丘のうえのハウゼン博士 その1
坂道を駆け上がると、そこには屋根のうえの風見鶏が特徴的な洋館がある。
くすんだオレンジ色に塗られた屋根と、白い漆喰の壁。
重い木目調の扉をひくとカランコロンとドアベルが鳴るのだ。
「ハウゼン博士ー、来たよー」
わたしは学校帰り制服のまま、自転車に乗りこの洋館に来るのが日課になっていた。
「おお、藍美かよう来たね」
日本に来日してもう20年になるハウゼン博士は、流暢な日本語を使ってわたしを迎え入れてくれる。
なかにはいると、高い天井にシーリングファンが回っている。あた