見出し画像

新宿は小雨

最後の日を思い出した。それなりに晴れていたような曇っていたような、天気すらも思い出せない。お互い「またね」とは言ったけれど、その「またね」は未だ実現されない。言葉にさえしなかったけれど気付いていたんだろう。
高校生の時にMちゃんが言っていた「今乗っているバスを降りなければ新しいバスには乗れない」という言葉がタイムカプセルのように掘り起こされる。最後の日を迎えたおかげで、私は人生(と呼べるほど盛大なものではないけれど)の逆転ホームランを打ち出す事ができたのだ。

新宿らしくないお好み焼き屋さんで恋人のことをみつめながら、ずっとそんな事を考えていた。最後の日からもうすぐ1年。「確変状態が続いている」と言ったら「なんじゃそりゃ」と笑われた。それでいい。ずっとそうやって笑っていて欲しい。新宿は小雨、髪はクルクル。何が起きても私は幸せ。

猫の餌代を恵んで下さると幸いです