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ギター+ヒップホップ+エレクトロニック=プログメタル?

普段DAWで曲作るばかりが今の自分の音楽活動なわけですが、以前はバンド活動をやってベース弾いてて、もっと前の、15歳から20代頭くらいまではギターを弾いてました。

なので、ベースに転向してからも制作に転向してからも、ギターサウンドは自分にとって気になる存在で、ギターが重要なロックやメタルやフュージョンなどは時々聴いてました。

10代の頃はとにかくジャンル関係なくギターが上手くなりたくて、80'sシュレッド系のハードロック、ジャズフュージョン、プログレ…と、どんどん難しい音楽ばかり聴くようになっていったので、テクニックのあるギタリストは昔から好きです。

今でも制作で、自分でギターを入れることはたまにあるので、もっと上手くなった方がいいな〜と思い、練習素材を探してはトレーニングするようにしてるんですが、

そんな最近、気になるギターミュージックは、PolyphiaとManuel Gardner Fernandesです。


ギター音楽+ヒップホップ=Polyphia 

ちょっとアイドルっぽいビジュアルで、綺麗めなギターインストでデビューしたPolyphia。初期の頃の彼らはあんまり興味湧かなかったんですけど、この「ABC」を聴いて、こんな面白い音楽やってたのか!と思って一気に気になる存在になりました。

この曲が入ってるアルバム「Remember That You Will Die」という作品が個人的にすごく好きで、

Polyphiaは元々アメリカのヒットチャートのPOPSっぽい雰囲気を持つ曲をやってるプログメタルバンドでしたが、このアルバムではそれがもっと顕著になっていて、ヒップホップ、トラップのビート感をベースに、ギタープレイが展開する独自のミクスチャーという感じでとても良いです。

Spotifyでリスナーが150万人以上いるのも納得できるくらい、ギタープレイも全体の音もクオリティ高いし、ミックス面で言うとキックの音量バランスやサブベースみたいに低域を埋め尽くすようなベースの入り方はまさにヒップホップのそれだし、

ここ数年の流行りの音楽の勘所を抑えているアレンジと技巧的なギターの素敵な融合が、本当の意味で新しい音楽ということを感じさせる、まさに新世代のギターミュージックです。

音楽的な要になってるであろうギターのTim Hensenは全身墨入り、でもアイドルっぽい美形で、ドレイクとかのヒップホップや、K-POPや日本のゲームやアニメが好きと聞くので(そういえばアメリカ人って本当に任天堂作品好きよね)、

さっきの「ABC」を聴いても感じますが、自分の好きなものを全部ぶち込んだ、本当に自由な発想で音楽を作ってるなあと思います。

Steve VaiやDeftonesのChinoが参加してるのも、彼らの自由な創造性に共感したからなのかなと思うし、世代もジャンルも国も文化も全部ギターでつなげてしまう、新世代の素敵なアーティストです。

クリーントーンでメタル=Manuel Gardner Fernandes

もう一人はドイツのギタリスト、Manuel Garder Fernandesです。

(多分)本人の自宅で撮影した、ひたすらリフやリックのアイディアのような断片的な短い動画を大量に出すスタイルのYouTube活動をしてるんですが、本業はUnprocessedというバンドのギターヴォーカルの人です。(歌もめちゃくちゃいいんだわ)

バンドではもっとジェントよりな、↑で挙げたような曲をやってるんですが、彼一人で完結したギターインスト曲もたくさんあって、

それらがギターインスト+ヒップホップ+アンビエント系のエレクトロニック、という、ちょっとPolyphiaにも通じる音楽性です。

何よりManuelのプレイスタイルもかなりユニークで、

パーカッシブストラム(両手でガッツリミュートかけた上でブラッシング)や
タッピングハーモニクス(左手で押さえたフレットの1オクターブ上のフレットをタッピング)、
ハイブリッドピッキング(ピックを持っていない、中指や薬指でのピッキングを混ぜる)など、

全部昔からあるテクニックではあるけど、これらを組み合わせてこんなコード感で、こんな空間の強いクリーンなサウンドでプレイするギタリストはほぼいなかったと思います。(一番近いのはTosin Abasiのプレイスタイルで、それをもっとカジュアルにしてヒップホップを取り入れたような雰囲気がします)

彼の動画で出してる演奏はほとんどギター1本なので、一人で弾いても楽しいものが多く、僕も最近コピーして遊んでます。(ギターテクニックを盗みたいというより、Manuelの曲のコード感や音の選び方を勉強したい)

Polyphiaもそうですけど、ヒップホップのビートが基になっていたり、ギターサウンドもローファイ感のあるディレイや空間がかかってたり、ピッチシフターやマルチボイサーで加工されたりと、発想がギタリストというよりDJやサンプリングミュージックに近いあたりは、今の時代だからこそ生まれたスタイル、という感じで、面白いな〜と感心してます。

いつの時代も面白いものを作るのは若い人

一般的なロックバンドはもうみんな型にはまってしまったというか、もはや伝統芸能のようになってしまったと個人的には感じていて、

刺激的で新しい音楽体験という意味では最近はEDMなどのエレクトロニックミュージックやトラップの方に触発されるので、それらの要素も取り込んだPolyphiaやManuelのような、発想が柔軟なアーティストはとても好きです。

特に、YouTubeで時代に関係なく全てのコンテンツが並ぶこの現代だと、それを物心ついた時から見ている彼らのような世代にとっては全てが並列に見えて、その中から好きなものを摘んで自分の思うようにコラージュすることも普通なのかもしれません。

あと、PolyphiaもManuelも、ファッションがめちゃくちゃイケてます。メタルとかフュージョンとかのインストプレイヤーって、マジでお洒落じゃない人が多すぎてそれが嫌だったんですけど、最近の若いプレイヤーはみんなお洒落ですよね〜。ただ流行りのファッションっていうんじゃなくて、両者とも自分のスタイルがある上でのお洒落なので、尚のことカッコいいです。

というわけで、ギターミュージックは昔も今もめちゃくちゃカッコいい人はいます、という話でした。

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