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自分の幸福には怠惰な大人『獣になれない私たち』

ガッキー演じる晶(あきら)という女性が主人公のドラマが始まった。

予告だと仕事も恋愛もそつなくこなす女性だけれど…みたいなことが書いてあって、器用な女性を想像していた。

ドラマを見てみたら、主人公はむしろ不器用だった。

上司に命令された通りにやる。ダメな後輩や同僚の尻拭いをする。自分のミスではなくても客先に謝る。など、なんでもやっちゃう。自分がやらないと誰もやらないから。

どんどん負荷をかけられ続けていく姿は痛々しく、見ていて辛かった。

なんで辞めないのだろう。
これは会社を辞めるという意味だけではなく、なぜいつも同じ行動をとってしまうのかということだ。

実はわたしにも経験がある。後輩もいるのに面倒な案件をいつも自分に頼まれたり、いじられ役にされたり、自分に非のないことで八つ当たりされたりした。

今思い返してみると、その状況を続けてしまった理由は2つある。

一つは、その方が楽だから。

これは違うのではないでしょうか?というのは言ったところで相手を怒らせてしまうかもしれないし、怠けたいと思われたら嫌だなとか、余計にややこしくなることを恐れている。だったら、なにも考えずに従った方が楽だ。

二つ目は、存在意義を感じていたから。

なんだかんだ言って、私がいないと回らないというところに酔っていたのだと思う。小間使いをやる以外必要とされる方法がわからなかった。

ドラマの話に戻ろう。

ある日、晶は行きつけのクラフトビールのお店で自分に向けられた陰口を聞いてしまう。「笑顔がキモい」と男が言ったのだ。

このセリフは痺れた。うその笑顔が気持ち悪いってこと実は気づいていたのに見ないふりをしていたのかもしれない。

そしてドラマの最後に、晶は自分で自分のイメージを払拭しようと立ち上がる。

そういう自分をぶっ壊しにいくところを一話で描いているところが良かった。

実は、晶の最初の状態が続くようなら辛くて来週から見ていられないと思っていたのだ。

さすがは逃げ恥の脚本家、野木 亜紀子。リアルを入れつつ軽快にストーリーを進めていく。

予告では新しいブーツと服で、会社の人に詰め寄る晶がいた。

いいぞ!

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