ファミリーマート

「最寄りコンビニのベンチに座って煙草を吸いながら君を待つ」が当たり前じゃなくなった。いつのまにかベンチは消え、代わりに「喫煙者ハ隔離セヨ」と言わんばかりの大袈裟な喫煙所ができた。だから、感傷に浸りながらベンチに座るなんて事もできない。故に、あのころ抱いていた無自覚の傷みは、思い出したくても思い出せなくなった。

そもそも私はもう煙草を吸わない。どんなに足掻いても辞められなかった煙草をスッパリと辞められたのは、内臓レベルで違う人間になったからだと思う。潔癖になることで過去の自分を無くそうとしているわけではない。根本から、そもそもの思考から、何もかもが、変わったのだ。

だがそれは必ずしも良いとは言えない。「真面目な私」を100パーセントで私が受け入れられているのかといえば、それは違う。そことの付き合い方は自分でもどうすれば良いのかわからない。
一人でベッドに横になっている時が一番恐ろしい。何者でもない自分に耐えられなくなる。故に私は本格的に逃避してしまうのではないか。一瞬で足元をすくわれるかのように、ナチュラルに選択を間違えてしまうのではないか。代償が大きすぎる故のスリルを欲して幻に自分自身を壊されてしまうのではないか。存在しないもののために身を滅ぼすなんてアホのやる事なのに、きっと、私はわからなくなってしまう。

私を私自身で認めて完結できるようにならない限り、私は、これからも得体の知れない存在に胸を焦がし続けてしまう。

猫の餌代を恵んで下さると幸いです