死電区間のはなし

2ヶ月ほど前のことになりますが、日本エレキテル連合単独公演「死電区間」仙台公演に行ってまいりました。忘れたくない素敵な公演だったので、覚書を。圧倒的にネタバレですのでDVD購入予定の方は気を付けてください。

まず驚いたのが客層の広さでした。地方だからということもあるでしょうが、それにしても子供やお年寄りの多いこと!「みんなエレキテルのネタ知ってる??子供に見せて大丈夫!?」って一人でアワアワしてました。

中でも、物販でDVDを片っ端から買っていた小学校高学年~中学生くらいの女の子が印象的でした。一生懸命お金を貯めたんだそうですが、君の年齢でエレキテルの面白さを理解できてしまうのはなかなかやばいのでは!?と思ったり。余計なお世話でしょうけど。

そう、その物販です。

めっちゃくちゃセンスがいいんですよ!キャラクター全開の痛グッズもあれば、オシャレで普段使いもバリバリできそうなのもある。価格帯も、お手頃な定番グッズとちょっとお高いプレミアグッズのバランスが良かったです。でも、三好の香り香水のサンプルがあったらもっと良かったかなあ。とはいえ素晴らしいラインナップでした。今治タオルは結構使ってますがずっとフワフワです。さすが!!

そして席に着き、いよいよ開演の時。なんとケンによる前説のアナウンスが!!(ケンとは、橋本さんが扮するエレキテルの名物キャラクターです。)個人的には初っ端の「みんな~、おばんです~!」で、ひゃあ~と悲鳴を上げてしまうほどだったのですが、会場のリアクションを見る限りはそんなにケンが浸透していない感じでした。ケンは、エレキテルのネタの中では朱美ちゃんの次くらいにテレビで披露しているはずですし、感パラにもかなり登場しているので、エレキテルのファンなら知らない人はいないはずなんですけどね。これも地方ならではの客層が起こした現象なんだろうな、と思います。東京公演はきっと黄色い歓声が上がったことでしょう。しかしながらきっちり前説は盛り上がりました。ケンはいい仕事人でした。

幕が上がった時、一番最初に目に入ってきたのは大量のベトナムランタンでした。すごく妖しくて、艶やかな光。あの時みんなが「うわぁ……」と声を漏らしていました。それくらい、本当にきれいだったのです。

エレキテルはすごく舞台美術にこだわっているんですよね。ライブやDVDを通しての世界観を大事にしているんだろうなって思います。別の芸人さんのDVDに入っていた「エレキテルプラネット」の予告映像を初めて見た時はおったまげたんですけどね。

だってお花畑の中でネタをしているんですから。

ネタを邪魔しちゃうんじゃないかって思ったんですけど、いざ見てみると案外そうでもないんです。もちろんちゃんとコントの設定に即したセットもありますし、むしろ幻想的な世界の中で披露することで異様さが際立つというか。その空間ごと、彼女たちの世界に迷い込んだような気持ちになるなと、今回の公演で感じました。

そして肝心のネタです。一言でいうと

「家族連れドンマイ!!!」といった感じでした。

性、犯罪、暴力、差別、病、オカルト……ともかくこの世のありとあらゆるタブーを詰め込んだようなものばかり。風俗嬢、カルト宗教、異常性癖者、男尊女卑のコメンテーターなどなど、様々なキャラクターがいまして、見る人が見たらほんとに怒りそうなものもありました。

しかし、1人1人のキャラクターが本当に丁寧に作りこまれているので、何て言うか、人間らしさがあるんですよね。1人の人間としてきちんと存在しているから、人間ならではの不完全さや暖かみがあるし、愛着が湧くんです。どんなにヤバい奴でも愛せちゃう。何かかわいいなって思えちゃう。キャラごとにファンがいるのもうなずけます。私もその細かいキャラ作りに惹かれて彼女たちのファンになったのです。

それに、ちゃんと全部面白いのです。コントとしてきちんと面白い。これはすごく大事なことなんです。ただただブラックなネタを連発してるだけじゃ芸人ではなくなってしまうので、おや?っていうネタを入れたぶんだけ、ちゃんとそれを笑いにして昇華するバランスが、絶妙だな~と思いました。見る人が見たらわかるような小ネタもきっとたくさんあったんだろうなと思うので、DVDが出たらじっくり見直してみたいな。

映像もすごくよかったです。そもそも彼女たちのコントはいちいちメイクや衣装をほぼ総とっかえしなければならないので、ライブの際は結構長めの映像が入るんです。だからできることなのでしょうけど、その映像自体が一つのコントになっていましたし、次のコントへのフリとしてきちんと機能していて、全然退屈に感じることはありませんでした。むしろもっと見たい!と思うようなものもありました。財運先生と三好なんて特にそう!映像だったのが残念だったと感じるくらい。あれを生で観たかった~!!

そして、ライブ終わりに恒例となった朱美ちゃん細貝さんとのふれあいタイム。

この時間は、何ていうか、賛否両論ありそうな時間じゃないですか。「ネタに自信がないからそうやって客に媚びるんちゃうか」みたいなこと言われそうじゃないですか。端から端まで歩いてくれる上に、写真撮影もOKなんて。

でも多分違うと思うんですよね。これは、みんなに楽しんで帰ってもらおうっていう女性ならではの細やかな優しさだと、私は思ってます。単純に触れ合いを大切にしてくれてるんだろうなと。それに、コントライブで潔くキャーキャーできる時間が設けられているってめちゃくちゃ楽しいしありがたいな!っていうのは行って初めて感じました。

さらに彼女たちの場合は、幸か不幸か、日本エレキテル連合じゃなくて「朱美ちゃんと細貝さん」に会いに来る人がまだまだいるんですよね。それが地方公演ならなおさら。もしかしたらその客のニーズに応えるために生み出した苦肉の策なのかもしれません。でも「サンニスキーの夜」でも三好ととうじろうで練り歩いてたから違うかな。

まあとにかく、最後のホスピタリティーに溢れたファンサービスもあってか、心地よい多幸感に包まれたまま、私は帰路につきました。本当に素敵な時間、暖かい空間だったなと、今でも思います。

以上が、私の「死電区間」の思い出です。DVDは買います。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?