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【2021年9月】今月の新語・流行語 in English ~総裁選・史上最年少三冠・歩きスマホ~

こんにちは。旺文社ココマナ編集部のS藤です。
朝夕過ごしやすくなりましたね。半袖が少し恋しいですが、金木犀の香りや秋の虫の声など、夏から秋の変わり目は他の季節より趣を感じる気がします。

さて、月末に世の中を映しだしていることばを英訳して発表している「今月の新語・流行語 in English」
旬な話題のなかから、編集部が広がりやおもしろみを感じることばを選出します。

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それではさっそく、2021年9月の新語・流行語トップスリーをみていきましょう!

第3位「歩きスマホ」

第3位

日本時間の今月10日、人々を笑わせ考えさせた研究などに贈られる「イグ・ノーベル賞」の受賞者が発表されました。日本からは、歩行者の集団のなかに歩きながらスマートフォンを操作している人=「歩きスマホ」をする人がいると、集団全体の歩行速度が遅くなることを実験で突き止めた、京都工芸繊維大学の研究者らが「動力学賞」を受賞しました。
これで日本人の受賞は15年連続。研究者のみなさんの飽くなき探求心にエールを送りたくなりますね。

「歩きスマホ」
は注意散漫になり事故やトラブルの原因となることから、近年社会問題にもなっています。駅の構内でも「STOP! 歩きスマホ」のようなポスターを目にするなど、広く一般的に使われるようになったことばですね。

「歩きスマホ(をする人)」のことを、英語では smartphone zombie と言います。スマホに気を取られて下を向いているがために、周囲を気にせずにふらふら歩くさまがゾンビに似ていると揶揄されたことから、こう呼ばれるようになったと言われています。
「歩きスマホ」もキャッチーなことばですが、smartphone zombie にはそれを超えるインパクトがありますね!

ほかにも、using a smartphone while walking(歩きながらスマホを使うこと)、texting while walking(歩きながらメッセージを打つこと)など、~ing while walking を使って表現することもできます。


会話で使うときはこんなふうに言います。

The Ig Nobel Prize was awarded to the researchers for their study which revealed the impact of smartphone zombies on other pedestrians.
(歩きスマホが他の歩行者に与える影響を明らかにした研究で、研究者たちにイグ・ノーベル賞が授与された。)

Using a smartphone while walking has a risk of causing an accident.
(歩きスマホは事故を起こす危険性がある。)

第2位「史上最年少三冠」

第2位

第2位にランクインしたのは、将棋界のスーパースターが成し遂げた「史上最年少三冠」です!
今月13日、プロ棋士の藤井聡太さんが、将棋の八大タイトルの1つ「叡王戦」を制し、「王位」「棋聖」とあわせて史上最年少で三冠を達成。19歳1か月での達成は、羽生善治さんが22歳3か月で達成した記録を28年ぶりに塗り替えました。
史上最年少の勲章をまた1つ増やした藤井聡太さん。改めてその強さに圧倒されますね。

「史上最年少三冠」は the youngest Triple Crown winner ever と表現できます。the youngest ever が「史上最年少」を、Triple Crown が「三冠」を表します。
Triple Crown は人のことではないので、winner「勝利者」を入れることで「最年少で三冠を達成した人」という意味、つまり藤井聡太さんのことを簡潔に説明する表現になります。

the youngest ever の ever は、最上級・比較級の後に使うと「今までで、これまでに」という意味になります。
応用すると、次のような表現もできます。

the largest ever(史上最大の)
the shortest ever(史上最短の)
the strongest ever(史上最強の)

ever の代わりに in historyを入れてもOKです。

Triple Crown の crown は「王冠、王位」。日本語の「三冠」をそのまま直訳したような表現になります。
このとき、「三」を three ではなく triple で表すことに注意。「二冠」ならDouble Crown、「四冠」なら Quadruple Crown となります。
なお、頭文字は大文字で表記します。

「史上最年少三冠を達成した人」ではなく「史上最年少で三冠を得ること」を言う場合は、Triple Crown at the youngest age ever と表現します。


会話で使うときはこんなふうに言います。

Sota Fujii, a professional shogi player, became the youngest Triple Crown winner ever.
(プロ棋士の藤井聡太は、史上最年少で三冠王となった。)

第1位「総裁選」

第1位_2

今月17日に告示され、29日に投開票が行われる「総裁選」。4人の候補が論戦を繰り広げています。今回の総裁選では、3年ぶりに党員投票が行われることや、国民から受け付けた質問に候補者が回答する初のオンライン政策討論会を開催することも話題になりました。今まさに旬のニュースですね。

「総裁選」は presidential election と表します。presidentialは「総裁の」という意味で、president の形容詞。president というと「大統領」という語義がメジャーですが、「総裁、社長、会長、学長」という意味もあります。
今回の総裁選は与党である自民党の党首を選ぶことから、LDP presidential election と表現するとより正確に伝えることができます。LDPは Liberal Democratic Party「自民党」の略です。

presidential の代わりに leadership を入れて、leadership electionLDP leadership election と言ってもOKです。

あわせて、総裁選のニュースでよく目にしたことばも押さえておきましょう。

run in ~(~に出馬する)
run for ~(~候補として出馬する)
run against ~(~の対抗馬として出馬する)
faction(派閥)
online policy debate(オンライン政策討論会)
casting and counting of votes(投開票)
prime minister(首相)


会話で使うときはこんなふうに言います。

She announced that she would run for party president in the next LDP leadership election.
(彼女は次の総裁選に、党総裁候補として出馬することを表明した。)

After the online policy debate, the casting and counting of votes will be on 29th of this month.
(オンライン政策討論会の後、今月29日に投開票を予定しています。)

総評

もうすぐ総裁選の投開票。結果が出れば新しい首相が決まります。史上最年少三冠を成し遂げた藤井聡太さんも、来月からは四冠をかけた竜王戦に挑戦。何かを決定したり成し遂げたりしても、そこはゴールではなくよりよい未来をつくるためのスタートです。

今月で年度の半期が終了します。10月から環境が変わったり新しい目標ができたりと変化のある方もいると思いますが、「ゾンビ」のように下ばかり向かず、上を向いて進んでいきたいですね。



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「今月の新語・流行語 in English」
世の中を映しだしている旬なことばのなかから、旺文社ココマナ編集部がことばとしての広がりやおもしろみを感じるものを選出して英訳し、1位から3位までを発表。英語で決まった言い方がないことばは、編集部が独自に表現を考案します。

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