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ジブリ映画「思い出のマーニー」

製作 2014年
監督 米林宏昌

これはジブリ作品としては異質な作品です
なるほど駿さんでは描けない、躍動感のない暗い主人公です。
いや昔の「ハイジ」や「母を訪ねて」「フランダース」の雰囲気に近いような・・。結論言っときますと、これはこれで結構よかったです。

幼い頃に両親を亡くし、里親に育てられた12歳の少女杏奈。
あることがきっかけでその里親も信じられなくなっている。
喘息を患い、人に迷惑をかけていると思っている。
そんな自分が嫌い。暗く無表情で対人恐怖症・・・。


育ての母は、そんな杏奈を喘息の療養にと海辺の村にある親戚の夫婦に預ける。
また厄介者にされたと被害妄想の杏奈。
その村でも杏奈は人との関わりを避け、一人風景のスケッチに没頭する日々。
と、湿原の対岸に幽玄と見える古く湿った屋敷に、なぜか強く心を惹かれる杏奈。
そしてある日、不思議な金髪の少女とマーニーと出会う。
マーニー。
夢か現か・・どこか現実離れした彼女に杏奈は惹かれていく。
いつしか二人はお互いの身の上話をするようになり。
マーニーもまたつらい現実を背負っていたと知る。
杏奈はマーニーを救いたいと思う。
しかしマーニーは忽然と姿を消す。
やはりマーニーの存在は夢だったのか・・・
「マー二―。あなたまであたしを裏切るの?」
・・・・
そして杏奈は、マーニーの正体を知る。
海辺の村から帰る日、
駆けていく杏奈の躍動感あふれる後ろ姿があった。


そんな話です。

二度目の鑑賞です。1度目は正直パッとしない印象でしたが。
今回の鑑賞で、俄然評価が上がりました。
冒頭、杏奈は自分の事を「外側の人間」と表現します。
「内側の人間」=明るく元気なリア充グループ。
「外側の人間」=暗く陰気なひとりぼっち。
僕も学生時代からずっと「外側の人間」でしたが、
しかしそんなに自分が嫌いじゃありませんでした。
むしろ自分好き。人と違うひとりぼっち上等。一匹狼気取りの自分好き。
だからいじけた感じの人の気持ちはあまりわからない人間でした。
そういう感じの人間は嫌いでした。
トシトッタのかな~。
最近はそういう人の気持ちわかる気がします。
体の具合もあっちこっちおかしくなってきて・・・
心身にゆとりもなくなってきて・・包容力のキャパ狭くなってるんじゃないか
人に不快感を与えてるんじゃないか・・・と自分に自信もなくなって・・。
そんなわけで
今回は杏奈のキャラ、始めから温かく見守れました。

人はみんな自分だけが辛いと思いがち・・
しかし誰だってそれなりに問題を抱えている・・
一見、リア充のように明るく元気に見えても
そして人を救いたいと思う願望もまたある。
それは思い上がりだろうか。
人を救う事で、自分が救われることもある。
そんなことをちょっと考えたのでした。

大きな感動はないけれど、静かに心にしみるいい作品だと思います。


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