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特急「はやとの風」にさよならしてきました

 2022年3月21日、JR九州の観光列車・特急「はやとの風」が運行終了します。このことについては多くの専門家やファンが言及しているでしょうから、私は詳しくは書きません(書けません)。なので「はやとの風」の思い出を少し。

 私と「はやとの風」の出会いは仕事だったでしょうか。某観光ガイドブックで紹介記事を担当していたからです。といってもほとんどはJR提供の画像を使ってのリライト(情報更新)が多かったのですが、10年ほどは担当していたと思います。
 そんな私の初乗車は運行開始からずっと後のことで、確か2008年か2009年だったと記憶しています。たまたま霧島方面に用事があって出かけ、その帰りにふと思い立って霧島温泉駅から乗車しました。事前予約していたかどうかも覚えがありません。なにしろ「はやとの風」乗車が目的ではなく、とにかく鹿児島市内に帰れればという選択だったように覚えています。
 なので周囲の観光客が楽しそうにしているのに、私はとても冷静で(霧島で気分を害することがあり、少々落ち込んでさえいた)車内を眺めて「へえ、こんな面白い内装なんだ」と思った程度でした。嘉例川駅でも車外で記念撮影している乗客をぼ~っと眺め、客室乗務員が日付入りの乗車記念プレートをもって客席を巡り「記念撮影いかがですか?」とにこやかに話しかけてきても「観光ではないので」と断っていました。
 それでも隼人駅を出て重富駅を過ぎると、進行方向左手に錦江湾と鋭角な桜島が見え始め自然と視線も車窓へ。眼下には並行する国道10号を行き交う車、電柱が多く良好とはいえない視界ながらも、鹿児島市に近づくにつれて形を変える桜島とその景色に思わず見惚れていました。

 その後、「はやとの風」に乗車する機会はありませんでしたが、自宅が鹿児島駅に近いので、踏切待ちをしているとすぐ目の前を漆黒のボディが走り抜けることも多く、親しみのある観光列車でした。

 しかしここ数年は乗客もさほど多いとは言えず、週末のみの運行となったり、2020年になるとコロナウイルス感染対策で運休したり、7月の人吉球磨地方を襲った豪雨の影響でさらに運休し、ついに肥薩線再開のめどが立たないまま運行終了となってしまいました。

 先月、せめて最後にと今度はきちんと予約を取って吉松から鹿児島中央までを乗車してみました。今回は客室乗務員の差し出した乗車記念プレートとともに友人と2人、記念撮影もしました。そうそう、嘉例川駅名物のお弁当も堪能(これは吉松に向かう普通車の中で食べましたが)。
 そして昨日は鹿児島中央駅で特急「指宿のたまて箱」との並列停車も見学しました。ひとしきり撮影すると、JR職員の方にカメラのシャッターを押してもらい、最後の記念撮影としました。思い返せば九州を走る観光列車の中で一番身近な存在だった特急「はやとの風」。「ふたつ星4047」と姿を変えても、また多くの人を楽しませてほしいと思います。
 



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