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Bill One 3年でARR1→68億円、会社全体ARR310億円到達!Sansanの業績を上げる力の源とは?

2024年5月期 第3四半期(2024年2月末まで)の決算で、Sansanの会社全体のARRは前年同期比33.4%増加し、310億90百万円に到達したことが発表されました。

Sansanの会社全体のARRは310億90百万円に到達

急成長を続けるBill OneのARRは68億44百万円に到達しました。

Bill OneのARRは68億44百万円に到達

過去のBill OneのARR推移は以下の通りです。

2021年2月:ARR1.05億円
2021年8月:ARR3.91億円
2022年2月:ARR10.86億円
2022年11月:ARR21.24億円
2023年5月:ARR37.98億円
2023年11月:ARR59.37億円
2024年2月:ARR68.44億円 ← New!!

第2四半期の決算でも発表されていましたが、2024年5月期末におけるBill OneのARR目標は75億円以上を目指すと公表されています。

Bill Oneの2024年5月末のARR目標は75億円以上

もし、この目標通りにARR75億円を達成すると、本来は5年かかるT2D3(1億→3億→9億→18億→36億→72億)を3年3ヶ月で達成することになります。


この記事では、上場後も急成長を続けているSansanの業績を上げる力の源泉に迫ります。

ビジネスモデルの強さ

チャーンレートの低さ

SaaSの鉄則として「バケツに水を入れる前に、バケツの穴をふさぐ」こと、すなわちチャーンレートを下げることの重要性が語られます。

Sansanの業績を上げる力にも、その前提として、チャーンレートの低さがあります。

2024年5月期 第3四半期末(2024年2月末)時点の直近12か月平均月次解約率は、

Sansan:0.44%
Bill One:0.33%

となっており、驚異的な低さです。

Sansanのプロダクト = BPO × データベース

これほどまでに低いチャーンレートを実現できている理由は、SansanのプロダクトがBPO+データベースだからです。

まず、BPOに関して、

  • Sansanであれば、名刺のデータ化

  • Bill Oneであれば、請求書の受領代行とデータ化

  • Contract Oneであれば、契約書のスキャン・データ化(受領・押印・製本・郵送代行も)

等々、Sansanのプロダクトの起点はアナログ情報のデジタル化にあります。
Sansanではこれをアナデジ(アナログ から デジタル)と呼んでいます。

アナデジはBPOサービスとも捉えられます。
一方で、ただのBPOサービスであれば、代わりとなる企業はたくさんありますので、これだけチャーンレートが低くなる訳がありません。


もう一つのポイントが、Sansanのプロダクトがデータベースであることです。

顧客が名刺・請求書・契約書などを格納すればするほど、その顧客にとってなくてはならないデータベースとなっていきます。

アナログ情報をデジタル化する際も、単にデータ化するだけではなく、その精度やデータの構造化にもこだわっています。

例えば、Sansanは名刺データ、Bill Oneは請求書データを99.9%の精度でデータ化しています。
Contract Oneでは契約先・契約締結日などの項目のデータ化だけでなく、親契約と子契約の紐付きもデータ化されています。

さらに、Sansanでは企業情報や人物の異動情報もデータ化して情報をリッチ化しています。

顧客のアナログ情報が、手間なく高精度にデジタル化されていくのと同時に、Sansanからも情報が付加されることで、手放せないデータベースへと進化するのです。

"受注"にこだわる

New MRR

Sansanの営業現場における最重要指標は、New MRRです。

それぞれのプロダクトにおける月次・四半期のNew MRRがいくらだったのか、目標を達成したのか否か、いつまでにいくらまで伸ばしていくのか、ということが日々議論されています。

これは入社して驚いたことなのですが、社内で累積のMRR/ARRが話されることはほとんどありません。

この記事の冒頭でも触れているように、結果としてのBill Oneの累積MRR/ARRが話されることはあります。しかし営業現場で追いかける指標として設定されるのはNew MRRのみです。

チャーンレートが非常に低いため、累積のMRR/ARRに焦点を当てる必要がなく、新規の受注にのみフォーカスできるのです。

さらに、New MRRを引き上げ続けるという意識を持つことで、自然と非連続な成長の実現につながっています。

営業一人あたりのNew MRR・受注率

次に重視される指標が、営業一人あたりのNew MRRと受注率です。

Sansan代表の寺田は「他のSaaS企業からアドバイスを求められた時は、まずNew MRRと営業の人数を聞き、営業一人あたりのNew MRRを計算する」と言っています。

営業一人あたりの月次のNew MRRが20万円を超えているかどうかを一つの基準としてみているとのことです。


次にそのNew MRRに再現性があるかという観点で確認されるのが、受注率です。

アポイントの取り方・初回商談での話し方・フェーズアップの仕方などが洗練され、標準化されていくと、平均の受注率も向上していきます。

トップセールスの受注率が高いだけだと、事業をスケールさせることができません。平均の受注率を引き上げていくことで、再現性を担保します。

受注率は少なくとも10%以上であることを1つの目安としています。

平均の受注率を引き上げるために、APB(アプローチブック)と呼ばれる初回商談の資料を作成したり、モーニングピッチと呼ばれる商談におけるプレゼン内容の共有を行ったりしています。

OKR・期末企画

営業の受注金額の目標はOKRで設定されます。

OKRは3ヶ月ごとに設定されます。実は、年間のOKRはありません。
年間の事業計画はもちろんありますが、基本的には3ヶ月という短期間に焦点を当てて、やり切っていくことを重視しているのです。

Sansanには「変化を恐れず、挑戦していく」というバリューがあります。
3ヶ月単位で結果を見ながら、事業戦略や組織体制を果敢に変更していきます。
そのスピード感はスタートアップ以上とも思えるぐらいです。


そして、3ヶ月単位で営業がやり切っていくことを支えているのが、期末企画です。

3ヶ月ごとに開催される期末企画は、ものすごく手が込んでいます。期末に向けて一気に受注を獲得していくべく、全社をあげて盛り上げます。

3ヶ月単位で達成を喜び合い、未達成は反省する。そして、次の達成に向けてスタートする。その繰り返しで、業績を伸ばし続けています。

唯一無二の価値をつくり、市場を創造する

ここまで述べてきたような、ビジネスモデルの強さや受注にこだわる力を支えるのは、Sansanの「ユニークであること」へのこだわりです。

Sansanでは名刺管理サービスの市場を、Bill Oneでは請求書受領サービスの市場を創造してきました。
Contract Oneでも締結後の契約データベースに特化し、基本契約と個別契約などの親子契約の完全自動紐付けという画期的な新機能を開発しました。(以下リンクは日本経済新聞の紙面にこの新機能を取り上げていただいたものです。)

何となく機能を横並びで増やさない。
他社には生み出せない、唯一無二の価値を創り上げることにこだわる。

「ユニークであること」が、業績を引き上げる一番の原動力になっています。


ここまでお読みいただき、ありがとうございました、

Sansanの企業文化の強さについては以下の記事にもまとめましたので、ぜひ、あわせてご覧ください。


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