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【小論文再現答案】「豊かさ」について

 現代において、「豊かさ」というものの定義とは何であるだろうか。豊かさを2つの要素にわけると「精神的な豊かさ」と「物質的な豊かさ」に分けられることができると思う。では、精神的な豊かさと物質的な豊かさは違う概念なのであろうか。両者は違うようで似ている概念だと私は考えている。
 私は現代では精神的な豊かさも物質的な豊かさもお金で買えるようになっていると思う。しかしながらその反面で精神的な豊かさというのは現代社会では精神科疾患に代表されるような問題を生み出しているのではないだろうか。精神的な豊かさをお金により買うことは可能であるが、その反面において、精神的な疲れもまた顕著なものとなってきたのではないだろうか。その結果、逆に豊かさの弊害として人々の心の問題となって来たのではないだろうか。また、物質的な豊かさを追い求めるあまり、高度経済成長期以降、環境問題は深刻化していったのである。
 では、私たちはどのようにすればそれらの豊かさの弊害である、心の問題や環境問題を解決することができるであろうか。私たちの心の問題もまた環境問題と繋がっているのではないだろうか。例えば、私は淡路島に住んでいるが、淡路島にある成ヶ島という離島には大量のゴミが流れ着いている。人々が大量に廃棄したものが海の向こうから流れ着いているのである。私は漂流ゴミの問題というのは人々の心の問題であるのかも知れないと思った。そこで、人々の心の問題をうまく解決して環境問題の解決に繋げることのできる方法として、人々の環境問題に関して倫理的な側面を教育していくような機関が必要になっていっていると私は思う。環境問題を解決するのにあたり、人々の倫理的側面の充実は必要になってくるのではないだろうか。精神的な豊かさと物質的な豊かさを総合して考えるとき、心の問題と環境問題は繋がってくると思う。
 環境科学は総合的な学問である、それゆえ近代的な自然科学や社会経済的な側面だけでなく人間の心に対するアプローチもまた必要となるのである。(800字程度)

出典:兵庫県立大学 環境人間学部 編入学試験 小論文 設問「豊かさについてあなたの意見を800字程度で述べよ」(原稿用紙マス目850字 制限時間150分)より 試験日:平成16年(2004年)8月3日実施 受験者15名 合格者5名 この答案は受験当時の記憶を元に再現したものである。

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