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LINEほけん、何がすごいのか?!
今週火曜日(2018/10/16)に、LINEほけん、がスタートしました。
LINEほけんは、LINE株式会社の子会社であるLINE Financial株式会社が提供する、LINEアプリ上で簡単に入れるスマホ完結型の保険です。
2018年4月に、LINEが損害保険ジャパン日本興亜と業務提携して、InsurTechに参入することは発表されていました。
約半年が経ち、ついにサービスがお披露目されたわけです。
このLINEほけんですが、UI/UXが非常によいということで、早速注目を集めています。
さて、このように保険業界では非常に革新的なUI/UXとして、取り上げられているLINEほけんですが、、
そもそも保険に加入されたことがない方には、何が革新的なのかが分からないかもしれません。
また「このぐらいのUI/UX、普通じゃない?何がすごいの?」と思われる方もいらっしゃるでしょう。
そこで、本記事では、日本の保険業界の事情も踏まえて、LINEほけんの一体何がすごいのかを解説いたします。
LINEという有力/巨大なチャネル
言わずもがなですが、LINEという巨大なユーザー基盤をもつサービスに保険の入口ができた、というのが革新的です。
以下の画像の通り、LINEのウォレットを開くと、送金やコード支払いなどの主要な項目と並んで、保険のメニューが追加されたことが分かります。
![画像1](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/8187138/picture_pc_aee1d0e800c9dbec1093790eef866d41.jpg)
LINEの日本のMAU(マンスリー・アクティブ・ユーザー)数は、7600万人と公表されています。(LINEの2018年12月期第2四半期の決算説明会資料より)
普段、LINE Payを使う人であれば、目にしやすい場所に、LINEほけんの入口ができたことは非常に大きいです。
というのも、そもそも、保険というのは、流通させることが非常に難しい商品です。
保険というのは、「万が一の時にお金が支払われるもの」です。
従って、家や車などのように、ワクワクしながら自ら進んで調べて買う商品ではありません。
また、銀行口座やクレジットカードの利用明細のように、毎日気にする商品ではありません。
銀行口座は「いま残高いくらだったかな?」と確認することも多いのではないでしょうか。
でも、「いま死んだらいくらの保険金がもらえるんだっけ?」と確認することは年に1回でもあればよいほうでしょう。
そのため、数少ない保険の検討・購入タイミングで自社を選んでもらうために、保険会社はたくさんCMを打っています。
また、以前、日本初のオンライン生命保険会社として、ライフネット生命が立ち上がったときにも、認知度を上げることに苦労されていました。
創業者の出口さんが講演をしたり、岩瀬さんがブログを書いたりして、何とかユーザーを集めていました。
7600万人が常時目にする場所で、保険という商品の入口をつくれたことは非常にインパクトが大きいです。
とにかくシンプルで分かりやすいUI
次のポイントは、とにかくシンプルで分かりやすいUIになっていることです。
これまでも、オンラインで加入できる保険は多数存在しましたが、どちらかというとスマホよりもWEBが中心でした。
WEB中心なこともあってか、他のネット保険では、保険商品の説明はかなり詳しく書かれています。
例えば、今回LINEと提携した損害保険ジャパン日本興亜のオンライン海外旅行保険の商品説明を見てみましょう。
まず、WEBのUIは次のようなイメージです。
![画像2](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/8197471/picture_pc_3957c8fbf4fd721d33b6ab8cdeeec1c9.jpg?width=1200)
WEBということもあって、特長が複数列挙されています。
![画像3](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/8197941/picture_pc_1030fea8342520b6a0d5bcf3dfdfd757.jpg?width=1200)
また、補償内容などの別ページで詳しい説明されています。
次に、スマホのUIイメージです。
![画像4](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/8197853/picture_pc_eb596934065b9db3b101509d7263cdc8.jpg)
基本的にはレスポンシブデザインで、WEBと同様のUIになっています。
![画像5](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/8197900/picture_pc_0467ec7daf042ca35ace61cbbf13ac08.jpg)
補償内容も別ページで詳しく説明されています。
一方で、LINEほけんのUIは以下のようになっています。
![画像6](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/8197520/picture_pc_fd77c9b4a9b5713a3c90a7bd41780499.jpg?width=1200)
![画像7](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/8197529/picture_pc_c4ada7561ee0817bba98cb92ae3df140.jpg?width=1200)
![画像8](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/8197532/picture_pc_2ea6bb2afb216e5c4278b01849f705d1.jpg?width=1200)
損保ジャパンの商品説明と比べると、イラストも使って親しみやすさをもたせながら、とにかくシンプルなUIになっています。
保険業界では、保険は分かりづらいので詳しく説明すべきだし、詳しく説明しないと売れないというのが通念です。これが対面販売に比重がおかれている理由でもあります。
結果、説明が細かくなりすぎ、かえって分かりづらくなっていた可能性があります。
LINEほけんはスマホのみで提供されることもあって、スマホファーストで商品説明ページが設計されていることもこの違いを生んでいると考えられます。
そういう意味で、このLINEほけんのUIは保険業界において斬新なアプローチだと言えるでしょう。
LINEほけんの成否如何では、他の保険会社のオンライン保険のUIにも影響を与えることでしょう。
LINEウォレット/ほけんの今後の展開の予測
今回提供が開始された保険は、保険料が非常に小さい、損害保険のみです。
今後は、損害保険の中でも自動車保険・火災保険などの金額の高い保険や、亡くなった時や病気になった時の保障をする生命保険・医療保険などを提供していく可能性があるでしょう。
海外では、中国の衆安保険(ZhongAn)という会社が、同じようにオンライン完結型の保険を提供しており、100億件以上の保険契約を販売しています。
彼らも最初は少額の損害保険からはじめ、医療保険などに商品の幅を広げていきました。
LINEほけんも同様の戦略で、医療保険などに幅を広げていくことが想定されます。
※ 衆安保険(ZhongAn)に関しては、InsurTechJapanでZhong An TechnologyのCOOのインタビュー記事も公開しています。彼らの扱うデータ量やエコシステムがうかがい知れる内容になっていますので、ご興味ありましたら、ぜひご覧ください。
また、LINEウォレット全体の戦略も気になるところです。
LINEの金融子会社であるLINE Financialから、以下のような図が公表されています。(LINEの2018年12月期第2四半期の決算説明会資料より)
![画像9](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/8197630/picture_pc_00d583b726594135b779dc4e9e41c31c.jpg?width=1200)
決済だけでなく、資産運用・保険・ローンなども掛け合わせることで、相乗効果でユーザーを増やしていく狙いでしょう。
中国ではアリペイ・ウィーチャットペイの2強が中心となって、キャッシュレス決済が普及しいます。アリペイのユーザーが飛躍的に増えたのは、余額宝と呼ばれるオンラインで少額(約17円)から簡単に購入できる投資商品が発売されたことがキッカケでした。
FOLIOと提携した「LINEスマート投資」が、昨日(2018/10/17)リリースされました。
「LINEほけん」リリースの2日後に「LINEスマート投資」がリリースということで、怒涛の勢いですね。
アリペイ×余額宝のようなユーザー数の増加が期待できるかもしれません。
非常に楽しみですね!!