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ゆるキャン聖地巡礼→本州横断失敗に学ぶ、サイクリングルート作りのポイント

この記事はロードバイク Advent Calender2018 の5日目の記事です。

※誰でも参加ウェルカムとのことなので、暇なロードバイク乗りは今すぐTwitterのIDあたりで連携ログインして適当な日付を選んでブログ記事公開を宣言するんだ。


さて、今回はサイクリングのルートを考える時に注意すべきポイントを、実際に自分が失敗した(途中撤退した)ケースをもとにまとめてみました。

ポイント
1. 距離や獲得標高だけでなく「登りっぱなし区間の長さ」をチェックしよう
2. 「絶対に休む場所」は目安をつけておこう
3. ダメになった時のために「簡単に撤退できる場所と手段」を考えておこう

参考事例はこちら、今年5月に走ったゆるキャン△スタンプラリー+本州横断のルートです。距離447.4km、獲得標高6238mを2泊3日で走る予定でした。「既に参考にならねー!」という方は、おもしろ自転車旅行記としてお楽しみください。

ゆるキャン△スタンプラリー+本州横断  - ルートラボ - LatLongLab


ケーススタディこと「本州横断」ルート詳細

そもそもは5月のゴールデンウィークに「ゆるキャン△スタンプラリーを自転車で回ってやろう」と考えたのがきっかけで、このルートを組みました。

自分が1日にどれだけ走れるかという限界は分かっていたので、1日目は距離160kmの獲得標高約2800m、2日目は距離130kmの獲得標高2800m、3日目は距離150kmの獲得約500mと、大まかに距離・高度とも分散させていました。

1日目の様子は別記事、「1日で回ろう ゆるキャン△スタンプラリー自転車ツーリング」でまとめているので、そちらをご笑覧ください。以下は撤退を決意した2日目の様子です。


地獄の美ヶ原高原とエスケープ

いきなりですが、この写真には2つの問題があります。
この写真を撮ったのは13時過ぎにも関わらず、「これがこの日撮影した最初の1枚」という点と、「標高で見ると1/3ほどしか進んでない(ここからさらに標高を1000mほど上げないと目的地に着かない)」という点です。お、ホラーっぽくなってきましたね。

つまり、途中で写真を撮るタイミングがなかった=休憩時間を取っていなかった上に、かなりペースが遅いということになります。
前日からの疲労も大きかったですが、甲府盆地から諏訪付近まで延々とゆるい登り一本調子だったために脚に負荷がかかり続け、スピードがずるずると落ちていったのが直接的な要因だと感じています。これが激坂だったら意識して休んだでしょうし、途中で下り坂があれば無意識に脚を休めるタイミングもあったと思います。

14時過ぎ。白樺湖で最初の休憩と昼ご飯。山菜そばをいただきました。
この時点でかなり疲労度が高く、いっそ白樺湖で宿を取り直してしまおうかとも考えましたが、残り距離は約45kmで既に高原地帯には入っている(もう大きな登りはない)状況だったので走行継続。

ここからは標高1500m~1800mの間でアップダウンするビーナスライン最強の爽快ルートを、鬼の形相で走っていきます。

霧ケ峰高原道路ドライブインに到着。やっぱりバイクが多いですね。

ゆるキャン1巻でしまリンが遊んでいたライブカメラ。実際にドライブインの公式サイトから現在のライブカメラ映像を見ることができます。

余談ですが、このドライブイン手前の車山肩に同じく"聖地"であるころぼっくるひゅってがあります。こういうアホな旅行じゃなければ、落ち着いてお茶が飲める良いところなのでぜひ立ち寄りを。

例のロゴ。

度重なるアップダウンで脚と精神を削られながら、三峰茶屋に到着。時刻はだいたい17時。いくら日が長い5月とはいえ、夜間走行も見えてくる時間帯です。

「この先は美ヶ原まで休憩できる場所はないねぇ」という茶屋の店員さんのアドバイス?に従って、給水してから再出発。
そしてこの日最後の登りは、美ヶ原手前の約4km。平均斜度9%。完全に心が折れて薄暗い中を虚ろな目で走って(歩いて)いました。

このあたりを走っていた時は、(あまりにも哀れに見えたのか)やたらと車から声援を受けました。自転車イベント以外でこんなに「頑張れー!」って言われるの初では?というぐらい。

そして19時ごろ。

この日の宿・美ヶ原高原ホテル山本小屋に到着。長い1日でした。
寒い寒いと言いながら建物の中へ。

いわゆる古い山小屋ですが、個室・大浴場つきで旅館風なつくり。

猫もいる。

夕ご飯を食べて風呂で汗を流したあと、翌日の走行ルートと天気予報を確認。この状態で明日150kmを走れるのか?という気分になっていましたが、新潟は午後から雨という予報を見て、即撤退を決めました。

美ヶ原エスケープルート - ルートラボ - LatLongLab

翌日は美ヶ原から、新幹線上田駅までずっと下り道。

と思いきや、ちょっとだけ登る。

水墨画の世界。
昼前には新幹線に乗り込んで、敗北の帰路につきました。


サイクリングルートを考える時のポイント

さて、このケースで良かったところ・悪かったところを元に、サイクリングのルートを考える時のポイントを3点でまとめます。


1. 距離や獲得標高だけでなく「登りっぱなし区間の長さ」をチェックしよう
ルートを考える時の基本中の基本、自分が1日に走れる距離・高度の"総量の目安"がついていたことの落とし穴にハマってしまいました。考えてみれば当たり前ですが、例えばずっと登りで負荷がかかり続ける10kmと、それなりに下り坂があって休める10kmは脚のダメージの溜まり具合が違います。


特に登りは「辛くなってもゆるく走れない=一番軽いギアなのに高負荷」みたいな状況になりがちなので、これ以降、ルートを引いてみて登りっぱなし区間が多い時は走行距離を短めにする等しています。

2. 「絶対に休む場所」の目安をつけておこう
無休憩で走り続けてもあまり苦にならないタイプなのでやってしまいがちなんですが、やっぱり途中に休むのと休まないのとでは調子を維持できる時間・距離が変わってきます。
かと言って強制的に1時間ごとに休んだりすると今度は体が冷えてしまったり動きたくない病を発症したりするので、「例え絶好調状態でもここに来たら休もう」という場所を決めておくと良いと思います。その場所が観光地とかビュースポットだと、旅行的にもおいしいですね。

より適当に「次にXXのコンビニ・自販機見つけたら休む」とかでも。

3. ダメになった時のために「簡単に撤退できる場所と手段」を考えておこう
上記1と2は人にもよると思いますが、この3だけはどんな人でもオススメしたいです。長距離の自転車走行で無理をしないのは鉄則ですが、「この地点で無理になっていたらさっさと帰る」という選択肢を設けておくと幸せになれると思います。
具体的には宿泊地とか、輪行できる手段がなくなる地域(に入る寸前)とかになるでしょうか。

撤退手段について言うと、自分の場合はだいたい「電車・バス輪行で帰る」「宿を取る+送迎で行く・帰る」「自転車ロードサービスを使う」の3段階を頭の片隅に置いています。
特に自転車ロードサービスは最後の手段として超強力で、24時間365日・50kmまでなら無料で搬送してくれるので、これだけでも自転車保険に入る価値はあると思います。北海道の無人地帯を安心して走れたのもこれのおかげ……ってなんか宣伝みたいでアレですが。


走り切ることだけを考えず、楽しいサイクリングを

自転車楽しいモードに入っていると忘れがちですが、「登りで足をつかない」とか「平均XXkm/h出す」とか「予定通りに走り切る」とかは、できると嬉しいことであって、できないと死んじゃうことではないはずです。

このあたりがごっちゃになっていると悲劇なので、ヤバいと思ったら避けること(予防)と、ヤバい時にヤバさ度合いを軽くする方法を用意すること(軽減)の合わせ技をおすすめしたいです。
特に「避ける」を意識的にできなくなってしまう状態はあり得るので、後者を考えておくのが重要。という記事でした。

明日以降の ロードバイク Advent Calendar 2018 もお楽しみに。


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