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機内のおとなりさん

ボストンに行くと決めて、探しまくって
私が購入したのは、デルタ航空だった。
デルタ航空って、聴いたことはあるけれど
あんまり印象深くがないのが、印象。
もちろん、はじめて乗る。

ボストンまでの私のフライトは
羽田・ミネアポリス間でおよそ12時間
ミネアポリスで乗り継ぎ
そこから国内線でボストンまでおよそ4時間
トータル16時間の長時間の空の旅だ。

腰痛持ちの私は、ちょっとだけ奮発して
デルタ航空の※コンフォートプラスを予約。
コンフォートプラスとは
広さはエコノミーとほぼ変わらないけど
わずかに クッション性が高いシート
といったところだろう。

どなたに
とってもそうでしょうが
機内のおとなりさんは大事だ。
ひとり旅だとなおさら、で。

たとえば、荷物を棚にあげてもらったり
キャビンアテンダントから
何かをうけとってあげたり
トイレに行くとき、
席をたったり、すわったり
そんなやりとりだけど、
半日以上、かなり近くで過ごす人だもの。
たとえ一時だけでも、そこそこ気分よく
邪魔にならない程度に、感じよく、親切な人がいい!
わたしもそんな良い感じの人でありたい・・・。

かつて
トロントまでのフライトは、過酷だった。
その当時のエコノミーはまだ
一人一画面ではない席で
私に与えられたシートは
スクリーンの真下すぎて
ほぼ見えない席だった。
それだけでも、がっかりだったのだが
私のお隣さんは、
本来なら到底、二席分でも入りきらないのでは?
という巨漢の男性だった。
少し高い声の底抜けに明るい
良い人そうではあったが
席からはみ出した肉体がずっと
私の右肩から右半身を押しまくり
途中で私のカラダはしびれはじめ
一睡も寝れないどころか
身動きさえとれなかった
という、悲喜劇を思い出した。

いやいや、今回は大丈夫にちがいない・・・と
脳内記憶をかき消すしながら
席を探すと・・・・おや・・・


あなたが、飛行機の席を選ぶとしたら
どこをお望みだろうか?
窓際?通路側?
三列シートの真ん中が良い、という人は
聴いたことがないけれど・・・
私は お子様だね、と笑われても
断然、窓席がいい!
今回も、窓席を指定していたはずなのに・・・
私の席は、・・
両翼ではなく、真ん中4列シートの左端だった。

ま、仕方ない。
トイレも行きやすいし、
この席でよかったこともあるだろう・

先に、席についていたのは
見るからに実直そうな初老のご夫婦で
一瞬、アジア系の方にみえたが
中南米の方だろうか?

上の棚に荷物を置くには
わたしの身長はちょっと足りなくて
背伸びをしても届かない。
困ってる私にすぐ気づいて
お隣の夫君であろう渋めの男性が
ひょいと私のリュックを
持ち上げてくださった。
サンキュー、サンキューと笑顔で
伝えると、
「なんてことはないさ」と
微笑み返された。
おだやかで良い人たちそう・・・
今回は「あたり」だよなあ。


座席シートの画面のスイッチをいれると
それはそれは、充実のラインナップに見えたが
残念ながら、私の観たい映画はみつからなかった。
そこで、ずっとデルタ航空チョイスのSpotifyで、
ジャズやクラシックを永遠に聴いていた。
ウトウトはするが、寝れない。
なんども、フライトスケジュールを確かめるが
まだまだ、到着までの時間はたっぷりある。

仕方なく、映画をあれこれ探し始めた。
お、これにしようか、とチョイスをすると
画面上に、あなたは18歳以下ですか?という表示

え?どんなに激しい映像が出てきちゃうかとおもうと
ちょっと、選べないなあ、と
一瞬悩んでキャンセル。


次も、このタイトルならよいのでは?
という映画を選んだものの、
また、あなたは18歳以下ですか?という表示
いやいや18歳どころか、その三倍近くですよ・・・と
おもうけれど・・・またもや、躊躇してしまった。

普段の私なら、この暗い機内で
誰も、わたしが観てる映画なんて気にしてないし、
どうせ二度と会うこともないのだから
いいではないか!とおもうところなのだが
なんというか、おとなりの実直そうな
初老の男性も、なかなか寝れないようで
私の画面をチラチラみている・・・
と気づいてしまったからで・・・

やはり、なんとなく・・
このシチュエーションで
やたらはげしいのは、やっぱり、なんだ
ほら、気まずいだろうなあ。
思春期に親とみてる感覚に近い
状況を想像してしまったのだ。

結局、えいやっと選んだのは
あなたは13歳以下ですか?と聞かれて、
これは大丈夫でしょう・・・
という米国のテレビドラマ・・・
もう、タイトルも思い出せないほど
内容はつまらなかった・・・

そんなこんなで12時間のフライト中
わたしは今回も、眠れなかったが、
途中、ウトウトされたおじさまの
軽食を、キャビンアテンダントさんから
受け取ってあげたり、
おトイレに立った時、
落としてしまった隣のおじさまの
毛布をひろってあげたり、
到着時には、再び上の棚から
私の荷物をとっていただいたり、と
機内のおとなりさんとは
心地よく過ごすことができた。
それだけで、この旅の始まりは
なかなか、良い出だしではないか!


乗り継ぎミネアポリス空港では
厳しくなったと聞く米国の入国審査と、
私の荷物を国内線に預けなおしをしなくては
ならない・・・

私は、穏やかな笑顔のご夫妻と別れを告げて
少し緊張感をとりもどし
機内を後にした・・・。









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