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22年12月広島旅行1日目

 この旅は、宇品にはじまり宇品におわる。

 12月5日早朝。うっすらと明るくなってきた空を眺めながら、終点である広島バスセンターにバッグ一つで降り立った。数日前までの冷え込みも感じられないほど広島の地はあたたかい。

降り立ってすぐいる

 いつの間にこんなにちょっとムッとくるキャラクターができたんだろう……。
 前回5月にも広島バスセンターには立ち寄っているのだが、まったく気が付かなかった。
 ひとりで広島に帰ってくるときはバスか在来線を使う。ここ最近は金もなくもっぱらバスだ(在来線もなかなか金額がかさむのである)。しかしバスセンターで降りることがめったになく、いつも手前の広島駅で降りる。つまり初めて広島バスセンターという玄関口に立ったのだが──。

これは福山・尾道方面のりば

 いやぁ、ムッとくるなあ……

 鹿の撮影もそこそこに、そのまま地下街シャレオに向かう。
 目的はアストラムライン本通り駅にあるパブリックアートと、広電は本通り駅にたどり着くことだ。
 むかし広島に住んでいた頃、この時間のシャレオを歩くことはなかった。見たことがあるのは賑わいのある姿ばかりなので、通勤者が行き交うのみの静かなシャレオは新鮮な気持ちになる。そこで思いもよらぬ発見があった。

 どうやら広島県内の各ミュージアムとコラボレーションしたシャッターミュージアムを行っているらしい。正式名称は「シャッターアートミュージアム2022」。通年かと思っていたが、22年7月9日~12月26日までの期間限定企画のようだ。

シャレオ南通りの店舗シャッターを広島県内8美術館の“イチオシ”コレクション(所蔵作品)でラッピング。 シャッターが下りている時間帯は全美術館のコレクションが並びます。 近代~現代美術まで、日本を代表する工芸品や絵画からヨーロッパの名画まで、各館を代表するコレクションをインパクトあるシャッターアートでお楽しみください。

紙屋町シャレオ公式HPより

 奥田元宗や岡本太郎の作品がずらっと並ぶシャッターのなんと眺めの良いことか。
 見逃していたが、ポール・アイズピリの「尾道」もあったらしい。悔しい。

 シャッターアートを真っすぐ抜けて、アストラムライン本通り駅に向かう。突き当りにコインロッカーがあり、その横側に目的のパブリックアートがある。

 こうの史代『夕凪の街 桜の国』のステンドグラス作品。
 これが目的のパブリックアート。2020年に設置されたがコロナ禍で帰省できず、ずっと見ることのできなかった作品だ。このほど、第18回ひろしま街づくりデザイン賞アート部門を受賞した。
 天井と床に反射する光はうつくしく、鮮やかなステンドグラスの色彩が胸を打つ。
 この時点でも通勤者がそこそこ通っていたのだが、ちょうど人の少ない時間でよかった。人通りの多い時間はこの作品を全面でゆっくり堪能するのは難しいかもしれない。幸運である。

 さて。そのままコインロッカーに荷物を預けて地上に出る。
 もちろん通勤時間帯にシャレオを歩くのも初めてなので、まるでRPGのパーティーの行列のように昇る階段もなんだか楽しい。合理的なのだか非合理的なのだかわからない。ずらずらと並んでまるで仲間になったような気持ちで階段を昇る。
 そのまま本通駅に到達し、向かうのは広島港方面だ。直接宇品こと広島港に向かうのもアリだが、その前に立ち寄ってから行きたいところがあるので元宇品口で下車する。

 やはり海沿いはすこし寒い。吹きつける海風は、夏は心地よく冬は厳しいように感じる。
 人通りもほとんどない道沿いを歩き、小さな港に向かった。その右正面にあるのが、暁橋だ。

 旧陸軍が水路を拡張し改めて取り付けた橋。現在は橋梁が改築されており、歴史的な名残を感じさせない生活的な造りになっている。

 手前には石碑もある。架橋の由来などが記されているのだが、ひびだらけだ。どうやら行方不明の時期があったらしくその際に破損したのだろうか。
 行きたかったのはここだけである。そう、ここだけである。
 えっこの石碑を見に?

そうなのである。

 目の前にコンビニがあるが目の前に横断歩道はない。橋を渡って奥側の交差点から横断歩道を渡って、ぐるっと戻ってコンビニで肉まんを調達。そのまま公園に入った。 公園もまだ人のすくない時間だったが、釣りをする人など静かながら静かなりの空気があった。
 肉まんをほおばりながら波の音を聞く。公園のでっぱりの構造上、ボボボボッという音が波が押し寄せるたびに大きく響く。リズミカルで怖い。
 そのまま広島港に向かう。本来であればここから江波に向かい、ワンチャンさんこうに会えんか? と思っていたが時間的にも朝の血圧的な問題的にも無理そうだったので今回は割愛した。
 また元気な時に来ますね。

 ここから再び向かうのは広電西広島駅だ。ここも広電ビルが取り壊されて広くなった後、広場ができている。

コイプレ。飲食店も並ぶ

 JR西広島駅も新しくなった。なじみの本屋もなくなった。過ぎ去った3年という月日はいろいろなものを変え、馴染ませ、西広島にたどり着いた私はすっかり置いてけぼりをくらったような気持ちになった。
 JR西広島駅はさらにバスロータリーにも手を加え、ここからさらに大変身するようだ。 また見られるだろうか。
 ここから身内と合流し更に宮島口へ向かう。夕方以降はさらに別の身内に会う用事もあるため時間設定がタイトだ。
 行きはJRを使った。JR西広島駅構内はいわゆる近年よくあるJR駅となっており、新しいが見慣れている風景となっていた。これはこれで落ち着く。 さすがに平日ながら宮島口で降車する人々は多く、国内外問わずさまざまな人とともに降車しetto、そして広電宮島口駅に向かった。

 「etto」は2020年4月にオープンした商業施設だ。
 不運かな、オープンしてすぐ新型コロナ流行の波にのまれ休業してしまったが、数度の休業を経て無事に開いている。

案内板がかわいい

 施設1Fはそのままフェリーターミナルとなっており、宮島と本土を結ぶ玄関口として機能している。お土産も軽食もここで済ませられるのは魅力的だ。 さらに廿日市の特産品を中心に瀬戸田のレモンや広島みやげなどもせいぞろい。今回は宮島に渡らずここで少しばかり買い物をして帰った。今度は飲食もしてみたい。
 帰りは広電で本通りにもどるため、広電宮島口駅に向かう。2022年7月に移設され開業した、ぴかぴかの駅舎だ。昔にくらべてうんと広くなり、これなら多くの観光客を迎えられるだろう。広電西広島と広島港の駅のいいところをとった構造だな、と思うなどした。
 広電グッズも買う。1日目の半分くらいはこれが目的である。 なんと「元就。」コラボの駅名標アクキーも奇跡的にひとつ残っており(窓口の方ほんとうにありがとうございます)、宮島線100周年グッズも購入できてたいへんよい収穫となった。

 ちなみに駅名標アクキーは五日市ねらいだったが見事に惜しい所を外された。 どれが当たっても嬉しいけど避けられた気がする。気のせいだろうか。
 広電宮島線の車窓はいつ見ても気持ちが良く、懐かしく、新しい。地元のあたりはほぼ姿を変えず、なじみの風景を描き出していた。

 あとは身内に会う用事だけである。
 自慢します。

むちむちおてて……

ウワー!!カワイイ!!

1日目の広島は以上です。

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