ワクチン
一時期「コロナ離婚」という言葉が流行ったが、新型コロナに対する考えは多くの人にとってリトマス紙的役割を果たしている。
コロナに対する考えは他の話題よりも性格や物の考え方がハッキリ出やすいのだ。
ゆえに読者離れを引き起こしやすい話題でもあるのだが、今回はコロナの話題の中でも意見が分かれやすい「ワクチン」について語りたいと思う。
まず僕はワクチンに対して推進派でも反対派でもない。
高齢者は接種による便益がリスクを上回っていたと思うが若年層は打つ必要がなかっただろう、という立場をとっている。
念のため言っておくと、SNSに跋扈する何でもかんでもワクチンにこじつける極端なワクチン反対論者とはまったく考えが違う。
打とうが打たまいが本人の勝手だと思っているので、他人の選択にとやかく言ったこともない。
(ちなみに僕自身は一度もコロナワクチンを接種していない)
ここ最近不思議に思うのは、あれだけ毎日陽性者の数で大騒ぎしていたメディアがワクチンの健康被害に関する情報をほぼまったく報じないことだ。
2024年3月28日時点の厚生労働省の発表によると、「予防接種健康被害救済制度」の認定件数は計6,795件で、うち死亡は523名。
これは1977年~2021年におけるインフルエンザワクチンの認定件数191件(うち死亡25件)を大幅に上回る数値である。
必ずしも因果関係がハッキリしているわけではないようだが、認定件数と申請件数は右肩上がりに増え続けている。
数字に現れていない被害者はまだまだ山ほどいるだろう。
……とはいえ、ラディカルなワクチン反対派が主張するほど人が死んでいるとも僕は思っていない。
おそらく彼らに見えている因果関係の多くは疑似相関だろう。
というのも、出所不明のデマを鵜呑みにしている者や、「風が吹けば桶屋が儲かる」的なトンデモ推論を披露している者があまりに多いのだ。
中には前件否定や後件肯定のような一目でわかる誤謬に気づかない者も多々見られる。
また、先の数字を割合にすると、接種者103,464,961人のうち0.0066%が認定、死亡は0.0005%となる。
接種回数で割ればさらに少ない。
この数字に含まれていない被害者はまだ大量にいると思うが、(一部の?)反対派が言うほど被害者は多くないだろうというのが僕の見解だ。
ただし割合が少ないことやワクチン反対者の主張に論理的誤謬が多いことは、ワクチンによる被害者を無視していい理由にはならない。
高齢者に関してはワクチンによって救われた命のほうが多いと思うが、若者に関してはどうなのか?
元々コロナの死亡者が少なかった若者や子供にあれほどワクチンを推奨する必要があったのだろうか?
接種前にリスクの周知は十分になされたのだろうか?
「思いやりワクチン」という半ば脅迫的なスローガンは倫理的に問題なかったのか?
年齢別の接種率は以下の通り。
コロナによる若年層の死亡者数を考えると、ここまで若者が接種する必要があったのか疑問である。
仮に若年層のワクチンを打つ便益が打たないリスクを上回るとしても、経済的な側面等を含めて総合的に考えたとき、それは適切だったと言えるのか?
「全体の利益のためなら個人の意志は無視してかまわない」という全体主義的発想が幅を利かせていた当時の社会は異常ではなかったのか?
(※朝日新聞の記事によると、2020年度と2021年度のワクチン接種事業における支出総額は4兆2026億円だという)
……まあなんにせよ、散々ワクチンを推奨してきたのだからその結果もしっかり伝えるのが筋というものだろう。
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