見出し画像

カトウアツヤと舞台(幼稚園編)

大学生になって僕は初対面の人によく物静かなイメージを抱かれる。
しかしいざ喋ってみると必ずと言っていいほどこう言われる。

「えーこんな喋る人なんやもっとクールな人やと思ってた。」

高校生までは全くそんなことはなかったのだが大学生になって激増した。
大学は高校までと違って人の移動が多い。
クラスというものがそもそも存在しないので自然に仲良くなっているなんてことは少なくなっている。
それに加えてまだまだ人々の顔は不織布で覆われている。
前々回でも執筆したが3分の1の世界が続いている。

静かでおとなしそうに見られがちだが昔から人前で表現したり笑わせたりすることが大好きでこれまで様々な舞台に立ってきているのだ。

最初に舞台に立ったのは幼稚園のお遊戯会の時だ。
「はなのすきなうし」という演目で主役を務めた。主役といってもその座は多少強引に手にしたものだった。一度は“木の役”に決まったもののどうしても主役がやりたくてみんなの前で泣きじゃくり、先生がしょうがなく予め決まっていた子に断りをいれ僕に主役を与えてくれたのだ。今考えると申し訳ない気持ちでいっぱいだが当時5歳のあつや少年は悪びれる様子もなくみんなの前で大いに喜んだらしい。しかしその時のあつや少年は本番当日がちがちに緊張し、セリフを全部飛ばすことになるとは知る由もなかった。

人生で初めて頭が真っ白になった。
今でも観に来ていた人の「え?なにしてんの?」みたいな顔を鮮明に覚えている。
相手役の女の子にセリフを口パクで教えてもらうも、もう完全にテンパっているのでなぜか目を逸らしだんまりを決め込んだ。

その後どうやってそのお芝居を終わらせたのかは全く記憶にない。
ただその日の夕食のハンバーグはあまり味がしなかったのでお遊戯会史上最低の幕切れだったことは間違いない。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?