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【最新作云々62】北の国から来たグロリア... 凄腕ドライバーがヤクザと警察を向こうに渦中の少年を守り抜く人生再生のカーアクションドラマ映画『パーフェクト・ドライバー/成功確率100%の女』

 結論から言おう!!・・・・・・こんにちは。(Ο-Ο―)
 『シン・仮面ライダー』の封切り日が3/18(土)に決まったと聞いてふむふむ…なO次郎です。

シャザム!〜神々の怒り〜』と同じ週だから
封切りの週末の内にサクッと併せて観ちゃう感じでいきたい。
新宿の劇場だとどエライ混み込みコースだろうから別の場所にするか…。(´・ω・`)

 今回は最新の韓国映画『パーフェクト・ドライバー/成功確率100%の女』です。
 とある港湾地区で自動車修理工場を営む怪しげな零細企業、而してその実態は・・・というアウトローもの。
 その秘密結社の如き会社に身を置くチャン・ウナはどんな荷物でもどんな状況下でも必ず制限時間内に指定場所へ届ける凄腕ドライバー。
 とあるシングルファーザーとその息子を密出国させる依頼が舞い込んだもののピックアップ直前に父親が殺され、彼に野球賭博の莫大な売り上げと証拠を奪われたヤクザ、さらにはその背後に控える悪徳警官までもがカギを握る息子を付け狙う中でウナは・・・・・・という筋立て。
 ここまででの流れだけでも察せられるようにトランスポーター』『グロリア』『レオン』等の往年の名作映画のパッチワークではあるのですが、それが絶妙な配分でミックスされたうえにアクションのスケール感がグレードアップしており、さらには韓国のお国事情も上手くキャラクターへ昇華したことで独自性もきちんと打ち出したスタイリッシュアクション大作です。
 上述のような子どもと大人の触れ合いドラマ好きや『パラサイト 半地下の家族』で主演のパク=ソダムに開眼した方々、さらには『ザ・ドライバー』『TAXi』といったガチンコカーアクション映画が好物な方、感想の参考として読んでいっていただければ之幸いでございます。
いつもながら最後までネタバレしておりますので、その点予めお含みおきくださいませ。
 それでは・・・・・・・・・・・"キングストーンフラッシュ"!!

僕はリアルタイムでのファースト仮面ライダーといえば
仮面ライダーBLACK』『〃RX』世代、というわけで。
思い出すにあの"ポケモンショック"もかくやというぐらいの明滅エフェクト
でしたが、当時問題になったという話は聞かず。
ちなみに僕は最初のポケモン世代でもありますが、あまりに周囲でポケモンが
流行ってたがゆえに天邪鬼ぶりを発揮して加わらず、アニメに関しても地方ゆえに
ネットから漏れていて観ませんでした・・・悪しからず。


Ⅰ. 作品概要と見どころいろいろ

※Wikiのページが存在しないため、公式ページをご参照ください。

(あらすじ引用)
天才的なドライビング・テクニックを持つウナ(パク・ソダム)が勤めるペッカン産業は、表向きには釜山で廃車処理場を運営しているが、裏ではどんな荷物も配達する“特送とくそう”の仕事を請け負っている。
 ペク社長(
キム・ウィソン)からの指令でウナが引き受けた依頼。それは海外ヘの逃亡を図る元プロ野球選手で賭博ブローカーのキム・ドゥシク(ヨン・ウジン)とその息子ソウォン(チョン・ヒョンジュン)を港まで運ぶにがすこと。
 しかし、違法賭博の元締めであり警官のチョ・ギョンピル(ソン・セビョク)が部下を引き連れて現れ、追い詰められたドゥシクはソウォンをウナのもとに逃がす。依頼人のドゥシクが不在のまま、ウナは身寄りのないソウォンと300億ウォンが入った貸金庫の鍵を抱えて追われる羽目に。
 貸金庫の鍵を狙う悪徳警官ヤクザ、冷酷非情サイコパスな殺し屋、さらには「脱北」の過去を持つウナを秘密裏に調査する国家情報院までをも巻き込んだ、命がけの追走劇カーチェイスが始まる──。

 この手の凄腕主人公をフューチャーしたヒロイックアクションは、まず以って主人公の力量とパーソナリティーを観客に示すオープニングミッションが如何に画が雄弁に語りつつ迫力に満ちているか、というところが重要ですが、本作ではそこを難無くクリアしつつ過去のカーアクション映画へのオマージュも随所に感じられる余裕が感じられます。

ヤバい金を奪って高飛びしようとする二人の男が運び屋を依頼すると現れたのは若い女性。
"こんな小娘が頼りになるか!!"と慌てるものの背に腹は代えられず乗り込んでみると、
ヤクザの猛追を他所に網の目のような港湾地区の道路を隅々まで熟知した、
豪快さと繊細さを併せ持った神業的走り!!
いわゆる"ナメてた相手が実はとんでもないヤツだった"パターンの快感です。
類稀なるドライビングテクニックのみならず、
途中であらかじめ用意していた予備車に乗り換えるほどの周到さですが、
そのへんは『ザ・ドライバー』(1978)を彷彿とさせられたりも。

 また、全編を通して言えることですが、入り組んだ複雑な道を縫い走るミクロスケールなカーチェイスが大きなユニークネスとなっており、終始圧倒的で開放的なカーアクションである『ワイルドスピード』シリーズ等の画とは高コントラストを示しているのがアクションそのものとしても楽しいところです。

 そして悪漢たちから付け狙われる悲劇の王子ソウォン。
 最初こそウナが露骨に厭な顔をするのも頷けるような我儘なお子様ですが、ストーリーが進むにつれてイリーガルな商売に身を窶しつつも自分を真っ直ぐに育て愛してくれた亡き父への想いと、逃亡途上でようやくウナが見つけ出した実母にその存在を無かったことにされていた悔やしみ哀しみを見るにつけ、ウナでなくともこの後の人生を強く生きていくために背中を押してあげたくもなります。

ただ、父親との絆をもう少し太く描写して欲しかったのも事実。
序盤にソウォンを庇って落命しましたが、折に触れて彼の言葉を
ソウォンが思い反芻するなどして存在感を示してもよかったかも。

 ストーリー途中で断片的に明かされることですが、ウナは幼い頃に一家総出で決死の脱北を断行した際に自分以外の家族を失っており、それがゆえに社会の歪みの結果として肉親を失ったソウォンに同情を禁じ得ないのでした。
 幼くしてたった一人、それもイリーガルな立場に置かれたウナが驚異のドライビングテクニックのみならず格闘・銃火器といった戦闘術まで体得しているのはそれなりに説得力の生まれるところであり、実際に過去の一家惨殺やサバイバル術特訓のシーンをこれ見よがしに描かなかったことで作品全体としてのスタイリッシュさが担保され、往年の映画を参考としつつも古さを免れたのかと思いました。
 話が先行しますが、ラストでウナは重傷を負いながらもソウォンを悪党どもから守り切って消息不明となり、暫くして児童養護施設で逞しく第二の人生をスタートさせたソウォンの下に颯爽と現れて旧交を温めるのでした。
 上述のように全編通してクールでスタイリッシュなトーンで一貫していたので、このラストのみ浪花節というかなんとも大団円に描き過ぎな感は否めなかったです。

クライマックスで悪徳刑事とウナが海に落ちて
それを追うようにソウォンが飛び込むので、
てっきり息継ぎにかこつけてウナが彼にキスしてあげて
そのまま彼を元の世界に送り出して自分は沈んでいく…
みたいなまとめ方だと思ったんだけども。( ˊ̱˂˃ˋ̱ )

 また、ウナを支える会社の社長もなかなかのアクの強さで物語を引っ張ります。
 ウナの手腕におんぶにだっこ状態の経営からして彼女に賃上げを要求されてタジタジな表の顔はなんとも微笑ましいながら、ソウォンに肩入れするウナに強く警告しつつも最終的には彼女の覚悟を認め、悪徳刑事とヤクザの拷問にも屈せず命懸けで彼女と社員を守ろうとする姿はまさに中年の星でしょう。

例によって、偽造パスポートや重火器の手配も必要とあればお手の物。
そのヤクザな稼業からしてろくな死に方をしないことは重々承知しており、
それがゆえに周囲の若者たちを守り抜くことに人生を賭けたのでしょう。

 ウナに秘かに思いを寄せている若い移民のお兄ちゃんも最後の死闘ではなかなかのファインプレーで、ウナが如何に人として周囲の仲間に救われていたのかが垣間見られます。

 そして違法賭博の元締めで悪徳警官のチョ・ギョンピル。
 身もフタも無い言い方をすれば『レオン』でゲイリー・オールドマンが演じていた悪徳刑事の置き換えですが、正直言ってあちらほどの変態的な個性はございませんでした。であれば反対に狡猾で証拠を掴ませない知能犯タイプに振っても良かったかと思いますが、キャラクターの強烈さを彼が相手に流させる夥しい血に頼った感は否めません。

チーム長の立場を利用してウナにキム殺害とソウォン誘拐の罪を着せる、の巻。
結果として国家情報院の女性に奸計を見破られるのですが、
二人ともそれほど頭脳明晰ぶりが際立っていなかったので
主人公サイドの個性に比肩できず若干霞んでしまったのが些か残念。
クライマックスでは遂に自ら実力行使。
管理職でありながらきっちり体術アクションも披露してくれるのは
さすがは韓国アクション映画、というところで。

 ラストは綺麗に終わったというか、あまりに綺麗過ぎたというか、これだけの大作ながら続篇を期待させるような"引き"がほぼ無かったので、それはそれで勿体無い思いがしてしまうのが私の悪いクセッッ!!
 もちろん、あまりに造り過ぎると食傷気味になって本作も霞んでしまうのでしょうが、出来ればシリーズであと1,2本は観てみたいところで…。

そして主演のパク=ソダムさん、『パラサイト 半地下の家族』で
世界的に評価されてオファーが殺到したものの、Wikiにも記載のある通り
どうやら本作撮影前に甲状腺乳頭がんを発症して治療中だったそうで…。
本作はそれを感じさせないような鬼気迫るアクションでしたが、
またぞろご本人に無理のないペースで新作を観られることを期待いたします。



Ⅱ. おしまいに

 というわけで今回は最新の韓国映画『パーフェクト・ドライバー/成功確率100%の女』について語りました。
 あらためてこういう大作を観ると、国がきちんと映画産業をバックアップしてるというか、映画芸術で世界に訴えかける価値と重要性がきちんと認められてる感がありありと有って羨ましい限り。
 本作にしてもオリジナル要素は少ないとはいえ、それ以上に"当たらずとも外れることはない"要素の露骨にてんこ盛りな邦画大作の姿勢はやはりなんだかな~とは思ってしまいます。
 愚痴っぽくなってきてしまったので今回はこのへんにて。
 それでは・・・・・・どうぞよしなに。




ちなみに僕の世代で特に記憶に残ってる
”底抜け超大作”といえば・・・やっぱりコレでしょうか。(*´罒`*)

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