【小説】戦う!ソフトウェア・エンジニア
『盤下の敵』(1)
●開戦前夜
朝礼が始まった。
始業前にも関わらず、社員は課長の「訓示」を「ありがたく拝聴」することが「強制」されていたのである。
同僚のTは私の斜め前で無表情に休めの姿勢をとっていた。
後ろには昨夜飲みすぎたのか、K先輩とM先輩がダルそうにしながら、私の後ろに隠れるように少し小さく前かがみになり、ややもすると私にため息がかかるくらいの距離で立っている。
ソフトウェア開発現場…、そう、そこはもう「戦場」。
私は入社してまだ1年ちょっと、やっと職