発熱チャンス

まるで身体中に炎を纏っているような気分だ。しかし寝室で横になると、甘えん坊な飼い猫がすぐさまお腹にのってきてしまう。いつもは愛おしく思えるフワフワさんも、今日ばかりは煩わしくて仕方がない。
「よっこらせ」と立ち上がり、私はリビングに場所をうつす。そして、スマホを使い、ダラダラとネットサーフィンを始める。炎の力はどんどんと強くなる。
「新着メッセージがあります」と、画面上部にLINEの通知が出るたびに淡い期待を抱くのだが、期待通りの展開になる事はなかった。

熱が出ると弱気になる。それを免罪符に、私は昔の男(と、いっても、恋人関係にあったわけではないのだが)にLINEを送った。だってこないだ、言ってたもん、「辛くなったら言いなさい」って。今、私、とても辛い。だから連絡したの。彼女がこんなに苦しんでいる時に、恋人であるはずの男からは何の音沙汰もない。これを辛いと言わずして、何と言う?
そうして私はまた暫くダラダラとネットサーフィンを始める。今度の画面上部の通知は期待通り、昔の男からの返信であった。

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