続・好きな芸人さんのはなし

前回の続き


ハライチは、他の4組に比べて一番軽い気持ちで見てる。それは好きの度合いという意味ではなくて、なんだろう、質とでもいえばいいだろうか。ただ単純に応援したい。

M-109での活躍がなんだかんだで決定打かなあ、と思う。とはいえ私にとってこの年のM-1はNON STYLEが敗者復活から勝ち上がってきたというのが1番の出来事なのだけど、それを除いたら、たぶん1番印象強かった。ウラハラが予約受付中で、買わなきゃ!って思ったのをとても覚えてる。

これは他の人達にも共通することだけど、私が思うハライチの好きなところはとにかく2人が楽しそうなところ。岩井さんは澤部さんの必死なところを見てニヤニヤしてるし、澤部さんも一生懸命のる。なんていうか、ずっと教室の隅でふざけてる感じが好き。どのお客さんよりも岩井さんが楽しいんだろうなっていう感じが好き。やっぱり漫才は楽しそうにやってくれないと面白いと思えないから。

あとはずーっと一緒なとこ。幼稚園、小学校、中学校、高校、そして今。これだけの年月を共にしてきたからこそできる漫才だなあって思う。養成所で組んだ2人だったら生まれない空気感。「澤部/岩井って面白いっしょ?」ってお互いが私たちに言ってるような、そんなとこが好き。


三四郎は、なんだろう。2人の漫才に惚れた感じ。言い過ぎかもしれないけど。もうただひたすらにネタが好き。

バラエティーでちょいちょい小宮さんを見るようになり、「またマセキ幼稚園かwww」って思ってた。滑舌も声も変だし、明らかに受け継がれている出川スピリッツ。まあそれはそれで好きだったけど、今見たいに好きになることはないだろうなと思ってた。まさにノーマーク。

そんな中でのTHE MANZAI予選サーキット2位のニュース。いったいどんなネタをするのだろう。2位になるような掛け合いが想像できなかった。だって喋れてないんだもの。でもネタを見たら全然違った。印象が180度変わった。今では三四郎ってすごいんだよ!って大声で叫んで、みんなに教えてあげたい気持ちです。

http://contentsleague.jp/features/sanshiro_int

http://ent.smt.docomo.ne.jp/article/15167

DVDの制作会社が1stDVDのリリースにあたってインタビューした記事と、おそらくネット上で見れる1番詳しいインタビュー。まずこれを読んでほしい。たぶんこれだけでも、三四郎への印象は変わるはず。私は変わった。

漫才に対して真正面から向き合ったからこそ、斜に構えたネタを作り続ける。消去法で、って簡単に2人は言うけど、そこに行き着くまでは葛藤とか悔しさとかあったと思うんです。ダウンタウンに憧れたら、関西弁の、早口の、オーソドックスな漫才への願望って多分一生捨てきれない。想像だけど。でも売れるために、評価されるために、面白いって言われるために、そこを乗り越えて今のスタイルを作り上げた三四郎の漫才は、あんなにも不安定なのに逞しい。

何て言うかね、絶妙なんですよ、全てが。三四郎の漫才って。

まずは小宮さんの言葉選びのセンス。「バチボコブサイクじゃねえか」「ボケ終われよ」「親の敵のようにボケやがって」どれもこれも日常会話はおろか、お笑いの世界でも聞いたことないセリフばかりなのに、意味は分かる、絶妙に遠回りな例え。それがあの声で、あの風貌の小宮さんから出てくるからなんか違和感がないし、スッと飲み込める。たぶん他の人がやったらそれこそ「高低差~」みたいにそこだけ切り取られそうなのに、言葉自体の威力はきちんと残したまま、「なんでやねん」くらい自然になじむ。

そして相田さんのボケがまた絶妙で。異常なまでにしつこかったり、突飛だったりするそれは、圧倒的存在感のある相方に比べて良くも悪くも普通な相田さんの存在感を爆発させる。一般的に“じゃない方”って言われる人たちってネタの中でも印象が薄いのだけど、三四郎は全然そんなことない。小宮さんの存在を浮かせない、むしろ見た目が普通の奴がやるからこそトチ狂って見えるところが最高。

もうなんていうか、ほんとに不安定だし稚拙だし過激だし無茶苦茶だけど、逞しくて賢くて精巧で繊細で美しい。ちょーかっこいい。惚れ惚れする。


ラブレターズも同じ。とにかくネタが好き。ほんとただただ見たい。

私は漫才がとても好きな分、漫才とコントを切り離して考えてて、漫才みたいなコントがあまり好きじゃないのです。いや、まあ別に面白いのは面白いんだけど、「ただ喋るだけなら漫才でよくね?」って思う。やっぱりコントという形を選んだ以上はストーリーや演技で魅せないと、と思う。そこが、ラブレターズはじめ、コント師と言われる方々はやっぱりきちんとしてる。すごい。

あとは、2人とも見た目は普通で、しいて言うなら溜口さん声たけーなくらいなのに、コントじゃキャラは濃いしネタは暗い。人は死ぬし、変態と性格異常者はしょっちゅう出てくるし、皮肉ばっかりだし。でもちゃんと面白い。どんなにブラックでも、どんなに気持ち悪くても、ちゃんと笑える。そこ。

見た目が普通ってすごい武器だな、と2人を見てると思う。普通の人は変な奴になれるけど、変な奴は普通の人になれない。だから2人のコントはボケとツッコミをその都度入れ替えられるし、適した方が適したキャラを演じられるし、性格も思いのまま。これはたぶん、すごくいいこと。


以上、私の好きな芸人さんのはなしでした。

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