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ガラスの靴は残った

 皆さん、いきなりですが、童話のシンデレラを覚えているでしょうか?
 グリム童話版が好きな方もいらっしゃれば、ディズニー版がお好きな方もいらっしゃるかも知れません。
 あの童話の中で子供の頃から不思議に思っていたことがあります。
 0時になると魔法使いや不思議な動物たちがかけた魔法は解けるはずなのに、なんでガラスの靴だけ魔法が解けなかったのか?
 僕なりの読解を書いておくと、あの魔法の靴は魔法をかけるものではなく直接魔法使いが譲渡したものではないか、と思います。ドレスとかかぼちゃの馬車とは違う特別なものなわけです。
 そして、ガラスの靴には魔法使いの魔法が宿っていて、シンデレラにも潜在的な魔法が宿る。時期が来るとシンデレラは、魔法使いになって次の少女のところに行き、シンデレラのように魔法をかける。
 そう、魔法使いは元シンデレラであるのではという説です。
 ううむ、文献とか先行研究との反証とか口頭試問なしだとこんなにロマンチックだけが先行する感じになりますが、皆さんはどんな理由が思いついたでしょう?

 
 さて、話を戻しましょう。でもですね、お城にガラスの靴が残ったように、アイドルグループにもシンデレラが残していったものが、あるような気がします。

 今回はそのガラスの靴とは何かを考えていきましょう。

 まず、そのヒントになるのが2016年11月30日に行われた竹内彩姫生誕祭での手紙です。

「彩姫へ

 17歳のお誕生日おめでとう。

 まさか生誕祭でお手紙を書ける日がくるなんて、とっても嬉しいです。なんだか恥ずかしいけれど、聞いてください。

 彩姫とは研究生としてずっと一緒でしたね。6期生の中では一番先輩とコミュニケーションをとっていたんじゃないかな?凄いなーって思っていました。

 6期生って綾巴と李苑が最初にピックアップをされて、そこから他のメンバーはなかなかチャンスに恵まれなかったから他の期と比べるととっても大変だったと思います。

 大組閣で昇格できなかった組は研究生公演が終わってしまい、アンダーにも出れず、自分自身と向き合う時間がとても増えました。そこで卒業してしまう子もいて、その時は正直私もつらかったです。

 彩姫からその時期に悩みのLINEが来たことを今でも覚えています。

 でも、結果としてアップカミング公演という新しい公演をやらせてもらえて彩姫はセンターを経験したり、とっても成長できた時間だったと思います。
 

 そして、その頃からアンダーにたくさん出て、連続公演などをして、知らないうちに自分の体に無理をして、腰を痛めてしまいました。

 『大好きな劇場公演は絶対に休みたくないんです』って注射を打ちながら一生懸命治療をして、公演に出ている彩姫を見ていて、本当に公演が好きなんだなと改めて感じました。

 もし私が腰を痛めていたら注射も打つし、これから先の人生を考えて普通に休演します。

 だから、本当に彩姫は公演に対しての気持ちが凄く強いなと思いました。

 そして、コツコツ今まで頑張って来た結果、今年の総選挙では速報9位、最終的には31位で初ランクイン。現地で見ていて本当に嬉しかったです。

 それからSKEの選抜メンバー入り。『キスだって左利き』の自分の時のように感じました。

 私の場合は総選挙のランクインやSKEの選抜入りで満足してしまうファンの人が多くて離れてしまいました。

 私の魅力が足りなかったからだと今でも後悔をしています。そこに関しては彩姫は大丈夫かな?離れてないですよね?

 総選挙後は自分の力で勝ち上がったじゃんけん大会に勝ったり、去年とは比べものにならないとっても濃い1年だったと思います。

 おそらく次のシングルはまだ出ないので、『金の愛、銀の愛』のリリース期間がとーっても長く選抜メンバーとしての色んな経験もできたと思います。

 前にも言ったと思うけど、この期間をどう過ごすかでこれからのSKEでの立ち位置が変ってくると思います。しばらくは新しいシングルもないと思うし。

 選抜メンバーとしての期間を本当に大切に過ごしてください。

 そして来年の総選挙、もし立候補して出馬するのなら順位が下がらないように彩姫のファンの皆さん、しっかりと支えてあげてください。

 最後に。彩姫はもちろん、大好きな6期生が中心となる新しいSKEを私がいる間にみせてください。期待しています。

 松村香織より」

 この年の生誕祭のスピーチでさきぽんは、青いドレスを着たシンデレラに自分を喩えました。きっとシンデレラは幸せな人生を送っているはずだ、とシンデレラ2年目のことを語ります。
 この日のアメブロも読んでおきましょう。

 ここでもシンデレラという単語と「物語」というアイドル人生をこれからファンの方々とシンデレラ2年目を描いていくことを連想させる言葉が出てきますね。
 さきぽんがシンデレラだとしたら、かおたんは魔法使いかも知れません。しかし、彼女自身もシンデレラになるまでの時代があり、2012年には総選挙という魔法でお城へ爆走していきました。
※イメージ映像(影の軍団Ⅳ 幕末編)



 そんなかおたんが、自分の数年後にシンデレラとなったさきぽんに対するメッセージは、とても優しい視点で書かれています。その2年後の2018年12月5日の彼女の生誕祭の手紙も読んでみましょう。

「彩姫へ

 お誕生日おめでとう。

 去年これがほんとに最後の生誕祭だと思って参加したのに、今年もなぜか参加をして、こうしてお手紙を読んでいます。でも本当に今年が最後。悔いのないように書きたいと思います。

 ちょうど2年前の彩姫の生誕祭でお手紙を書いた時を思い出します。その頃、初めて『金の愛、銀の愛』の選抜に選べれたばかりの頃でしたね。

 そしてこの時期をどう過ごすかでこれからのSKEでの立ち位置が変ってくると思いますと私はお手紙に書きました。

 2年経った今もこうやって彩姫は実際に選抜に入り続けています。

 これは彩姫が頑張った結果であり、ファンの皆さんが離れずに支えてくれていたからだと思います。

 私から見ると彩姫はもう選抜安定なイメージだし、ファンの方も昔ほどそこまで危機感があるわけではないと思います。

 でも、こう安定になってしまうと彩姫自身もファンの方もなかなかモチベーションも上がりづらくなりますし、ファンの方に対しても色々と煽りづらくならないかなと思っています。私はたぶん煽りづらいなと個人的には思ったりもします。

 そしてですね、ここ最近の彩姫を見ていると、彩姫にとって色々と難しかったり悩む時期にきているのかなーと思います。

 ちょうどこの間ゆっくり二人で話す機会があって、彩姫の今の考えとかを聞く時間がありました。

 自分が本当に思っていること、悩んだりしていることも隠さずに伝えたりしてもいいんじゃないかなって思います。

 握手会にも彩姫のファンの方がたくさん私の所に来てくれるから思いますが、どんな竹内彩姫でも愛してくれるし、ついてきてくれる素敵な人たちです。もっと甘えてもっとワガママになっていいと思います。

 あと、自覚もあると思うけど、他の6期生が『私たちがこれから引っ張っていきます』っていう意思表示をしている中で、一歩下がった位置に自ら行っているなって感じます。

 みんながみんなグイグイしている必要はないと思うし、意見を言う必要はないと思うけど、ここぞっていう時にはいいづらいかもしれないけど自分の見え方とかを気にせずにちゃんと言えるようになってほしいです。

 先輩にも後輩にも挟まれていて、両方の意見や考えを聞いて大変だったりもすると思います。

 いい意味で先輩と後輩を繋ぐ役割を彩姫にはきちんとしてほしいと思います。

 そして、そのうち入ってくる9期生のこともしっかりと、古参じゃなくて、6期生たち、新しい子が見てあげてほしいなと思っています。

 今までのアプローチの仕方プラスアルファで安定の立ち位置からもう1つ上のステージへチャレンジして、今日いるファンの方たちと共にまだまだ上にを目指してほしいと思います。

 彩姫のやりたいことができる1年、そしてこれから先に繋がる、そんなような素敵な年にどうかしてください。

 松村香織より」

 「いい意味で先輩と後輩を繋ぐ役割」、「そのうち入って来る9期生のこと」、この二つのキーワードは彼女がアイドルというシンデレラを終えてからも続きます。
 その前にこの生誕祭についてのアメブロも読んでおきましょう。

 さきぽんの理想のアイドル像について少し触れられていますが、本当にしんどい時以外はなるべく笑顔でファンの方を元気にしていく、だからこそ気づいてくれる先輩や同期の存在の大きさを感じます。

 そして、竹内彩姫は、2021年5月31日にSKE48を旅立っていきます。
 この日読まれた手紙で、かおたんが残した言葉をきちんと彩姫ぽんが実践していたのが分かります。
 ちょっとるーちゃんのアメブロを読んでみましょう。

 ううむ、るーちゃんってふわふわした明るい感じなので気付きにくいんですが、人間なので当然ネガティブなところだってあるわけで、それに気づいてちゃんとケアしてあげられる優しさが本当に素晴らしくてですね。
 この時の優しさは、きっとるーちゃんがこれから後輩と接する時の良いロールモデルになるのではと思います。
 

 さて、一気に時計の針を2022年の2月9日に進めます。
 この時、さきぽんは既にSKE48を卒業して、SKE48を運営するゼストに入社しています。
 この日、チームSで行われた赤堀君江生誕祭での手紙を読んでみましょう。

「君江へ

 少し遅くなっちゃったけど、20歳のお誕生日おめでとう。

 君江のことを知ったのは9期生が加入してすぐ、私のことを好きだと言ってくれている子がいると私の耳に入ってきた時です。

 どんな子なんだろうってお顔を見た瞬間、可愛すぎて一瞬で君江の虜になったのを覚えています。

 9期生の子達が皆で練習している時の休憩中、握手会の合間、コンサートのリハーサル中などたくさんお話して、すぐに仲良くなって、気づけば私は『君江ちゃん』から『君江』って呼び捨てで呼ぶようになりました。

 それからさらに距離が縮まったのは私が所属していたチームK2の公演に研究生として出演してくれた時かな?

 あの頃、私たちだけじゃなくてチームK2の皆、君江のパフォーマンスやMCにとても信頼してたし、同じチームK2の一員として君江を見ていたと思います。

 その後にあった静岡エコパアリーナでの昇格発表で君江がチームSと発表された時、『そんなことってある?同じチームで活動したかったのに』って、卒業を考え始めた時だったので凄く寂しかったことを覚えています。

 舞台上で目が合った瞬間、二人で涙目になって、コンサートの終了後は抱き合って寂しさを共有したね。

 あの時、昇格して喜んでいるメンバーを映そうとして裏で走り回っていたカメラマンさんが何人かいたけど、『こんな状態じゃ無理だよ』って逃げ回って、女子トイレでこもって立てこもり、立てこもり事件を起こしながら泣いたこともあったし、ホテルに戻ってからは二人でちゅりさんの部屋に行って、これからどうするか作戦会議をしたことは今でも懐かしい、良い思い出です。

 あの時は複雑で、笑顔で言えなかったけど、改めて昇格おめでとう。

 今ではチームSで楽しそうに活動する姿が見れて私も嬉しいです。

 意外って言うと失礼だけど、しっかり者で、真面目で、優しい君江だから、一人で抱えることも多いリーダー慈子の支えになって、一緒にチームSを盛り上げてね。

 私が卒業してからはカミフレの君江の時に会うことが多いね。

 楽屋から楽しそうな声が聞こえてきて微笑ましくなったり、リハーサルでは皆本気で歌とダンスに向き合う姿のギャップにとても惹かれました。

 SKE48とカミングフレーバーの両立はスケジュールを見るだけで驚くほど大変そうで、体も心も頑張りすぎちゃって、苦しい時にその苦しさを誰にも言えずに長い間悩んでる時にそばで話を聞いてあげられなくてごめんね。

 『これだけ忙しくSKE48とカミングフレーバーのために頑張ってます』ってファンの方にいちいち言うことじゃないかもしれないし、君江は人に弱い姿を見せない頑張り屋さんだけど、つらかったり疲れた時は私に頼って欲しいなって思うし、ファンの方にもそういう一面を少しは見せて甘えてもいいのかなって私は思います。

 ほんとは悔しいと思ってる時、無理に笑わなくていいんだよ。悔しい時は『悔しい』って言ってもいいし、泣いてもいい。

 本気で頑張っている人を誰も笑わないから、君江は君江らしくアイドルを楽しんでね。

 君江の笑顔が大好きで、もっとアイドルきみちゃんを見たいと思ってるファンの皆さんはいーっぱいいるからね。

 私はもっと前で自信を持って輝く君江が見たいです。

 顔面国宝の可愛いお顔もたくさんの方に知って欲しいです。

 社員・竹内さんとしても君江の夢が叶うように、動いていけるように頑張ります。

 前に出かけた時に話したけど、これからは『彩姫さん』ではなく『彩姫ちゃん』として、一人の友達としても仲良くしてね。

 改めてお誕生日おめでとう。

 私はお酒が弱いけど、一緒に乾杯できるの楽しみにしてるね。

 君江のことも、お手紙の依頼をしてくださった君江のファンの皆様も大好きなゼスト社員、彩姫ちゃんより」

 

 ううむ、さきぽんと赤堀さんとそんな関係があったとは。
 そういえば、6期生の単独でも後輩メンバーとして出ていましたね。

 赤堀君江という新しいシンデレラは、いったいチームSでどんな物語を描いていくのか。
 たまに「きまえ」にもなりますが、小さい体でも魅せるパフォーマンスと目力の強さは、さきぽんに通じるものがあると思います。

 生誕祭のスピーチでこの2年間について「ほんとに何をしたらいいかわからないことが凄い多かった2年」とし、「何をしてこのグループに貢献すればいいのかっていうのを凄く考える2年」とも語っています。
 2018年のかおたんの手紙に書かれたさきぽんを思い出しますね。選抜とカミフレという違いこそありますが、やはり最前線で頑張っているシンデレラだと思います。
 更にファンの皆さんに恩返しがしたいし、ターニングポイントになる1年にしたいと語っています。
 総選挙という魔法は使えなくなりましたが、きっと別の魔法がまだ残っているのでは、と赤堀さんの2022年のスピーチでは考えさせられました( たとえば、それは各種雑誌系のイベントかも知れません )。

 
 これから入ってくる11期生たちを赤堀さんが支える時が、近い将来やってくるのではと思います。その時にメンバーだからできる「仲間への優しさ」というガラスの靴は受け継がれていくのではないかと思います。

 今、彼女が持っているガラスの靴も、赤堀さんが大事に履いて、きっと次のシンデレラに受け継がれると信じています。

※なんとなくイメージした曲を貼ってお別れです。珍しくアニソン!カラオケで友人にコールしてもらいながら歌うとめちゃくちゃ気持ちいいです。早く、コールしてもいいライブが戻ってこないですかねえ。



こんな大変なご時世なので、無理をなさらずに、何か発見や心を動かしたものがあった時、良ければサポートをお願いします。励みになります。