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ブレスト時の全賛同の気持ち悪さと、アイデア出しにおける育成/検討モードの切り替えのススメ

こんにちは。久しぶりの更新です。ちょっと前にやった案件で発見した、アイデア出しのモード切り替えのコツについて書いてみます。

というのもですね、ワークショップなり集団でのアイデア出しのときによく聞くと思うんですけど「否定禁止!」とか「アイデアを褒めよう!」みたいなのってあるじゃないですか。あれに対する違和感というかアレルギーを感じる人っていると思うんですよ。現に、講師をやってるときにたまに聞かれます「だめなアイデアも褒めないといけないんですか?」と。
そういう問いをもつ人も正しいですし、逆に褒めないといけない、という人も間違っていない。じゃあ何が正解なんだよ!と思う人もいるかもしれません。今日は集団のアイデア出し、ブレスト時における「賛同」の扱い方について書いてみますね。

今日のサマリー

  1. ワークショップで全部賛同するのが少しだけ気持ち悪い

  2. 重要なのは賛同ではなくて評価をしないこと

  3. 育成 / 検討モードを切り替えよう


ワークショップで全部賛同するのが少しだけ気持ち悪い

「みなさん、アイデア出しのルールなんですが、アイデアに対する批判は禁止です!」

よくあるブレスト時の冒頭の説明

こういうこと、よく言われません?というか僕も前までは言っていました。どういうことかというと、デザイン思考の世界ではYes,andなんて言われたりしますが、集団のアイデア出しにおいては、誰かの出したアイデアについて「いいね」という肯定から入らなくては行けないというルールです。
なぜこういうルールが有るかというと、否定のコミュニケーションをしてしまうと、アイデアを出しにくい雰囲気になってしまうんですね。「こんなこと言ったら馬鹿にされるんじゃないか・・」という恐れです。
Googleが発見した、「心理的安全性」というやつですね。

ただ、冒頭にも書いた通り「だめなアイデアでも良い」というのは少し乱暴ですし、皆さん限りある時間の中でだめなアイデアに対して時間を割くことは本質的とは言えません。

ただ、その一方で、アイデア出しのときにそれをやってしまうとアイデアがもっと出にくくなってしまい、結果としてよりよいアイデアにたどり着ける可能性を減らしてしまうことにもつながるわけです。

さて、どうしたものか。


重要なのは賛同ではなくて評価をしないこと

先に結論を言ってしまうと、以下のnoteにも書いたのですが、ブレストで出すのはアイデアなんですが、正確に言うとブレストで出すべきはアイデアではなく、最終的に選ばられた解決策であるアイデアの素になる、視点だったり可能性、なんですね。

つまり、ブレストの段階で「どんなアイデアでも「いいね!」から始めましょう!」というのは、「まだ最終的な解決策ではなく可能性の検討レベルなんで、この時点では良し悪しはまだわからないですし、潰さないようにしましょう!」の略なんだと捉えるといいんじゃないかなと思います。

もっとわかりやすく言えば、可能性の段階で評価するのはやめましょうよということです。なので、あなたがもしブレストを設計する側だったとしたら、

  1. 可能性を探索するブレスト

  2. 洗い出した可能性を検討するディスカッション

の二段階を参加者にもわかりやすく明示することが重要です。(例:時間を区切る、タイムラインを見やすいホワイトボードに書くなど)もしアイデアに対する評価をしがちなひとがいたら、「評価する時間は後でとっています
!」というように、説明しましょう。

育成 / 検討モードを切り替えよう

ということで、じゃあ評価タイムです!となると、待ってましたと言わんばかりに批評を始める人がいます。まあ悪くはないんですけど、批評ばかりしてると、せっかく出てきた可能性を潰しかねないわけです。
でも一方で「褒めることも大切です!」なんて言ったところで、普段批評のコミュニケーションになれてる人には効かない。さてどうしたものか。

そんなときに役立つのか、思考のモードの規定です。どういうことかというと、考えるときのモード=思考プロセスや態度を意識付けることです。アプローチとして、有名どころだと、シックスハット法というものがあります。

シックスハット法だと、論理的,直感的などの6つのスタイルがありますが、これをそのまま引用してもらってもいいですが、個人的におすすめなのは、育成 / 検討モードという2つのモードを切り替えることです。

育成モードでは、出てきた案の可能性や長所に着目し、それらを取り出し伸ばしたり、他のものにくっつけたり、転用することにフォーカスします。
一方で、検討モードでは、育成モードの人が出した案に対して、事実に基づくか、や顧客にとって喜ばれるものであるかどうか、などフィジビリティやユーザー視点でのフィードバックを行うようにします。

どちらも重要なのは、出てきた案やそれを出した個人について評価することではなく、個人とアイデアの紐付けを切り離し、それらを組み合わせたりする中で、最良の解決策にたどり着くことを目指すことです。

わかりやすく、名札やたすきなどをかけてみても面白いかもしれません。

楽しくやるなら、こういう無地のたすきを買ってきて育成/検討という文字を書いてもいいかもしれません。
あとは、モードとずれた発言をした人にイエローカードを渡して注意をうながす審判がいてもいいかもしれません。

油断すると忘れがちなので、これくらいやったほうが効果的です。


まとめ

ということで、今日は集団ブレストにおける思考モードの切り替えについての内容でした。こんな偉そうなこと言っておきながら僕も結構忘れがちなので、自省のためにも書いてみました。皆さんも、いいアイデア出しの時間を!それではこのへんで。

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