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Trading View 出来高系インジケーター

Trading Viewで無料公開されている出来高に基づくインジケーターをいくつか紹介する。株と先物での使用が前提。CoinbaseやBinanceが提供する仮想通貨(特にビットコン)では支障なく使えるようだが、FXでは精度に欠くかと思われる。


Market Order Bubbles

積極的な買いを緑色のバブルで、積極的な売りを赤色のバブルで表す。あるラインをブレイクするときに買いまたは売りの勢いは増加する。だが、このインジケーターはラインブレイクの判定に使うより、突破できなかった場所を見極めるのに役に立つ。つまり、価格の反転を逆張りで狙うのだ。

買いの勢いが増加したにもかかわらずブレイクできなかった抵抗帯は相当強固と判断できるし、売り勢力の力に屈しなかった支持帯はかなり強いだろう。

それ以外には、トレンド転換を見るのに使える。しばし上昇トレンドが継続しているときに出る強い買いの勢いは、上昇トレンドの終焉と下落への転換である可能性が大きい。下降トレンドが継続中の大きな売りの勢いは、そのトレンドの終焉や上昇への転換を示唆する。

このとき重要なのは、買いの勢いが増加しているのに価格が上昇しない、また逆に、売りの勢いにもかかわらずそこからさらに大きく下げない、ということだ。出来高が増加しても価格が変化しないのは、出来高と値動きの間にダイバージェンスが発生しているということである。RSIやMACDなどのオシレーターとローソク足のダイバージェンスがトレンドの転換時に現れるのと同じ要領で考えればよい。

トレンド転換目前に出現する買いの勢いは、まだトレンドが継続すると思って高値掴みしてしまった買い手のポジションである。逆の場合は、売りで捉まったポジションである。いわゆる「Trapped buyers」「Trapped sellers」だ。そこから価格は彼らの悲痛な叫びとともに上昇または下落する。彼らの損切りを燃料として値が大きく動く。

Koalafied Volume Extension

平均以上の出来高をローソク足の色の変化で知らせる。設定はデフォルトでいいが、私は「スタイル」の「Extension 2」のみ使用し「Extension 1」のチェックを外している。ローソク足の陽線と陰線の区別がつきにくくなるのを嫌うからだ。

先ほど説明した理屈によって、平均以上の出来高の出現は上げ止まり/下げ止まりや反転を示唆する場合が多い。

Market Order Bubblesの場合も同様だが、逆張り・反転でエントリーするなら、ストキャスやRSIなど別のインジケーターと併用することが必須である。

RedK Volume-Accelerated Directional Energy Ratio

頭文字から「VADER」と呼ぶらしい。言わずと知れたStarWarsのDarth Vaderにかけている。非常に優れたインジケーターで、もしこれを日本人が作ったのならnoteやGogojungleで高額販売することだろう。解説も懇切丁寧、さらにはスクリプトまで公開している。

青色の「✚」ラインは買いForce(フォース)
オレンジ色の「○」ラインは売りForce(フォース)

青色の「✚」ラインが下からオレンジ色の「○」ラインを上に抜く。その後、青色の「✚」ラインが上昇しオレンジ色の「○」ラインが下降するあいだは、買いForceが増加する一方で売りForceが減少していることを示す。売り方優勢は、この逆の考え方で見ればいい。

青とオレンジが頻繁に入れ替わるときは、買いと売りのForceが拮抗している局面だ。

緑色と赤色の太いラインは、買いの出来高と売りの出来高の差。買いの方が多ければ緑色、売りが多ければ赤色。見方としては、0より上は買い優勢。0より下は売りForceが強く働いている。

デフォルトではオフになっているが、ヒストグラムを表示することができる。これは"sentiment"を表すと言う。見方についてはMACDやAOの要領でよかろう。ヒストグラムを合わせ見ることで、上昇トレンド中の押しや下降トレンド中の戻りが判断できる。

Relative Volume (RVOL)

Melvin E. Dickover が ”Stocks & Commodities”(2014年4月号)に寄稿した ”Evidence-Based Support & Resistance” という記事で、Relative Volume(相対的出来高)を用いて客観的にサポレジを算出する方法を解説した。端的に言うなら、標準偏差2σを越える相対的出来高が検知された箇所は、重要な価格帯を示唆するという考え方だ。Dickoverはこれを「DPL」と名付けた。「Defended Price Level」の略である。サポートとレジスタンス、Supply & Demand、Order Block などなどいくつもの呼称で呼ばれるが、理屈は同じだ。将来的に価格が何らかの反応を見せる重要なレベルということだ。

デフォルトでは標準偏差2σを越える相対的出来高は黒色のヒストグラムで表される。以下の設定に変えると売り(赤色)と買い(緑色)で表示する。

私は「スタイル」の「色3」の不透明度を0%にして、標準偏差2σオーバーの出来高だけを表示している。

インジケーター作成者も解説しているが、Dickoverによれば、2σオーバーの出来高が検知されたローソク足の直前のローソク足の終値に水平線を引く。これがDPLとなる。残念ながらインジケーターはDPLを自動描画してくれない。自分で引く必要がある。

基本は上記の引き方でよいが、いくつか細則がある。

  1. 2σオーバーのローソク足が大陽線や大陰線である場合は、直前ではなくその大陽線/大陰線の終値をDPLとする。

  2. ギャップアップあるいはギャップダウンが見られる場合は、小さなギャップは無視して基本通りに直前のローソク足の終値をDPLとする。ギャップが大きければ、その足の終値をDPLとする。

  3. 2σオーバーの出来高ヒストグラムが何本かある場合には、最後のヒストグラムあるいはひとつ前のヒストグラムに呼応するローソク足のうち、端的な終値または始値をもってDPLとする。

Dickoverは「Freedom of Movement」という類似のインジケーターを併用することで、精度を高め根拠を強固にすることを推奨している。これだけでトレードするには必要な措置かもしれないが、自身の手法にRVOLを加味するのであれば、それには及ぶまい。

【追記】


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