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ある日突然、形が変わる悲しみについて

King&princess(以下、キンプリという)というジャニーズ5人組のうち、3人が脱退するということが先日あったらしい。

ジャニーズに疎い私はメンバーのうち、朝ドラで見た永瀬廉くんを辛うじて知っているくらいだった。

演技がえらいうまい男の子やなあと思って見ていたらジャニーズの人とのことで、最近のジャニーズは人材豊富やねえと感心した。

去年セブンイレブンのクリスマスケーキのCMで永瀬簾くんがグループで出ているのを見て「おっ、りょーちんじゃん。ということは、この5人がキンプリね」とやっとそこでキンプリを把握したくらいだ。

だから5人のうち3人が脱退したことがどういうことかいまいちピンと来てなかった。でも、ジャニーズに詳しい人が「マルゲリータピザから、トマトソースとチーズとバジルが抜けてしまったくらい大ごと」と言っていて、私もそこでコトの大きさに少しふれられた気がした。たとえ話がうまい人にはいつも助けられる。

ピザは横に置いておいて、突然の報にファンの人たちが思っているのは「なんでこんなことに」というやりきれない想いだと思う。
宝塚のトップスターなんかは基本的に突然退団ということはない。劇団が暗に出すサインというものがあり、ファンはそれを受け取りながら発表の瞬間に向けて心を整える時間がある。それでも辛いのだから突然のことにキンプリファンの方は落ち込んでいるのではないかと思う。

キンプリのメンバーはこの件に関して「全て自分たちが決めたことです」と言う姿勢だけど、そう言わせる企業の体制もどうなのだろう、と思う。

セブンイレブン始め大企業のスポンサーがいくつもついたドラマやCMがじゃんじゃん流れている今、仮にキンプリのメンバーが突然退社を申し出たとしても、企業側は「気持ちはわかりました。でも今それをするとあまりに多くの人に迷惑をかけてしまう。何より、突然のことに悲しむファンがどれだけいると思ってるの。お互いにとって一番いいタイミングを考えましょう」というのが大人の姿勢というものではないだろうか。25歳くらいの若い男の子たちに背負わせるものが、ちょっと、大きすぎるのではないだろうか。

「始めるときより、実は終わらせる方がずっとずっと大変」と飲食店をいくつも経営している人が言っていた。
確かに何かを始めることは大変だけど、春の芽吹きのようにわかりやすいめでたさもある。でも本当に大変で難しいのは、それをしかるべき完了の形をとって終わらせることではないかと、今回のキンプリを見ていて思った。一つのことを最後まで無事に終わらせることは当たり前ではなく、尊いことだ。

私はミュージカルが大好きで、今まで多くのタカラジェンヌや劇団四季の俳優さんを見送ってきた。突然応援していた存在が形を変えたことに混乱するキンプリファンの方のことを思うと、何だか心苦しい。

キンプリの5人、そしてファンの皆様が「あの時は大変だったし辛かった、でも」という、穏やかであたたかいものが訪れる日を、なんの関係もないけれども祈っている。