赤色2号が偶然脳腫瘍に効果があった

発がん性があるのではないか、とされている赤色2号色素が脳腫瘍に効果があるかもしれないというお話。

アスビオファーマの研究者らがネズミを使った実験で、外科的治療が難しく、有効な治療方法の無い悪性脳腫瘍の治療に食用の赤色2号色素が有効かもしれないことを見いだしました。研究の発端はがんの悪性化を促進する酵素に着目し、この酵素を阻害する分子が見つかれば、その分子は脳腫瘍の治療効果を持つかもしれない、という発想でした。そこで、約2万6000種類の化学物質を手当たり次第にこの酵素と混ぜて、酵素活性を低下させる物質を探しました。

その結果見つかったのが、CSB4380という物質で、合成着色料として使われている赤色2号でした。試験管内試験で赤色2号をネズミの脳腫瘍細胞に添加したところ、細胞の増殖や移動を妨げることが確認され、動物実験では脳腫瘍の細胞を脳に移植した後に、赤色2号を脳内に注射すると腫瘍の形成が約半分に抑えられることもわかりました。

ただし、赤色2号は脳腫瘍細胞内には侵入しにくい分子なので、着色料の入った食品をたくさん食べても、脳腫瘍を抑える効果にはつながりません。今後は赤色2号の構造を改変して、薬として使える物質にする研究が進められます。


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