おしっこの話

おしっこの話



大学2年生の頃、彼女の実家に彼女の親にバレないように泊まるというドチャクソエロ体験をよくしていた。
彼女の親は彼女の部屋へ入ることはなく、また彼女の部屋のある2階へ上がってくることも滅多にないので、スリルを味わいながらもある程度の安心感を持って過ごしていた。
かといってそんなエッチなことをするわけでもなく、金もないのでコンビニで安酒を買って映画を見て過ごすといった流れがお決まりだ。
何不自由ない楽しい時間の中で唯一の難点はおしっこだ。トイレは一階にあり、母の目を盗んでトイレへ行くことなど不可能だ。
2階の窓からおしっこをしてみたり、死ぬほど我慢してみたりしてみたが、どれも性に合わず、最終的に飲み干した空き缶におしっこを貯めて、朝母が仕事へ行った後に捨てるという天才的な発想に辿り着いた。
しかし、おしっこというものは自分が想像しているよりもはるかに量が多い。350mlの酒など容易に満杯になる。500mlの缶を飲むようにしていたが、それでも足りないので、どうしてもおしっこがしたくなると一気飲みをして空き缶を増やす。
少し話を曲げると、これはプロ野球と同じだ。
毎年のようにドラフト会議でフレッシュな選手を取り入れ、キャパオーバーすると、まるでおしっこと同じように戦力外選手が排出される。
戦力外選手はフレッシュなルーキーがかつて居た、プロ野球選手になる可能性を持つ一般選手という缶へ放り込まれる。
ここまで読んでわかってくれたと思うが、僕の少年時代の夢はプロ野球選手だった。もうプロ野球選手になるという夢は叶わないが、プロ野球といった小さくも巨大で、夢のある組織と同じ経験ができたことで、僕は少し自信を持つことができた。
僕は現在金属バットは置いて、自分の木製バッドを持ち、缶の飲み口という狭いストライクゾーンをめがけ糸を引くような直球を投げ込む、陽岱鋼ならぬ尿大缶となってしまったことに気づくまで残り5年。それまでは350缶じゃなく500缶でビールを飲んでいてほしい。

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