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未経験者エンジニアをもう一度だけ、あと1人だけ採用する理由

※注 2023/05/23 この採用枠は内定者が確定いたしました。現在は募集しておりません。

この度、「丁稚(でっち)採用」という新しいエンジニア募集枠を公開しました。

https://www.wantedly.com/projects/1317384

丁稚(でっち)という言葉を知っている方はわかると思いますが、ブラックな響きを持つこの採用枠は以下の点で通常採用と異なります。どうしてもエンジニアになりたい、そのための努力は絶対にやり遂げるという方を1名限定で採用します。

  • 未経験者限定1名のみ募集(独学のみの業務未経験も歓迎)

  • 1年間はフル出社(他のエンジニアはフルリモート)

  • 代表含めたメンターの元で徹底的に成長にコミット

  • 月に1~2日程度、エンジニアを集める出社日あり

  • 出社日の業務後は打ち上げ原則参加 ※飲食代は会社負担

  • 正社員、社会保険等完備 ※もちろん違法な要求は一切しません

なぜ丁稚(でっち)採用か?

一言でいうと本気で成長したい人に一日でも早くエンジニアとして独り立ちしてもらいたいからです。1年で一人前になってもらいます。そのために必要なのがフル出社での丁稚(でっち)採用です。

背景から説明します

今はエンジニア不足が叫ばれ、未経験者を募集している企業は増えました。スクールが流行したこともありエンジニアの入り口に立つための道は整備されてきました。しかし、3~6ヶ月スクールで学んで、それでも足りずに別のスクールや独学を追加して就職活動し、何とか企業に採用されたとしてまだまだ通用するレベルにはありません。実務で1年~2年経験してようやく貢献できるレベルに達してくるわけですが、上手く成長できず契約終了になることもあるでしょうし、成長した人は次の企業に転職するなどして入り口では企業もエンジニアも色々と苦労があります。

上記のような背景があり僕は未経験者の採用を諦めました。未経験者を育てるには膨大な時間と育てる側のリソースが必要ですし、せっかく育てた人が転職するとなると、育てる労力を払うのが難しくなったのです。

実は僕も未経験でエンジニアの道に入りました。僕は大学中退して27歳までずっとフリーター・バンドマン・パチプロなどしていたので(参考: http://ukkyo.sakura.ne.jp/sinkou/tada_maenisusume.html )、研修制度が整った大企業に入れるはずもなく、全て独学で身につけました。自分自身が未経験からエンジニアとして成長するための苦労と道のりを経験してきたのです。そして僕と同じような立場の何人もの未経験者を指導してエンジニアとして成長させてきました。ある意味、未経験者を育てることが僕の本業だったようなものです。それなのに未経験者採用を諦めざるを得なかったのは非常に残念でした。

どうすれば未経験者採用ができるのか改めて考えたときに、やはり一番の課題は育成に時間がかかりすぎることでした。未経験採用をするにはここを解決するしかありません。

最短で成長するには

ではどうすれば未経験者は最短で一人前のエンジニアになれるのでしょうか。批判を恐れずに言うと、リモートワークだから遅いんです。熟練者の生産性としてはリモートワークでも大差ないかもしれません。ですが未経験者がリモートワークで成長するのは非常に困難です。隣にメンターが常にいる状態と比べて体感で20~30%のスピードしか出ないように思います。つまり1日8時間リモートワークをしていても成長するのは2時間分です。それなら出社して8時間みっちり成長すれば4倍のスピードが出ます。

まず質問やコミュニケーションの量とタイミングに大きな差がでます。

  1. 疑問に思った時にすぐに聞ける

  2. 1回聞いて理解できなかったことを何回も聞き直しできる(リモートで何度も通話は気が引けますが、一緒にいると昼ごはん時とかいくらでもチャンスが生まれます)

  3. メンター側から「こういうテクニック知ってる?」と気軽に学びのタイミングを提供してもらえる

3番目はけっこう大きくて、メンター側も常に教えたいカリキュラムが頭の中に整理されているわけではありません。たまたま目についたことや話題、自分の発見などをパッと教えてあげたくなるタイミングは日々何回もあります。そんなときにリモートでわざわざ声をかけて、繋がるかどうかもわからない相手に通話を持ちかけたりするのは億劫で、そこまでするならまあいいや、となります。これは大きな損失です。

そしてさらに大きな違いが情報量の差です。例えば以下のようなことをリモートで学ぶのは非常に難しいです。

  1. 仕事に入るときの準備に何をしているのか

  2. エラーメッセージをどこまで深く読み込んでいるのか

  3. プログラムを書く際に何分考えてからコーディングしているか(優秀な人ほどコーディング前に考える時間を十分に取る)

  4. ツールやショートカットキー、エディタの設定など作業効率を上げるための工夫(ノートにペンでメモを取ることを大切にしている人などもいる)

  5. 割り込み作業に対する対処の仕方

  6. 納期に対する意識の高さ

  7. トラブルが生じたときの周囲とのコミュニケーションのとり方

  8. 経営や営業などとの折衝

これは僕が今ぱっと思いついた一例を記載しただけですが、このようなことが何百項目も存在し、あらゆるタイミングでそれらが目に飛び込んできます。これを全てカリキュラム化して教育できているような企業など見たことありません。

一流のエンジニアになりたいという目標を例えば「海外に移住したい」と置き換えてみましょう。事前に移住したい国の言語や文化、制度を調べあげると思いますがそれで充分でしょうか。あらゆる対策をしたつもりだったが、実際に行ってみるとどこの施設も冷房が効きすぎて冷え性の自分には無理だったとか、そういう落とし穴がいくらでもあるものです。ではどうすればよかったのでしょうか。百聞は一見にしかず。旅行に行ってそこにしばらく住んでみれば自分が順応できそうかどうかわかっていたでしょう。

エンジニアとしての成長もこれと同じです。自分が目指す人の隣で、常にその人の行動を見ていればそれを真似ることができるようになります。リモートの打ち合わせで画面の中に見せている言動はその人の実力のほんの一部分でしかなく、本当に重要なことはそこでは見えてこないところにあったりします。上の例で言えば実際に海外に住んでいるようにメンターに触れられる8時間と、日本で文献やネットで調べているようなリモートの8時間には圧倒的な効率の差があるのです。

とはいえリモートワーク前提の社会で

多くの企業がエンジニアはリモートワーク制度を活用しています。そうでなければエンジニアが集まらないということもあるでしょうし、例にもれず当社もフルリモートワークです。(月1回程度の出社日はあり)

これまでも述べてきた通り、それは未経験エンジニアにとって大きな足かせになっています。しかし逆に言うとこの状況はチャンスです。

なぜなら周りは皆リモートワークをしていて、才能あふれる優秀な人ですら20~30%のスピードでしか成長していないとすれば、多少能力で劣ろうが逆転できるからです。もちろん相当な努力をすることが前提ではありますが、亀がウサギに勝てるボーナスステージともいえます。

僕が20年前に未経験からエンジニアを目指した自分を思い出し、あの頃の自分が一番欲しかったチャンスを与えてあげるには何をしたらいいのか、その答えの一つとして丁稚(でっち)採用をすることにしたのです。
ただし2人も3人も受け入れては僕の体力が持ちません。1度に1名、その人が上手く成長すればまた1名採用する1期1名制限でいきます。
僕の隣で技術を、またエンジニアとしてのキャリア戦略や場合によっては経営観点も大いに学んでいただければと思います。

打ち上げに必須参加の理由は?

月に1度、エンジニア全員を集めて業務を行ったあと、打ち上げを実施しようと思います。当社のエンジニアは全国にバラバラに存在するので実施するのもそれなりに予算が必要です。ですが、この制度は可能な限り継続したいと思います。

丁稚(でっち)採用の方には原則この打ち上げは参加してもらいたいです。打ち上げは技術に限らず当社の事業やその他ビジネス、趣味の話など多岐にわたるでしょう。副業の話も出るかもしれません。お酒を飲むかどうかは自由ですが、この場所でコミュニケーションすることの価値を理解していることが重要です。

あなたがエンジニアとして今後大成していくとすれば、他の会社に移ることも有り得るでしょう。エンジニアが高いキャリアで他社に行く場合、普通に転職サイトや募集記事を見て応募しているようではまだまだ未熟といえます。優秀な人は役職者やキーパーソンと繋がって、特別な条件で引き抜かれてその会社に行くのです。

どうすればそうなれるのでしょうか。それは色んな種類の人と繋がり、会話をし、自分という人間を高く買ってくれる人を周りにたくさん作ることです。人脈を作るというと薄っぺらく聞こえるかもしれませんが、高く評価しあえる仲間というのは、いつかまた縁があるものです。エンジニアは腕一本で食っていくからこそ、そのような仲間の存在が重要なのです。

また、そのような多くの人と触れ合うことで自分の価値観を広げ、自分の武器を増やし、自分の魅力を高めることが可能なのです。僕は長く黒服やバーテンなどの水商売と言われる世界で働いていましたが、そこで出会ったお客や仲間たちは、今やほとんど会うことはなくても僕の貴重な体験のもととなり、僕が今こうやって社長をやっていることのバックボーンに間違いなくなっています。エンジニアも同じ人間である以上、自分と仕事をしたいと思ってくれる人を増やすことは多くの恩恵をもたらしてくれます。スキルは掛け算です。あなたの人間的魅力を高めることはあなたのスキルの価値を掛け算で高めてくれるでしょう。

最後に

ということで、勢いで長々と稚拙な文章を書きましたがそろそろ終わりにします。僕が一度は諦めた未経験者採用を、もう一度だけ、あと1人だけ挑戦したいという気持ちに応えてくれる人。こういうのを待っていたという人のみ応募いただけたらと思います。こちらも相当の体力を注いで教育しますので、少しでも違和感のある方は最初からご遠慮ください。

それではお会いできるのを楽しみにしています。

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