2022年も5日が経った今日(正確に言えば昨日)
会社の新年会があり、セフレと再会した。

1ヶ月ぶりの再会。

多分、プロの方や、私の友だちは言うだろうな
「たった1ヶ月離れただけで何も変わらないよ」
って。

でも私にとっては長い長い1ヶ月だった。

ーーー

一緒に飲む先輩に合わせて設定した中野駅。
「着いた？」
「南口出たとこで待ってるわ」
久しぶりにきたLINEは、
今日みたいに寒い日には効果覿面だった。

本当にこの人は、欲しい時欲しい連絡をくれる。

「その格好寒くない？！」
「道調べて1、2分だったから、早く店行こ！」
久しぶりの2人の会話はそれくらいだった。

南口から歩いて向かったのは、中野レンガ坂。
クリスマスはもうとっくに終わったというのに、
イルミネーションに輝くその通りは、
2人で歩くのにはなんだか気まずい。

Googleナビは1、2分だというそのお店は、
駅から7、8分ほど歩いて、やっと到着した。

当然のように隣に座る2人。

飲み会中、
「〇〇これ食べれる？」
「好きなもの頼みなよ。」
「無理して飲まないでいいよ。」
そうやって気を遣ってくれるところ。

先輩たちが席を立ち、辺りが2人になった時、
「そのネイル、似合ってる。」
「綺麗な色だね。」
「〇〇には珍しいけど、凄く大人っぽいよ」
とコソッと言うところ。

油断をすれば、コロッと落ちてしまうほど、
あなたは今日も、いや、2022年になっても、
本当に、魅力的だった。

飲み会も中盤。
セフレが席を立った時、隣にいた先輩が、
ここぞとばかりに聞いてくる。
「ね、〇〇ちゃん今彼氏いないんでしょ？
　〇〇(セフレの名前)とかどうなの？！」

いやぁ〜、
カッコいいですし仕事できますよね〜！
でも、私には勿体無いですよ！
歳も離れてますし、なかなか恋愛対象とは…
あはは〜…

大嘘付きだ。

あわよくば手に入れようとさえした。
心の底から、大好きだ、と思った。
歳とかは関係なく、身体を重ねた。
けど。

これは2022年、初嘘かもしれない。
と、思いながら笑ってやり過ごした。

逆に。

私がお手洗いに席を立った時、
先輩がセフレに同じ質問を投げかけていたのが
階段の踊り場で聞こえた。

彼の答えはこう。
「いや〜、、、
　会社の先輩として、憧れているのであって、
　多分、彼女の中で恋愛とかとはまた違うんじゃ
　ないかなって思うんですよね〜、、
　だから、恋愛対象として見られてないですよ
　きっと〜、、」

ふーん。
自分の気持ちは答えないんだ。
とことん、相手を傷つけないように立ち振舞う
天才だなこの人は。

宴もたけなわ。
それぞれの方向に帰る時間になる。

新宿行きに乗るのは、私とセフレだけ。

今日は絶対に帰るんだから。
と、鼻をフガフガさせて颯爽と電車に乗り込む。

すると。

ガサゴソ…

「これさ、去年のクリスマスに予算3,000円で
　お互いプレゼント買おうって言ってたじゃん？
　俺、用意してたから、渡すわ。」

そう言って、紙袋を渡してきた。

季節外れのクリスマス仕様の包装紙に描かれた
雪だるまが「受け取ってはダメ！」という信号を
脳に直接送ってくる。

寒すぎて飛び乗ったのが、
10分後発の電車だったから、
中野駅から新宿駅は4.5分であるはずなのに、
とても長く感じる。

「いや、私用意していないので… 
   申し訳ないです。」
「でも、〇〇以外に渡す人いないからさ。」
そんな想定問答の末、
私は受け取ることにした。
まぁ、物に罪はないし。

やっと電車が動き出す。

ガタンゴトンーー

セフレが、何となく、手を握ってくる。

私はそれを、何となく、振り解いた。

新宿駅に着いて、
路線の乗り換えがあった私を、
ホームまで見送ると言ってわざわざ降りて、
本当にホームまでついてきた。

すでに停まっている電車にいそいそと乗り込み、
がら空きなのに、
わざとホームに背を向けた席に座る。

横目でセフレが立っているのが見えた。

「ありがと〜」
マスクを一旦ずらして、口パクで伝える。
向こうが手を振っている。

間もなくして電車の扉が閉まり、出発した。

ーーー

ピロリ。

「なんで今日帰ったの？」

ほう。
そう来たか。

「決意of2022」
と送る。

「何その勝手な決意的な笑」
「なんか2021年末から遠ざけてると思った笑」
と、LINEがくる。

「笑」付けてんじゃねぇよ。
こっちは決意"的な"ではない決意を以ってして、
あなたを2021年に置いてきたんだよ！！
バーーーーカ！

よし。
とりあえず、1ヶ月の壁はクリアした。

くだらないかもしれないけど、
私はこうして一歩一歩、沼から抜け出していく。

2022年は沼とは関わりたくない。
今年も宜しくお願い致します。