テゲバJFL第11節 奈良クラブ戦

梅雨はどこへ行った?

スマホアプリで予報を見ると、最高気温予想は29度になっていた。2019年6月16日、日曜日の天気は快晴。梅雨入りして約半月、梅雨前線は沖縄付近に停滞しておりあと1日か2日、雨の気配はない。炎天下での観戦を予想して腕や顔に日焼け止めを塗り、ペットボトルも2本用意して会場であるKIRISHIMAハイビスカス陸上競技場(宮崎県総合運動公園陸上競技場)に向かう。

ここ1か月ほど、仕事や所用で観戦のチャンスを逃していた。前回は都農町の藤見総合公園陸上競技場で行われた5月12日の天皇杯宮崎県予選決勝のホンダロックSC戦。リーグ戦はと言えば5月5日、生目の杜運動公園陸上競技場で行われた東京武蔵野シティFC戦以来だ。当日券を購入すると、入場口近くにあるスタグルのお店を見てまわる。そして今回は、宮崎名物のチキン南蛮を揚げパンでくるんだ「チキン南パン」と、宮崎ブランドの地鶏「みやざき地頭鶏(じとっこ)のフランクフルト」をチョイスした。今後、テゲバが力をつけ上位カテゴリに進むのに合わせて、スタグルが充実していくのも楽しみだ。

ところで、今回の試合会場になぜ「KIRISHIMAハイビスカス」という名前が冠されているのかに触れておきたい。実は、地元の焼酎メーカーで「黒キリ」「白キリ」のブランドで知られる霧島酒造が宮崎県総合運動公園と各施設に対し持っているネーミング・ライツによる。「ハイビスカス」は南国を象徴する花だからつけられたという。

閑話休題。試合開始まで1時間と少し時間がある。お昼どきでもあるし、スタンドはまだまだ空いていた。屋根が日かげをつくっている場所の端の方に席を確保。風もあり、思っていたより心地よく過ごせそうだ。メインスタンドの左端には、コール・リーダーを中心にしたいわゆる「ゴール裏」の人たちが陣取っている。むしろ「ゴール横」といえるエリアだが、全くの炎天下で頑張っている。

スタジアムDJの甲斐杏奈さんの「前説」がはじまり、気温が高くなるのでこまめに水分を取ること、気分が悪くなった人やそのまわりの人はすぐに、スタッフに知らせることなどの注意事項がアナウンスされた。合わせて、地震が起こった場合の集合場所(正面入り口広場)や、津波警報などが発令された際の避難場所(数百メートル離れたKIRISHIMAサンマリンスタジアム)も伝えられる。海沿いの運動公園は、1662年の外所地震(日向灘地震)で発生した大津波で、村が丸ごと飲み込まれた地域にある。南海トラフ巨大地震の発生がいつ起きてもおかしくない宮崎だけに、少なからず緊張させられた。


そうこうしている間に、選手入場。本日のキック・イン・セレモニーは河野俊嗣宮崎県知事。サッカー好きとしても知られる知事、予想外の浮き球によるキック・インは、主審にドンピシャのナイスプレーとなった。挨拶で知事も触れていたが、神話では日向国(宮崎県)を船出した神武天皇は、大和国(奈良県)に向かうことになっている。であるならば、奈良クラブとの対戦は「神武ダービー」と呼べるのかもしれない。名前だけは、クラシコ級の歴史を感じる。奈良クラブといえば、ホンダロックSC戦の際、さぽーたーが試合そっちのけでロックサポの席に文字通り「鳴り物入り」で乱入していた。今回少し期待したけど、結論を言えば乱入はなく、少し残念だった。

「あれ? 4バックに戻ってる」

ゲーム開始からしばらくして、システムが4−4-2になっていることに気づいた。開幕2連敗など、緒戦で波に乗れなかったチームに対し倉石圭二監督は、3バックにシステム変更している。記憶が正しければ、5月12日の天皇杯のときは3バックだったはずだ。試合後、チーム関係者に話を伺うと、チーム状態も落ち着いてきたので4試合くらい前に戻したとのことだった。ということは、天皇杯の翌週、同じカードのホンダロックSC戦から戻したのかもしれない。

前半から両チームとも、積極的な攻防を繰り広げる。テゲバの惜しいシュートも、奈良の冷やっとするシュートも飛び交ってそのたびに歓声が上がる。テゲバのGKはリーグ戦初先発の38赤塚怜選手。奈良の攻撃が続く中、いいセービングを見せている。試合が動いたのは35分。奈良のゴール前での混戦の中、奈良の選手が思わずハンド。これで得たPKをエースの10水永翔馬が決め、先制。勢いに乗って今度はテゲバが攻め込むが、しっかりと守備ブロックをつくる奈良のゴールは開かなかった。

ハーフタイム・ショーは、現役看護師でシンガーの涼太さん。しかし、メインスタンド天井のスピーカーが、メインとモニタ両方を兼ねているので音がディレイし、とてもリズム感のない人が歌っているように聴こえてしまう。本人も歌いにくかったと思う。残念で少しかわいそうだった。

奈良を突き放す

後半8分。フリーキックからのこぼれ球を、もうひとりのエースストライカー、11藤岡浩介が決め2-0とした。奈良も新たな選手を投入して反撃を試みるが、赤塚や守備の要15川里光太郎が必死に守る。そして20分、水永のクロスを藤岡がドンピシャで合わせ3点目。これでもう安心か?

24分、水永に代わって14サミュエルが投入される。サミュエル選手、足は速いしドリブルも得意なんだけど、藤岡と同じく裏を狙って走り込むのが得意なタイプ。キープ力のある水永との交代は、疑問に思うところではある。ただ、水永の34という年齢を考えると、この交代は致し方ないのかもしれない。そのうち「テゲバのヤット」こと、7千布一輝をトップ下に置いた布陣も見てみたい。その千布選手、35分ごろキーパーのいないところに放たれたシュートを、ゴールライン上で跳ね返して失点を阻止。スタンドからの大喝采を浴びていた。ただ、大喝采といっても入場者数は741人。目標の2,000人台にはまだまだほど遠い。

後半39分、千布→6内薗大貴、23徳永裕大→17樽谷誠司の2枚替え。MF内薗は両センターバックの間に落ち、藤岡もトップから右サイドに入って、5-4-1にシステム変更。試合の途中でシステムを変える倉石采配にチームとしての成長と余裕を感じた。

試合はこのまま3−0で逃げ切り、テゲバジャーロ宮崎は今季初の連勝を果たした。順位も8位に浮上。恒例のラインダンスも披露され、サポーターとともに幸せを味わったのだ。

試合後は競技場の外に出て、恒例の選手と観客との交流。他のチームもやっているのかは知らないけれど、試合後に交流したり、ショッピングモールや街中で選手がチラシを配ったりの地道なアピールも続けられている。下部リーグならではの牧歌的な光景はいつまで続くのか。


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