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舞台30-DELUX NAGOYA アクションクラブMIX「ナナシ2021」の感想

はじめに

 本日、2021年12月26日、東京の新国立劇場小劇場で行われた「30-DELUX NAGOYA アクションクラブMIX『ナナシ2021』」(以下ナナシ2021)のライブ配信がありました。

 こちらの公演、12月9日の名古屋から始まり、12月17日から大阪公演、そしていよいよ東京上陸という流れです。
※詳しくは、こちらの公式動画をご確認あれ。


 さて、僕がこの公演を知ったきっかけは、SKE48の古畑奈和ちゃんと、元SKE48の高柳明音さんです。
 どうやら出演するらしいということは、彼女たちのSNSなどで知っていたんですが、地方住みの人間としては都会まで出るには、金銭的にも日程的にも厳しいかなあ、と思っていたところに、このライブ配信ですよ。
 ありがたすぎる!
 関西に住んでいた頃は、いくつかの劇場で演劇を観たことがあるんですが、配信ならではの細かい気づきがあるのでは、という期待も込めて購入しました。

 結論から言うと、買って大正解!
 アーカイブもあるので、未見の方は是非この機会に観て欲しい作品です。

 それでは、見所をいくつかに分けて語っていきましょう。

① 前説から面白い

 配信が17時30開始かなと思って17時20分に入場してみれば、既に前説が始まっていましてね。
 田中精さん演じるオロチと三隅一輝さん(BMK)演じるモモチの前説がすっごく愉快で、既にナナシの世界と現実の世界が繋がり始めている感じがしていいスタートだな、と感じました。
 オロチの言葉の面白さと、モモチのテンションの低さの面白さが素敵で、スクショし忘れてしまいました。
 また前説が終わった後に流れている主題歌がとてもカッコ良くてですね。
 そこはかとなく流れるスーパーロボット大戦の主題歌感がして物凄く好みの曲でした。

② 複雑な時間の流れを感じさせない構成

 前説でも少し説明されていますが、この作品は現代の時間と過去の時間をいったり来たりします。時には映画「ハイアンドロー」のように回想シーンの回想シーンという時間の進み方もしますが、きちんと登場人物たちのセリグが助けてくれるので、違和感なく観られます。
 緊張感あふれるパートの後は、必ず笑いのパートを入れてくれているのもありがたくてですね。
 個人的には、青龍さんの四文字熟語から手紙を届けようのコーナーと、徳川家康さんの「わし、今日誕生日!」は爆笑でした。あと、伊賀の忍者の皆さんがナナシの話を聞く中、服部半蔵だけ「今、殺せよ、今、今!」と叫んでるところや、さりげなく丹弦さんが「ソーユートコあるよね?」と言っていたのも笑いました。あと、伊賀忍者のフルメタルジャケット感あふれる訓練も。
 この緩急があるからこそ、四神無双になるシーンで登場する玄武の不気味さ、忍びの世界の厳しさが際立ちますね。

③ 闘いと謎が物語を進めて行く

 先ほど挙げた構成の妙は、緩急だけではありません。
 僕らに四神無双との闘いについて、そして、ナナシの名前について、最後に玄武は誰なのかについて、という大きな縦軸(ここに、誰が赤雷を殺したのかや何故徳川家康を殺してはいけないと白虎は言ったのかという細かい謎が挟まれていきます)があるので、飽きずに見て行くことが出来ます。
 一つの謎が解決されたかと思いきや次の謎が出てくるので僕みたいなマルチタスク苦手人間にはありがたい進行でした。

④ 修行が活かされる展開が最高!


 SKE48ファンとしては、古畑奈和ちゃんの活躍もやはり楽しみだったんですが、お客さんの( 山の精霊さんの )手拍子に合わせて突きの修行をするコーナーがあります。
 何気ないお楽しみパートかと思いきや、ナナシの本気で倒さなきゃいけない相手は突きで挑むべし!という教えがちゃんと後半の戦いに行き来るんですよね。
 だからこそ、丹弦さんの「良い突きだった…」という台詞も良いんですよね。
 後半はとにかく「どうしてだよ!」と理不尽な運命に叫んでいる印象が強かった鷹丸さんなんですが、成長を一番感じられる人物ではないかなとも思います。
 ちなみに、急にナナシさんが「チームK2の古畑奈和です!」をやった時、一瞬素に戻っていたのも良いですね。

⑤ 恨みを捨てられるのか?

 この話で救われる人達ってどこかで恨みを捨てられた人達なのではと僕は思っています。恋人を殺された朱雀ですが、恨みを捨てることで心に平穏を取り戻し太平の世の為に戦うことにします。また、ナナシ自体も先代の服部半蔵が家康の為に切腹させられた恨みよりも、天下泰平の約束を選びます。恨みから逃れることで、幸せになっていた人々の話なのかな、とも思います。鷹丸も丹弦のことを恨んでいなかったですしね。
 この辺りが凄く鑑賞後のすっきり感とも関係しているのでは、と思います。
 ちなみに、今回のちゅりこと高柳明音さんの殺陣での手数の多さにびっくりしました。しかも、美しい円を描くような太刀捌きで、早さだけではなく魅せることも意識しているのかな、と思ったりもしました。

⑥ 一番好きな登場人物は服部半蔵

 いやあ、序盤から眼差しがカッコいいなと思っていたんですが、話が進むに連れてめちゃくちゃ気の毒な人のように思えてきましてね。真剣勝負がしたかったのに、周りのせいで不本意な形で半蔵襲名になってしまった。そのモヤモヤがあったからこそ、ナナシを庇って銃に打たれて、そこからもう一度戦うというある意味、同じ痛みを知った上で勝負するという展開も熱かったですね。
 兄に最後に認められるところが凄く泣けました。

最後に

 演劇を普段見ない方や、とりあえずSKE48のメンバーが出てるからちょっと気になる、という方でも絶対に楽しめる作品だと思うので、是非是非ネタバレありでもう一度最初から観て欲しい舞台です。
 強いて書くならば、グッズのECサイトがあったら、絶対にサントラ買ってたと思います。やっぱり奈和ちゃんの歌は多くの人に届くといいなと思います。

 このまま最高の状態で、最後まで無事に公演が進むことを願いながら、この記事を終えます。


 

 

 

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