第2部はアコギを持って、前半とは違い、少しリラックスした空気の中進められた。縄跳び100回飛んだ後の、カラオケ「アイデンティティ」には笑ったし、サカナクションが復活したら絶対やりたいと言って歌った「シャンディガフ」にはこの上ない愛を感じた。この曲が終わった後、少し病気について触れた。詳しく書くのは野暮な話なのでしないけど、一郎くんは「辛かった」と溢した。その言葉はとても重く、今日ここに立つまでの間、どれほど大変だったかが手にとってわかるようだった。その後、演奏した「白波トップウォーター」。デビューアルバムの曲なのに、まるで今日のためのような歌詞。

スパンコールな波際で
浮かび続けるんだフローター
上の空で漂う
誘惑 罠全てが
ぐるぐる回り続けてるんだ
悲しい夜が明ける

白波トップウォーター / サカナクション

下瞼に浮かび続ける泪を拭い、精一杯の拍手。すると一郎くんが「サカナクション、春から完全復活です!」と叫ぶっ!と同時に「新宝島」のイントロが・・・えっ、生音!?すると楽器を持ったメンバーがステージ袖から登場!嘘でしょ、、あまりのサプライズに腰を抜かしそうだったけど、このとき強く思った。「あぁ…あたし、ちゃんとサカナクション好きだった!」って!

それでも君を連れて行くよ
揺れたり震えたりした線で
描くよ
君の歌を

新宝島 / サカナクション
待望のツアー‼︎

追伸。
待望のツアー、無事当たりました。もっともっと好きになって、会いに行くよ!

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