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第7章 ヴィッキーさんの使命成就

28 ローラ

ヴィッキーさんたちはいよいよ静かな引退生活を始めます。

完全失明したヴィッキーさんはもう仕事に復帰はできませんし、マーガレットさんもひとりでクリニックの運営はできないのでしょう。

これまでの仕事で貯めたお金とキングズ・ランサムを売却したお金を投資して、その利子で生活することにします。

ある意味ではもう肩から荷をおろした人生です。

これからはつましく静かに、でも心豊かに暮らすことにしたのです。

朝は毎日、太陽のさんさんと降り注ぐ中庭で瞑想するのが日課となり、そこでは、心も魂も、楽々と飛翔しました。
それから日課の散歩。
今では牧場の小道ではなく、森に囲まれた舗装道路でしたが。こうした散歩は、魂が「さまよい歩く」機会であり、より高い意識へと至る方法の一つです。
美しい木々の立ち並ぶ通りが、散歩の醍醐味の一部で、私は彼らを祝福し、そして彼らから祝福を受け取るのです。

 『オーラソーマ 奇跡のカラーヒーリング』(p70-71)

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それはそれで、とても落ち着いた、もしかしたら人にも羨まれるような静かな日常だったかもしれません。

そんな風に時は過ぎていき、ゆっくりとした引退生活のパターンができてはいったのですが……。

身体が生きているかぎり人生というドラマはつづきます。

しかも、必ずその人にふさわしい次の場面があるようなのです。

ただ引退してつましく静かに暮らすだけでは物足りなくなったのか、ヴィッキーさんにはまた新たな憧れが始まっていたようです。

聖なる不満としか言いようのない思いがつのってくるのです。

失明という大きなハンデを抱えながら、さらに魂を深く知りたいという、大きく強い憧れが抑えがたく高まってくるのでした。

そんなとき、ヴィッキーさんたちは、近所の農場で定期的に集まりを持っているスピリチュアルなグループがあることを知ります。

そのグループがあらゆる宗教の人々を等しく受け入れていると聞いて、二人はさっそくその集まりに出てみることにします。

ヴィッキーさんたちには、これまでとは違ったシリーズのドラマが始まろうとしているんでしょうね。

そこから新たな出会いが起こり、次の場面が始まるのでしょう。

人生って、ほんとに人との出会いで成り立っているのですね。

グループの人たちのオーラはさまざまで、どれも好感が持てましたが、中でも際立って美しい魂のらせん状のオーラを見たとき、私は息を呑みました。
それはローラで、彼女は今、戸口に立ち、ゆるやかに微笑んでいます。
永遠という時の巡りの中で、ずっとなじみだった私たちは、すぐに互いを認め、歩み寄り、あいさつを交わしました。
マーガレットと私は、さっそくそのグループに加わることに決めました。

 『オーラソーマ 奇跡のカラーヒーリング』(p72)

どうやらヴィッキーさんたちは、新たな仲間を見つけたようです。

その人たちとの関わりのなかで、ヴィッキーさんの物語の次のステージが始まるのでしょう。


29 虹色のクリーム

スブドという運動のことは聞いたことがありますか?

インドネシアのバパク・スブドという方から始まった霊的運動ですが、なかでも彼が提唱したラティハンという身体運動が有名です。

身体運動と言っても、意識的に身体を動かすのではなく、身体がひとりでに動く動きをそのまま許すという主旨の身体運動です。

外見は“踊るヨガ”とでもいった雰囲気の動きに見えるのですが、内面は自覚的なヨガとはかなり違うようです。

むしろ、身体を統御している顕在意識が消えてしまい、肉体を通して潜在意識自体が表現されることを目指すようなのです。

身体がエネルギーに乗っ取られて、ひとりでに動き出すのをそのまま許すわけです。

これが起こるときは身体に蓄積されてきた大きな緊張が解放され、身体が持っている本来の知恵が開花すると言われます。

バパク・スブドという方はイスラム教徒だったようですが、彼が説いた教えはとても仏教的な知恵だったようです。

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(バパク・スブド)


まあ、本来的な知恵にはもともと区別などないでしょうが。

ヴィッキーさんたちが入ったローラたちのグループは、このスブドのスピリチュアルムーブメントの流れだったようです。

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