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ochiが選ぶ個人的アルバムオブザイヤー2021

ぶっちゃけ、最近は自分で制作することが多くて、レファレンスとして色んな音楽聴くことはあっても、純粋な個人の楽しみとして聴くことが少なくなってきました。

そんな中でも「これは!」という新譜が今年も4作品ありました。

1, QUADRATUM From Unlucky Morpheus / Loud Playing Workshop

Unlucky Morpheusっていうバンドのバイオリン、ギター、ベース、ドラムのメンバーがスピンオフ的にやっているインストバンドのメタルカバーアルバム。彼らのバンドは正直よく知らないんだけど、YouTubeでこのイングヴェイのカバー動画を観てあまりの完成度に、そのまま勢いでアルバムを買っちゃった。

選曲が80年代前後〜00年代初頭の、日本でいうとヤングギターやBURRNの常連だったようなHR/HMアーティスト、バンドの曲ばかりで、その時代だと当然超絶速弾きギターが売りで、このQUADRATUMはそんな超絶ギターパートをバイオリンでカバーした企画。

ギターもベースもドラムも聴いてる限りめちゃくちゃ巧いが、それを全員食っちゃうくらい、ジルっていうバイオリニストが巧すぎた。ギターパートの再現度がものすごい高い。もちろん楽器が違うんで完全再現ではない箇所もあるけど、ただ音をなぞって置き換えたとかいうレベルじゃなく、ギターのグリスやチョーキングのニュアンスまでちゃんとフォローする、細部へのこだわりや練り込みが半端じゃない。それでいて、バイオリンが得意なポルタメントとかも交えて、ギター曲をバイオリン曲に変えている。

動画のFar Beyond The Sunなんて、元々バイオリンの曲だったんじゃないか(イングヴェイはパガニーニをコピーして影響を受けた上であの曲を作っているが)と感じさせるくらい、演奏表現という点で今年一番素晴らしいと思ったアルバム。Amazonのヘヴィメタルアルバムランキングでも1位というのが納得できる、完成度の高いインスト作品だった。そしてジルちゃん素敵!

2. BIGYUKI / Neon Chapter

ここ数年の、僕の中でのミュージックヒーローBIGYUKI。

アルバム出たら試聴なしで予約してフラゲ日に購入するアーティストは、今のところ自分にとっては彼だけ(そういう買い方をしてたのは他だとBOOM BOOM SATELITES)。思えばシンセをカッコいい楽器と思うようになったのもBIGYUKIがきっかけだったと思う。

今回のアルバムはこれまで出てきた3作品の要素が全部入って、さらにそれを進化させたサウンドという印象を受けた。

1作目の「GREEK FIRE」の時のようなブチ上げる攻めの姿勢が作品全体に纏われていて、2作目の「Reaching for Chiron」の時のような緻密な作り込みに、3作目の「2099」で出てきた、シンセやサンプル音の洪水の中で揺蕩う歌もの曲。それが全部1枚に入っていてこれまでの活動の延長線上にある、でもそれらが全部進化していて、まさに最新のBIGYUKI。

本人は「俺はジャズのプレイヤーじゃない」ってたまに言っているものの、今回は「THEIA」のようなジャズエッセンスを感じる曲もあって、これはカマシ・ワシントンのツアーに参加した影響もあったのかな、と思えて、新しい?一面を見れた気がした。

ちょうどこのアルバムが出る直前にビルボードで来日ツアーがあり、最前列で観ることが出来たんだけど、ピアノとNORD1台といくつかのエフェクターだけで彼の一人の人間としての内面をさらけ出していくようなインプロを繰り出しまくっていたのが刺激的で、いつ観てもライブで映えるアーティストだなあと思った。

ライブでのリアルタイムの演奏にも、アルバム作品での制作にもそういう内面をさらけ出させていく姿勢が出ていて、「この人の中にある世界はどんなだろう」と想像を掻き立てられる素晴らしいミュージシャン。

それにしても、BIGYUKIみたいな音楽やる国内アーティストっていないよなあ。やっぱりNYの現場感がなせる技なのか。もし誰か知ってたら教えて欲しい。

3. STARSET / Horizons

僕のメタルトレンドは2015年あたりで止まっていて、未だにジェントが世界最先端と思ってたので、最近のメタルバンドサウンドってどんなかな〜とYouTubeに教えてもらった中で一番刺さったのがこのSTARSET。

メタルというよりはニッケルバックみたいな、キャッチーなコーラスとヘヴィリフの歌ものハードロックで、STARSETのカッコいいところはシネマティックなサウンドとロックバンドの融合。

ハンス・ジマーがよくハリウッド映画のサントラでやるような、壮大なサウンドを取り入れつつ、楽曲やMVのコンセプトも未来のディストピアを描いていたり、とても「映画的」なバンド。(これにもう少しJ-POP色が入ると澤野弘之さんの作る歌ものロックに通じるものがあると思う)

世界観が壮大、とか映画的、というアーティストは例えばドリームシアターとかが過去にもいたし、EDMだとたまにそういう曲を見つけるけど、サウンド面もコンセプトも含めてハリウッド映画っぽいロックバンドはSTARSETが初めてで、タイミングよくこの「HORIZON」がリリースされたのでよく聴いていた。

アルバム全体では、やっぱり先行してMVで出された曲、「The Breach」あたりがすごく良い。Starsetの真骨頂はMVがまるっきり映画か海外ドラマ級の映像クオリティという点にあって、セリフとかはないけどちゃんと設定やストーリーがある内容になっていて、この点でもシネマティックなバンド。こういう音楽やりたい。

4. 澤野弘之 / PIANO solo album「scene」

自分にとっての初澤野さんは進撃の巨人で、今年の頭にやっていたFINAL SEASONも全部観てたし、その後にやっていたキングダムも毎週観ていて、そこから過去の楽曲も遡って、さらにnZkも好きになってすっかりハマった。

劇伴っていうとシンセで雰囲気ものか、オーケストラなやつかピアノ曲、みたいなイメージがあるけど、澤野さんは2000年代のラウドロックやEDMの要素をドラマやアニメのサウンドトラックに取り入れていた点ですごく個性的で、世代も自分と近いので影響を受けた音楽に共感も持てたし、脇役としての音楽でもミュージシャンとして自分の個性を押し殺す必要はないんだということを教えてもらった気がして、非常に影響を受けた。

そんな澤野さんがこれまで手がけた作品から選曲され、ソロピアノにアレンジされた曲+クリスマスの定番曲。元々澤野さんの曲はガッツリ作り込まれたアレンジが多くてそこも聴きどころではあるけど、ピアノだけになったことで澤野さんのメロディ感覚やコード感がより露わになってファンとしてはたまらない。

最近の「作曲」という言葉は、フルアレンジ+ミックス作業までを含んでいるような印象があるけど、本来はメロディを作ること=作曲であり、その点で澤野さんはメロディだけでも誰が作ったか分かる、稀有な存在だということを改めて感じた。

旧譜でよく聴いていたBEST4

澤野弘之 / BEST OF VOCAL WORKS [nZk]
澤野弘之 / BEST OF SOUNDTRACK【emU】
カラメルカラム / ALTER EGO ORIGINAL SOUNDTRACK
Bring Me The Horizon / Post Human:Survival Horror

澤野さんは歌もので2枚、劇伴のインストで1枚ベスト盤が出てたので立て続けに全部買って聴きまくった。最初は医龍の曲を聴きたいと思って「emU」を買ったら、「VOCAL WORKS」の方に前から好きだった進撃の巨人の「The Reluctant Heroes」や「DOA」、あとギルティクラウンの曲だったりと、澤野さんの主要な曲が入っていて、さらに他作品の曲もあってこれはお得と思って急いで買い、どうせなら[nZk]2もと思ってベスト盤3枚コンプリートしてしまった。

「ALTER EGO」はYouTubeに流れてきた広告で知ってちょっとやってみたらハマったゲームで、このサントラの「Silence」っていう曲にもハマりしばらくずっと聴いてた。(感動した勢いで耳コピしたツイートしたら、作曲したAMIKOさんご本人がRTしてくれた↓)
ソシャゲのサントラでもサブスクに置いておいてくれるメーカーさん親切だな〜。

Bring Me The Horizonは、元々知ってたけどデスコア時代しかちゃんと聴いてなくて、STARSETを知った時に「ニューコア」というジャンル(というかトレンド)を知って、そのニューコアという音楽スタイルの最たるバンドがBMTH、と言われていたのでAMOとか最近のアルバムをしっかり聴いてみたらハマった。

元から色んな音楽性が混在するバンドではあったけど、近年は特にEDMっぽい要素とアリーナロックが合体してて、今の自分の趣味にも通じるところがあり、Post Human~に限らずAMOとか、ここ数年のアルバムはかなり聴き漁った。

なので最近の自分の好みはシネマティック+ヘヴィなバンドサウンド+EDMという感じなのです。

この記事の公開日付が9月なのに今年の振り返り内容になっているのは、9月から書き溜めて下書き状態で保存してたからです。

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