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パズルと数独の世界大会のためにポーランドに行った話・前編

お久しぶりです。にょろっぴぃです。


はじめに

先日、日本パズル連盟(JPF)で、世界大会関係の告知が続けて出ました。

WPC体験会

2023日本代表選手団クラウドファンディング

【いざカナダへ】世界ナンプレ・パズル選手権2023の日本代表を応援しよう! - CAMPFIRE (キャンプファイヤー) (camp-fire.jp)

私は、WPC体験会には少しだけ運営側で関わっていて、
また、WSPC2023では日本代表選手団の1人に入っています。

ということで、大分前の話ではあるのですが、
そもそもこの世界大会はどんなイベントなのかという紹介も兼ねて、このタイミングで、去年の10月に開催された世界大会の報告をしたいと思います。


パズルの世界大会とは?


概要は上記のクラファンのページも参照してください。

一言で言えば、パズルをどれだけ早く解けるかを競う世界大会です。

数独(ナンプレ)は本来はパズルの1つに過ぎないのですが、人気が高かったため、独立して1つの大会になりました。
現在では世界ナンプレ選手権(WSC)と世界パズル選手権(WPC)が同時に開催され、多くの参加者は、約1週間、数独とパズルを解き続けます。

上記のクラファンの説明文では「ペンシルパズル愛好者にとっては夢のような祭典です」と書かれていますが、傍から見れば、ただのクレイジーなイベントです

・何が出るの?


パズルのうち、いわゆるペンシルパズルと呼ばれるパズルが出題されます。代表例はクロスワードや数独で、上記の通り、数独だけは単独でWSCで出題されます。

一番有名なペンシルパズルはクロスワードだと思いますが、実は、世界大会ではクロスワードは出題されません。
世界大会なので、特定の言語知識を問う問題は出せないのです。

同様の理由により、全体的に言葉系のパズルは出題が少なめです。文章を使った論理パズルや、言葉を使った謎解きのような問題も出題されません。

・日程

大会が大体6日間、日本からの移動も併せて10日程度で、10月に開催されることが多いです。去年はクラクフ(ポーランド)で開催され、今年はトロント(カナダ)で開催されます。

・1~2日目 WSC
・3日目 休み(移動と観光日)
・4~6日目 WPC

というスケジュールになることが多いです。
大会は大体毎日朝~夕方で、夜は何かしらのイベントが大体入ります。

・参加費

基本的に全額自費です(*1)。

全額自費です。

全額自費です。


とても大事なことなので3回書きました。


「賞金は出るんですか?」は世界大会の話をすると聞かれる質問ベスト3ですが、賞金は全く出ません。そして全額自費です。

参加費は場所や為替によっても左右されますが、去年は私が参加した世界大会ではダントツ高く、45万ぐらいしました。

45万といっても、大部分は航空券代です。去年はコロナ明けもあって、過去最高値を更新していきました。
大会参加費は10万ぐらいのことが多く、この金額で全ての宿泊、ほぼ全ての食事、施設費などが全て含まれています。その気になれば、現地では1万も使わずに済みます。


クラファンのページにも書かれていますが、今年の参加費は40万弱です。
私が世界大会に行くのは今年で7回目なのですが、おそらく、去年に続いて2番目に高いです。物価高の国だからなのか、大会参加費が若干高めです。

私のような社会人はともかく、学生には厳しいと言わざるを得ない金額で、今回初めてクラファンが立ち上がったのも、特に学生を金銭的にサポートしようとの想いによるものです。
本記事を読んで、世界大会に少しでも興味を持ったり、選手を応援したいと思って下さった方は、少額でもクラファンでサポートしていただけますと幸いです。リンクをもう一度貼っておきます。

【いざカナダへ】世界ナンプレ・パズル選手権2023の日本代表を応援しよう! - CAMPFIRE (キャンプファイヤー) (camp-fire.jp)


・参加者

年にもよりますが、世界各国から大体200~300人程度が参加します。参加者はヨーロッパと(東)アジアが多めです。
1か国の参加人数は4~12人程度の国が多く、日本では近年は8人で固定されています。後述する選抜でWSC、WPC各8人の代表が選ばれます。

参加者や国のレベルも差が大きいのですが、日本はWSC・WPC共に、世界有
数の強豪国となっています。
特にWPCの選手層の厚さで言えば、世界最強と言っても過言ではありません。
一方で、国によっては、参加者でチームを集めるのもやっとといった国もありますし、パズルは別に解けないけど、楽しいので毎回来ている人もたくさんいます。お金と時間をかけてわざわざパズルを解きに来る、世界中からクレイジーな人が集まる大会です。


世界大会の歴史に興味がある方は、こちらの記事も読んでみて下さい。

世界パズル選手権と日本の30年|saikachi (note.com)


代表選抜


世界大会に参加する日本代表を選抜する大会で、WSC、WPCそれぞれ行われます。1発勝負の選抜大会で、シード権者を除く各7人が選抜されます。

私自身の2022年の結果については、こちらの記事を参照。
WSC・WPC選抜大会2022|nyoroppyi (note.com)

この年はどちらも選抜がうまく行き、WSCではBチーム、WPCではAチームに入ることが出来ました。

初参加は2014年で、2022年で6回目の参加です。
最初の2014年、2015年はどちらもこれで最後になるだろうと思っていたのですが、社会人になっても思いの外休みを取ることができ(おまけに、職場にも1年目から知られてて公認に近い)、いつの間にか10年近くも行っていました。沼に引き込まれました。


事前準備

・インストラクション


オンラインでパズルの大会に参加したことがある方であれば分かると思いますが、大会で出題される問題については、事前にルールなどが書かれたインストラクションが公開されます。

世界大会のサイト(Home - World Sudoku & Puzzle Championships 2022 (wspc2022.com))からダウンロードできます。

・WSC
https://uploads-ssl.webflow.com/62793457876c001d28edf162/6348945a45b06acb414391b7_WSC_2022_IB_v2.1.pdf

・WPC

https://uploads-ssl.webflow.com/62793457876c001d28edf162/634a6078a4b16a5f1996d95b_WPC_IB_v1.0.pdf

公開は大体大会の1~2週間前です。
当然全て英語で、大会前に読んでくることが前提となります。日本代表だと、出国前に読み合わせ会が開催されることが多いです。


・Discord

大会では、このインストラクションに関する質疑応答の時間があるのですが、2022年では、初めてDiscordサーバーが導入されました。
インストのアップデート、質疑応答、誤字脱字訂正から、当日の観光案内まで、ほぼ全ての情報がここに集約されてたと言っても過言ではなく、文明の発展を感じました。コロナ禍によって、世界大会も2年間の中止を余儀なくされました、この点だけはコロナ禍の功績です。

合わせる形で、日本代表チームでも初めてDiscordを使いました。
対面で行っていた読み合わせ会をオンラインで済ませたり、当日の連絡などにも使いました。文明の利器。

選手は常連や顔見知りが多いのですが、日本代表では、間口を広げようという趣旨から、毎年少なくとも1人、新人枠で選出されます。私も初参加の2014年は、この新人枠を使って行きました。その後こんなに行くとは思ってもいませんでした。

大体1~2人は初めての人になるため、上記の読み合わせ会とは別に、顔合わせ会が行われることが多いです。今年は少し早いのですが、先週末に開催されました(私は行けませんでしたが…)


・練習など

上記のスケジュールのため、大会で出題されるパズルの種類が公開されるのは大体1~2週間前です。
そのため、個別ジャンルの対策は直前にするしかなく、行きの飛行機では、往々にして解いたことがないジャンルの練習問題を解いています。

それ以外は日頃から練習するしかありません。人によっては、作者や国から出やすそうなジャンル・作者の対策をするようです。
私はというと、基本的に日頃からコツコツ練習するタイプではなく、普段は全く練習しません。大体大会1か月前ぐらいから慣らしていって、大会時にうまくピークを持っていくような感じで調整することが多いです。


長くなったので、前編はここまで。
後編では大会レポートを書きたいと思います。それではまた!


*1)スポンサーが付くと、若干参加費が減ります。

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